SSブログ
  レコード(補完計画) ブログトップ
- | 次の30件

レコード音声のデジタル化 個人的記録 (2) [  レコード(補完計画)]

今日も日本はほぼ全国的に雨。デジタル化の作業はお休み。

昨日から今朝にかけて、私は何度も「雨でも作業をしよう」と考えそうになった。晴れの日は放射冷却とやらで夜中に冷え込む。雨の日はそれがないから気温があまり下がらない。

私はデジタル化を始める前には、いくら冷えてもいいと思っていた。気温が低ければ私が厚着をすればいい。私が寒いなんてどうでもいいんだよ、デジタル化さえうまく行けば。ところがネット上のあるサイトで、レコード針の内部にゴム部品が使われているので温度が低くなるとゴムが硬化して周波数特性が変わるみたいなことが書いてあった。私はそんなことを考えもしなかったのでちょっとびっくりして、正直に言ってそれ以来「その情報に振り回される」ようになってしまった。冬の間じゅうかけてデジタル化作業をすればいいと思っていたのに、これでは真冬に大事なレコードのデジタル化ができない。今のうち、まだそんなに寒くないうちに、とくに大事なレコードのデジタル化をしておかなければ。

それで、「雨でも作業をしよう」とつい思ってしまう。今は雨が降っておらず、天気予報では降ったり止んだり程度だと言っていたじゃないか。すると、それを思いとどまらせるように外で雨の音がしだす。焦る心では何も成功しないよ、なりゆきに任せなさい、と。

ここまでは、いわば「良い話」だが、それから私がどうしたかというと午前中に買い物に行き(ここまではまだ良い話)、一番安い韓国ビールを買って飲み呆けている。

前回の記事で、デジタル化したwavを後から聴いてみたら、デジタル化の最中にヘッドホンでモニターしたのとは別物のようにつまらなく聞こえたと書いた。あれは結局、カセットテープ音声のデジタル化の時と同じ現象だった。サウンドキャプチャーボードを通す前と通してwav化した後とで微妙に音が変わる。これをグラフィックイコライザなり他のイコライザなりで補正しなければいけない。

さあここからは「酔っ払いのたわごと」だ。なにしろ、ここ数回デジタル化して気づいた大事なことは前回の記事にもう書いた。だから後は、心おきなく「たわごと」を書いて酔いしれることができる。

私が子供の頃にジャケ買いしたレコードのひとつ。ピンク・フロイドのアニマルズ。私はタンジェリン・ドリームを愛聴するという変わった子供だったから、ピンク・フロイドそのものが好きというのとは違ったようだ。でもこのジャケ買いは大当たりだった。私はとくにDogsが好きで、よく聴いたものだ。でも今回言いたいのは、ビジュアル的なことなんだ。レコードを出して息を呑んだよ、レコードラベル(本当はより英語発音に近くレーベルと言うらしいが)がなんて美しいんだ。
animals1.jpg

今までに私がデジタル化したのは冨田勲、これはRCAの赤いラベル。初期タンジェリン・ドリーム、これはオウルとヴァージンレコード。ヴァージンレコードのちょっとシュールなデザインも私は大好きなんだけど。これらのラベルももちろん懐かしかった。しかしアニマルズといったらその美しいこと、この盤だけのオリジナルデザインで、A面にはちゃんと犬がいて、B面にはちゃんと豚と羊がいて、青い空で、文字が手書きテイストで。美しいなあ。

私はそれまで、ジャケットの写真はとりあえずデジカメで撮ってきたけど、レコードそのものの写真は撮らなかった。テーブル上にレコードを置いて撮影するなんてことをしている間に埃や塵がレコードに付くのは本末転倒、大事な音を劣化させてまですることじゃないと考えたからだ。でも、でもね、この盤だけは撮らずにいられなかったよ。美しくて。

レコードは1枚なのにわざわざ2枚組と同様に開くタイプのジャケット。外から見える側にはご存じバターシー発電所。今はもう取り壊しが始まっているかもしれない。この絵がじつに、絵になっている。裏面まで一続きのパノラマだ。そして内側の写真。このモノクロームの世界がまたいい。豚はホントに気球として空へ上げたんだって?
animals2.jpg

PINK FLOYDと印刷されたシールらしきものが入っている。レコード内袋は紙製で、歌詞カードを兼ねている。これもレコードラベルと同じく手書き風フォントだ。
animals3.jpg

私がもっているレコードの中に、これを越える凝りかたをしたデザインのものは、ないかもしれない。タンジェリンのピクチャーディスクはあるが、それはただ他と違って目を引くというだけで美しくはない。

ああ、今日はここまで。やっぱり酒飲んで物を書くのは無理だ。明日からはまた酒飲まないで頑張ります。

コメント(0) 

レコード音声のデジタル化 個人的記録 (1) [  レコード(補完計画)]

今日は雨だ。私は個人的な理由から雨の日はレコードのデジタル化ができない。それで、久しぶりに記事を書く暇ができた。

前回のレコード関係の記事は、第1回デジタル化の日だ。あれから私は毎日忙しかった。レコードを扱う時間帯が私の思考の中心にあり、それ以外の生活とのネゴシエーション(後述)が大事だった。でも今は、話を最初から順に記そう。

私はレコードを扱う時間帯を夜と決めた。昼間は家の近くを行く大型車やヘリコプター、さらには個人的な事情により隣人の行き来による床の振動、さらには自宅内でも家の者が家事をするさいに、不意に振動があるかもしれないからだ。

振動でなく音ならば、自室の外で人が話してもパトカーや救急車が音を鳴らしてもそれを針が拾うことはないと、この数日のデジタル化時に確認できた。でも振動は気になる。ただ一度聴くだけならいいが、デジタル化するとそれからはデジタル化したwavを聴くことになるから。

1枚のレコードをデジタル化するのに、最初は1時間かかった。片面の再生に16分ないし23分くらい。しかしその前には袋から出して埃をチェックしてクリーナーで拭く作業があり、プレーヤーの回転速度チェック(後述のように環境により速度は変動する)、そしてPC側の録音準備がある。演奏中に不運にも録音レベルが0dBに達してクリップしてしまったら、録音レベルを下げて最初からやり直しだ。演奏が終われば袋に仕舞う前に埃をチェックしてクリーナで拭く。そのレコードを所定の場所へ置き、次のレコードを出してくる時間。それらを平均すると最初は1枚に1時間かかった。

所要時間はその後少し短くなった。その理由は、私が精神的にいくつかの点で妥協をしたからだ。最初の頃に所要時間が延びてしまった要因が、いくつかあった。

要因の中で最も大きいのは録音レベル。なにしろ、録音が0dBにクリップしたらその面のレコード再生とデジタル化はやり直しだから。最初のうち私は録音レベルを、クリップしない範囲で可能な限り高くしようとした。これには理由がある。物事にはたとえ変なこだわりと思えるものでも、その人なりの理由があるものだ。以前にカセットテープのデジタル化を始めた時、私はPCでの録音についてよく知らず、SoundEngine Freeの録音レベルインジケーターが赤・黄・緑に色分けされているのを見て、黄色は注意・緑は安全だから黄色に引っかからないようにとレベルを決めた。でも実際には0dBにクリップさえしなければ良いと後で知った。つまり、最初のうちにデジタル化したカセット音声は黄色レベルにも引っかからないというレベルの低さで録音してしまった。その時の後悔があるから、今回は私はできるだけ録音レベルを高くしたかった。しかしレコードは、盤によって記録のレベルに違いがある。あるレコードでは良いPC録音レベルでも、別のレコードではあからさまに0dBを突破する。私は録音レベルへのこだわりを捨てきれないながらも、何枚ものレコードをデジタル化するうちに少しずつ「どのレコードもクリップせずに済む録音レベル」がわかってきて、クリップするたびに何十分もかけて再デジタル化する精神的疲労も手伝い、ついにその録音レベルで妥協することにした。たまには、その録音レベルでもクリップするレコードがあって驚かされる。それ以来上記の録音レベルは「大半の(全てではない)レコードがクリップせずに済む録音レベル」と意識しなおすことになった。

2つめの要因は、私自身のこだわりをなくすことだった。私は今思うことがある。人は、何かに一生懸命になればなるほど、とくにその作業の最初の時点で何かの壁にぶつかるものではないか。これは裏付けのない、私の数十年の人生経験にすぎないのだが、私はそう思う。最初のこだわりというか「ようし、やってやるぞ!」という気持ちが強いほど、作業を始めてすぐに何か(他の人間の言動、または私を取り巻く状況)の壁にぶつかり、心が折れそうになることが多い。その時点で「なにくそ!」と無理を通すと先の道が開けるが、実際にはショックが強くて折れてしまうことが大半だ。先日風呂に入っていて、不意に脳裏に「反作用」という言葉が浮かんだ。これは物理学の分野だが、物体Aが物体Bに力を加えると、BもAに同じ大きさで反対向きの力を返すという物理学上の真理だ。その時私は、今まで「人生の道に立ちふさがる壁」としか思っていなかったものの正体がわかったような気がした。さて今回のデジタル化では、私は無理を通すという方法を考えなかった。なぜか。先ほど「無理を通せば先の道が開ける」と書いた私がそうしないのはなぜか。今回は、その「無理」の対象が隣人だ。レコードを再生してデジタル化している最中にドスドスと気になる音を立ててトイレへ行く家人。かれは、トイレへ行くという正当な行為をしているだけだ。それにたいして私が「レコード針の音トレースに影響を及ぼしたらどうするんだ」とイライラすれば、影響の行方はデジタル化の問題ではなく家庭内不和になってしまう。ちょうど、私自身も数度のデジタル化でこだわりすぎて疲れた。それと時を同じくして、今回開けたレコードにはジャケットにたくさんのシミ、レコード本体にひとつのカビが見つかった。私は思った。何をそんなにこだわっている、私よ。たしかに私は子供のころにもレコードを大切に扱ったが、それでも今のような病的なこだわりはなかったから、子供っぽくレコードに傷をつけてしまったり、ジャケットに水をこぼしてしまったり、「レコードの静電気には水で洗うのがいい」と聞いて試したら厄介なことになったり、色々した。その結果満身創痍となった今のレコードは私自身の人生の記録であり、今の私が愛してやるべきはそれだ。可愛いレコードと「遊んでやる」ことを忘れて私は何をしているんだ。これが結局、周囲の音などへのこだわりを消す結果、気になる所を後からチェックする手間も消し、時間短縮になった。

3つめは時間短縮にはあまり貢献しないが私が考えるべきこと。私のレコードプレーヤーは速度微調整がアナログにしてマニュアル方式だ。水晶振動子などは使っていない。その結果、環境により速度が微妙に速くなったり遅くなったりすることが判明した。私は初め、この現象がプレーヤーの不調ではないかと考えた。そもそも私のプレーヤーは数十年前のもので、速度が調節しきれなくなって修理に出し、直って返ってきたばかりだ。しかし何枚ものレコードをかけるたびにストロボ縞目を観察しているうちに、これは不調ではなく、ひょっとして気温が微妙な影響を及ぼしているかもしれないと思うようになった。前述のとおり私は夜にレコードをかけるが、たいていの日は時間が遅くなると気温が下がる。その肌で感じた気温の変化と、ストロボ縞目が微妙に流れるようになるのとがかなり一致する。ただ一回聴くだけならばそんなに神経質にはならないが、音をデジタル化してこれからはそれを聴こうと考えていると、ついこだわってしまう。それで速度微調整のつまみをいじってストロボ縞目が完全に移動しないように調節する。この作業は意味があるともいえるが、それは理論的な話だ。現実には、あまり神経質に動かさないほうがいい。なぜか。微調整つまみは小さな可変抵抗器につながっており、その可変抵抗器は数十年前のものだ。今回のプレーヤー修理事項の中に、この可変抵抗器のクリーニングも含まれていた。可変抵抗器は頻繁に動かすうちに接触不良となる。音声ボリュームならばガサガサと音がするようになり、電圧制御用ならば値が不安定になる。子供の頃、私は「電気いじり」が趣味だったので、古いラジオの壊れた可変抵抗器を分解して遊んだこともある。はるか昔子供時代の記憶だが、可変抵抗器の内部には電圧にたいして一定の抵抗値をもつ物質が塗られるか何かして存在しており、その上に接点となる金属が接していたと記憶している。その金属は我々が指でつまんで回す部分につながっていて、接点が抵抗値をもつ塗布物上を滑ることにより、どれだけ長く塗布物を経由して電流が通るかが変わり、それが抵抗値の変化となったと記憶している。つまみを頻繁に回すと接点は塗布物を少しずつこすって削り取ってゆき、ついには抵抗値の変化が滑らかに行なわれなくなる。そう私は記憶している。だから私は、とりわけ大事なレコードのデジタル化のさいには速度微調整をこだわっていいとしても、その他のレコードを再生するさいには神経質にならずに作業すべきだ。そのほうが、大事なプレーヤーの寿命を短くせずに済むから。

結局どの項目も、つまるところ私自身の「過度のこだわり」を捨て去るということに行き着く。こだわりをもつ人間というのは、他人から見ると異常に窮屈なことをしているようだが、本人にとってはそれが満足感につながっていたりする。しかしそれも度を越すと他人に迷惑をかけ、自分もストレスを抱える。現実をわきまえ、程度を心得るのは大事だ。

周りに迷惑をかけつつも、作業は良い方向に進んでいる。今までの数回のデジタル化で、私は「作業のさいにトラブルが生じるとすればそれは何か」を知ることができた。振動については上述のように作業時間帯を夜とすることにより回避しており、室外で音がする程度では影響がないことはわかった。PC録音レベルにこだわると駄目なので、こだわりを捨てて上述のレベルに統一することにより0dBクリップをほとんど出さなくなった。その他自分の病的なこだわりを捨て、自分の目的がHi-Fi追求ではなく懐かしいレコードと「遊んでやる」ことだと再認識することで作業効率も精神面も改善した。

あとはその延長として、レコード音声のデジタル化以外の生活とのネゴシエーションというものを実現しなければならない。どういう意味か。もしも一日の最初にデジタル化作業があれば、それが終わった後の一日を家事などに専念できる。ところが実際にはデジタル化作業は一日の最後の数時間だ。そのせいで、朝起きてからの一日をつい、最後のデジタル化作業に支障のないようにと考えながら行動してしまう。これは本当は良くない。たとえば手荒れ。これから冬になると、肌はガサガサになる。でもレコードをいじる前にクリームを塗るわけに行かない。かといって、たとえば雑巾がけを繰り返した後のような荒れ放題皮膚ボロボロはがれ落ちの指ではレコードを触りたくない。でも家事はすべき。困る。そう、毎日それで困る。デジタル化以外の日常生活は大切なものだ。それとデジタル化作業を、なんとかして両立しなければいけない。これが私の言う「レコード音声のデジタル化以外の生活とのネゴシエーション」だ。

そういう悩みはありつつも、デジタル化開始から今までの間に問題点の列挙はできたと思う。つまり、暗中模索ではなく試行錯誤でもなく、進む道は見えている。

今日、新たな問題点がひとつできた。でもこれは、上記の諸問題とはまったく別のものだ。私は今まで、デジタル化済みのwavをゆっくり聴く機会などあるはずがなかった。晴れた日には必ずデジタル化作業をし、作業が終われば23時を過ぎていて寝る用意をしなければ翌日に支障があり、作業の前には家事をすべきだったから。ただ成功していると信じて次のデジタル化をするしかなかった。今日は雨が降ったのでwavを聴く時間がとれた。たしかに目的のレコードの音はwavに入っていた。しかしこれが、デジタル化の最中にヘッドホンでモニターしたのとは別物のようにつまらなく聞こえた! もしも私が今回初めて「デジタル化」という作業をしたのなら、相当にショックを受けていただろう。でも私は以前に「カセットテープ音声のデジタル化」をしたことがあり、その時にも似たような経験をしている。カセットテープの時と同じ方法で対処できるかどうかは、明日以降に実験してみないとはっきり言えない。

ふだんパソコンばかりと接していてflvとかmp4とかmp3に慣れている私にとって、レコードの音が相当に美しいと感じたのは事実だ。できれば、「デジタル化したら何だかつまらなくなった」というのでなく、レコード再生時にヘッドホンでモニターした時と同じだけの臨場感がwav化データでも再現されてほしい。雨が止み天気になれば私はまた毎日デジタル化の日々、ブログ記事を書く暇はなくなるし、それどころかネット接続する暇もほとんどない。私が新しい記事を出さずに沈黙していたら、「デジタル化作業を頑張っているんだな」と思ってほしい。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(10) [  レコード(補完計画)]

レコードの第1回デジタル化をした

あと約1時間で「明日」になるから、これはきっと明日の記事になるが、実際にはひとつ前の記事と同じ日の報告だ。つまり私はとても忙しく作業をしている。

最初に今までの記事の修正や侘びを書いておきたい。修正は、机の上からPCをどけてそこへプレーヤーを置く予定と書いたが、それは中止になった。プレーヤーを動かすとプリメインアンプから離れて接続できなくなる。新たにフォノイコライザを買ったのだから良いのだが、その前にプリメインアンプ内臓のフォノイコライザが長年の間に劣化しているかどうかをオーディオ・テスト・レコードで実験して知りたかった。それでプレーヤーを動かさずに使ってみたところ、そのままの場所でも何とか使えることがわかったので、大変な場所移動は中止した。で、それからオーディオ・テスト・レコードで実験したことは前々回と前回の記事に書いた。これが詫びだ。左チャンネルだけノイズが大きかったので、私はてっきり買ったばかりのフォノイコライザが粗悪品かと焦った。でも調べたら、前回の記事のとおりオーディオ・テスト用のレコードが粗悪品というとんでもない結果となった。記事を読まれた方には、最近売られているフォノイコライザに問題があるのかと心配させたかもしれず、申し訳ない。私は実験を進めながらその時その時に記事を書いているので、まさかレコードのせいとは思わず、どうしようもなかった。

怪我の功名で、オーディオテクニカのAT-PEQ20は少なくともMM型カートリッジ用のスイッチ設定にしている場合は付属のACアダプターを使っても電源ノイズの心配がないと、実験結果の図つきで証明できた。ネット上には電源を自分で改良したら音が良くなったというレビューがある。レビューがあるくらいだから音質が良くなるのかもしれないが、少なくとも単純な電源ノイズの入り込みという点だけに関しては、そして少なくともMM型カートリッジ使用の場合は、付属のACアダプターでOKだ。なお、ウチはコンセントの場所の都合でACアダプターとAT-PEQ20本体は結構離れているということを念のために付記しておく。

これでやっとデジタル化の話に移れる。機器の接続については今さら書いても蛇足だろう。ご想像の通りだ。前もってテストしたから、ノイズや不具合の心配なく安心して作業を始められた。むしろ思い巡らしたのは、「いつ作業をするか」だ。今日は日曜日で晴れ。案の定、隣人が近くの階段を上り下りして洗濯物を干した。隣人にしてみれば当たり前に階段を上り下りしているだけなんだが、実際にはそれで私の部屋の床が地響きをたてる。隣人はそんなこと思いつきもしないだろう。こういう事情で、干しに来る午前8時から9時ごろと取り込みに来る午後2時ごろはレコード演奏に適さない。その時間を避ければ良いかというと、まだある。昼間はあまり適さない。ひとつにはヘリコプター。いつも飛ぶわけではないが、たまにウチの近くを飛ぶ。バババババ、というかドドドドドとやって来て、家が震える。ヘリコプターは空を飛んでいるのに、それでなんで家が震えるのかは知らないが、とにかく震えるんだ。ここから先は私が神経質なだけかもしれないが、最大の注意事項は実は家の中にある。うちの母は働き者で、怠け者の私は爪を煎じて飲むべきなんだが、働くという行動は大抵埃を舞い上げる。私がレコードを扱う時はちょっと困る。部屋を閉め切ってレコードをかけることになるが、時々煮物の匂い、たまねぎの匂い、干物の匂いなどが隙間から入ってくる。匂いは物理的にはレコード演奏を妨げないが、それでも匂ってほしくない。干物の匂いを嗅ぎながらレコード聴きたい人はあまりいないよね。結局、振動も埃も匂いも気にせずに作業ができる時間は夜ということになった。限られた時間を使っての作業となる。そして、一度レコード演奏を始めたら私は自室から出られない。なぜなら自室の出入り口が引き戸で、振動を伴ってガラガラガラと引かないと開かないからだ。それじゃあ初めから開けておけばいい?たしかに。でも今の季節はまだいくぶん暖かくて、開けておくと台所の生ゴミが臭う。言わせてもらえばこれは自治体がゴミ収集回数を減らしたせいだ。昔はこんなに臭う前に捨てられた。とにかく臭う。寒い季節になったらゴミは臭わないから、そうしたら出入り口は開けておこう。

こうして、夜8時を過ぎてから私はレコードのデジタル化を始めた。

以前の記事に書いたとおり、ジャケットのデジタル化は後日(後年)改めてすることにしたので、レコード演奏とPCの操作に専念すればいい。ただ、せっかくだから当座の利用のためにデジカメでジャケットの写真を撮っておく。照明が天井にありどうしてもジャケットは「写す私の頭の影」になるので、カメラは強制フラッシュの設定とする。そうするとジャケットの真ん中あたりにフラッシュの光が白い円になって写り込む。当座の利用だけだから、それでいいことにする。

どのレコードからデジタル化を始めるか。以前の私ならば、大好きなレコードから始めただろう。ワクワクする気持ちを抑えきれないからだ。でも今までにカセットテープ音声のデジタル化や、カセットテープ外見のスキャンなどをして、それは間違いだと知った。作業というのは進行するうちに問題点を発見し、改善を迫られることがしばしばある。もしも大好きなものから手をつけたら、それは改善前の問題点つきでデジタル化されてしまう。後からもう一度やり直したいと思っても、それまでに数多くの作業が済んでしまっており、それをやり直す時間も気力ももうない。だから私は比較的どうでもいいものから手をつけようとした。初めはもっとどうでもいいものから始めようとしていたが、ふと気づいたことには、私はレコードを5枚くらいずつビニルに包んで仕舞っている。それを例のオーディオ・テスト・レコードを出すために、ひとつだけ開封済みだ。じゃあそれからデジタル化を始めよう。そのビニルに入っていたのが、たまたま冨田勲だった。
tomita1.jpg

アナログシンセサイザーの、創作意欲や遊び心を呼び起こされるクリエイターという意味で、私は冨田勲の影響をずいぶん受けた。なにしろ自作アナログシンセを作ったくらいだ。でも彼の曲そのものは、私の好みとは違っていた。
tomita2.jpg

なお、ジャケットにシミが多いのは、子供の頃に湿気取りを入れておいたらそれが水を吸って水が滴るほどになり、かえってジャケットを湿らせたことがあったので、おもにその頃に付いたシミだろう。その頃はまだジャケットをビニルで包むなんていう極端なことはしていなかったから、放置するうちに埃が入り込んでそれに湿気が加わり、シミの元になった。

私の記憶では、このレコードには音作りを解説する多ページの冊子が付属していた。でもそれは記憶違いだった。実際にはペラペラのたった数ページの解説だった。昔の記憶というのは実際と違うことが多々ある。子供の頃の私にとって、このペラペラの解説冊子がとても重要だったから、記憶の中で多ページの立派な冊子に変貌していったのだろう。
tomita3.jpg

今回モニターに使ったヘッドホンはオーディオテクニカATH-A900Xだ。デジタル化に使うPCにはこのヘッドホンが接続してあり、デジタル化のさいはこのヘッドホンを使う。私はプラグ類をあまり抜き差ししたくない。昔はそんなことを考えなかったが、ある時母が言った言葉がきっかけで私はプラグを抜かない人間になった。母はただ、テレビのイヤホンが抜き差しするうちに聞こえなくなったと言っただけだった。その時私は「そんな馬鹿な」と思った。でもそれから何年も注意していると、頻繁に抜き差しするイヤホンジャックはやがて接触不良を起こすことがわかった。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(9) [  レコード(補完計画)]

今回も実験の記録

実験1で「次回の実験」として予定したことを実行する。すなわち

新しく買ったフォノイコライザの左と右の入力にまったく同じ音源を接続し(たとえばどちらにもプレーヤーの右出力を入れる)、再度PCにてwavを作り、左右の音圧レベルを比較する。a.もしも左右が同じレベルならばフォノイコライザは正常動作。ただしその場合はオーディオ・テスト・レコードまたはレコードプレーヤーのどちらかが左の音だけ大きいことになり、それを追究しなければならない。レコードの左の音が大きい場合は良いが、プレーヤーのせいで左の音が大きい場合はデジタル化後に補正の必要がある。b.いっぽう、もしも左の音が大きければフォノイコライザは粗悪品である。デジタル化後に補正の必要がある。

1 プレーヤー(R出力)→(L入力)イコライザ(L出力)→(R入力)PC.wav
phonoeqtest6.jpg
フォノイコライザのL入出力にRと同じ機器を接続しRと同じ音を流したらどうなるか。振幅は右チャンネルに出ているが、上記のとおりフォノイコライザの左回路を通してある。結果がわかりやすいように図にした。ヘッドホンでモニターしても音は聞こえず、針を落とした場所が内側すぎて最初の1Kがなくて20Kから始まっているらしい。これを前回記事の"フォノイコライザ RIAA SPOT1"と比較する。結果は、フォノイコライザの左回路を通しても、右回路を通した時と振幅は同じだった。

2 プレーヤー(R出力)→(R入力)イコライザ(R出力)→(R入力)PC.wav
phonoeqtest7.jpg
念のために、フォノイコライザのR入出力に"1 プレーヤー(R出力)→(L入力)イコライザ(L出力)→(R入力)PC.wav"と同じ機器を接続し音を流した。結果は、やはりフォノイコライザの左右どちらの回路を通しても振幅は同じだった。

これで、左右の音圧レベルの違いはフォノイコライザに由来するものではないという結論になった。ただしオーディオ・テスト・レコードまたはレコードプレーヤーのどちらかが左の音だけ大きいことになる。可能ならばこれを追究したい。どうしたら追究できるのかよくわかっていないが、ひとまず左右の音圧レベルの違いではないほうの、もうひとつの気になる点からならばテストできる。つまり、左のノイズが大きかった点だ。このノイズがフォノイコライザ由来のものでないことはわかった。ではレコードプレーヤー由来のものか、それともレコード由来のものか。無演奏時のレコードプレーヤーのノイズレベルを調べる。

3 プレーヤー(ターンテーブル回転 針落とさず LR出力)→(LR入力)イコライザ(LR出力)→(LR入力)PC.wav
phonoeqtest8.jpg
プレーヤーに先ほどのオーディオ・テスト・レコードを置いたままだが、再生はしない。だがプレーヤーの電源は入っていてほしいのでトーンアームを少しレコード側へ動かしてターンテーブルを回す。針は落とさない。フォノイコライザには問題がないことがわかったので、普通に左右コードを接続する。先ほどの振幅を見れば、PCのライン入力にもノイズレベルの問題がないことはわかっている。無接続のほうのチャンネルは振幅がほぼゼロだ。結果は、振幅はほぼゼロ。プレーヤーの電源が入っているだけではノイズはないことがわかった。

4 (入力無接続)イコライザ(LR出力)→(LR入力)PC.wav
私はレコードを演奏してPCでデジタル化をしている間、まだその結果を視覚的に振幅として見ることができず、だからあらゆる可能性を試してデジタル化しておこうとした。フォノイコライザにプレーヤーを接続せずにPCでデジタル化すれば、フォノイコライザだけのノイズレベルがわかると思った。だが実際にはプレーヤーを接続してもノイズが出なかったので、"4 (入力無接続)イコライザ(LR出力)→(LR入力)PC.wav"の結果は言うまでもない。図にする必要もない。

これで少なくとも、(左チャンネルのノイズが大きいことを含めて)ノイズ関係の問題は機器の側になく、もしノイズがあればそれはレコード自体のせいという可能性が高くなった。左の音圧レベルが右と比べて高いのは、レコードの記録がそうなっているのか、それともプレーヤーのせいなのか、まだ判断できない。

5 通常接続で再度RIAA SWEEP.wav
phonoeqtest9.jpg
RIAA SWEEPというのは、オーディオ・テスト・レコードに記録されているものだが、今までのRIAA SPOTとは違う。最初に1KHzのパイロット信号があり、その後超低音から超高音までが連続変化して流れる。今までずっとSPOTのほうを材料にテストしていたので、他の音源もPCでデジタル化して後で調べようと思った。パイロット信号部分は他の記録よりもレベルが高く、図を見るとまるでクリップしているかのようだが、それは表示のレベル上限が今までの図に合わせるために-24dBになっているからだ。周波数が連続変化する正弦波の後、再度1KHzが流れるが、その後は無音のはずだ。ところがSoundEngine Freeに表示される振幅を見ると、右チャンネルがひどいことになっている。SPOTでは左、SWEEPでは右にノイズか。それに、左チャンネルの連続変化する正弦波の振幅が途中から極端に変化するのはどういうことだ。これはどうも、レコードに問題がある可能性が高くなった。オーディオをテストするためのレコードがこれでは困る。

6 針を新品に替えて再度RIAA SWEEP.wav
針を新品に替えて、"5 通常接続で再度RIAA SWEEP.wav"と同じことを試した。結果は、左右両方の全体的な出力が高くなった。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(8) [  レコード(補完計画)]

今回は実験の記録


目的
子供時代に手に入れたプリメインアンプの内臓フォノイコライザが現在どんな状態かを知る。経年劣化はどの程度か。聴ける音を出せるのか、そうでないのか。



実験の構想
新たにフォノイコライザを買った。買ったばかりのフォノイコライザは実用になる性能をもっているはずだ。これとプリメインアンプを比較しよう。比較にはオーディオ・テスト・レコードを使う。
phonoeqtest1.jpg
このレコードにはさまざまな周波数の正弦波がRIAA特性で記録されている。これを使えば、フォノイコライザとプリメインアンプを比較するのはもちろんのこと、新たに買ったフォノイコライザがどんな癖をもっているかもわかるはずだ。なお、この実験の目的であるプリメインアンプの状態を知るというのは、その根底に自分が聴ける状態にあるかという疑問が存在する。たとえ入出力特性が劣化していてもそれが私の耳の可聴範囲外ならば問題ない。そこで、上記の比較実験と同時に私の耳の可聴範囲も調べる。



実験の詳細

DENON AUDIO TECHNICAL TEST RECORD XG-7005 RIAA SYSTEM TEST
のA面にある
SPOT FREQUENCY
をレコードプレーヤーで再生し、2通りの経路でPCに取り込みwavにした。2つの経路とは

1. レコードプレーヤーの出力をプリメインアンプのフォノ入力に入れ、テープデッキ用REC OUTから出力してPCのライン入力に入れる。

2. レコードプレーヤーの出力をフォノイコライザの入力に入れ、その出力をPCのライン入力に入れる。

こうしてできた2通りのwavをSoundEngine Freeに読み込み、各周波数の正弦波の音圧レベルを記録すると共に、振幅を視覚的にも比較した。音圧レベル記録はリアルタイムで変化するレベルメーターの値を目で読み取った平均的な値なので、最大でおよそ1dB程度の誤差がありうる。

私の耳の可聴範囲を調べるには、上記の音圧レベル読み取りのさいにヘッドホンで音をモニターし、左右の耳で聞こえるか聞こえないかを確認した。モニターにはNAPOLEX TPH-100を使った。安価なヘッドホンAIWA HP-X122を使うと私の耳の可聴範囲よりもヘッドホンの周波数特性のほうでいくぶん聴き取りが制限された。オーディオテクニカATH-A900Xは事情により当該PCに接続できず、使えなかった。



実験の結果

A. 音圧レベルと私の耳の可聴の記録

オーディオ・テスト・レコードのSPOT FREQUENCYは、高い周波数と低い周波数の2部に分かれている。それぞれの始まり直前や終わりの部分はレコードの溝が同心円(エンドレス)になっており、針を落とす時には始まり直前の同心円よりもわずかに内側に落とさなければならなかった。実際には針が落ちた場所が内側すぎて最初の正弦波が再生できなかった時がある。しかし最初の正弦波は1KHzで、1KHzは最後にもう一度記録されているので、テストに支障はない。

録音レベルは、レコード冒頭にあるパイロット信号に合わせた。このパイロット信号はとくに音が大きく、その後の各種正弦波は音が小さいので、結局録音レベルは低くなってしまった。パイロット信号はwavに含まれていない。

フォノイコライザ RIAA SPOT1

1K L -24dB
1K R -24dB
20K L -24.5dB
20K R -26dB
18K L -24.5dB
18K R -26dB
16K L -24.5dB
16K R -26dB
14K L -24.5dB
14K R -27dB
12.5K L -25dB 左耳やっと聞こえた
12.5K R -27dB
10K L -25dB
10K R -28dB 右耳やっと聞こえた
8K L -26dB
8K R -28dB
6.3K L -26dB
6.3K R -28dB
4K L -24.5dB この4Kになって、左右ともちょっと音が大きくなったのを確認
4K R -27dB
2K L -24dB
2K R -25dB

フォノイコライザ RIAA SPOT2

1K L 切れていてない
1K R -24.5dB
500 L -24dB
500 R -25dB
250 L -23.5dB
250 R -25dB
125 L -24dB
125 R -25dB
80 L -24dB
80 R -25dB
63 L -24.5dB
63 R -25dB 右耳限界のようだ、わずかに聞こえる
40 L -24.5dB 左耳も聞こえない
40 R -25dB
31.5 L -24.5dB
31.5 R -25dB
25 L -24.5dB
25 R -25dB
20 L -24dB
20 R -24.5dB
1K L -24dB
1K R -24.5dB

プリメインアンプ RIAA SPOT1

1K L 切れていてない
1K R 切れていてない
20K L -28dB
20K R -25dB
18K L -26dB
18K R -25dB
16K L -27dB
16K R -25dB
14K L -27dB
14K R -27dB
12.5K L -28dB
12.5K R -27dB
10K L -28dB
10K R -27dB
8K L -28dB
8K R -27dB
6.3K L -28dB
6.3K R -27dB
4K L -28dB
4K R -27dB
2K L -27dB
2K R -27dB

プリメインアンプ RIAA SPOT2

1K L 切れていてない
1K R -25dB
500 L -26dB
500 R -26dB
250 L -26dB
250 R -26dB
125 L -26.5dB
125 R -26.5dB
80 L -28dB
80 R -27dB
63 L -28.5dB
63 R -27dB
40 L -31dB
40 R -28dB
31.5 L -32dB
31.5 R -28dB
25 L -34dB
25 R -28dB
20 L -35dB
20 R -28dB
1K L -26dB
1K R -26dB

音圧レベルを数値として読み取り記録するのは面倒だった割にそこから何かを読み取るのが難しい。

私の耳の可聴範囲は左が12.5KHz - 63Hz、右が10KHz - 63Hz。

B. SoundEngine Freeに表示された振幅

フォノイコライザ RIAA SPOT1
phonoeqtest2.jpg

フォノイコライザ RIAA SPOT2
phonoeqtest3.jpg

プリメインアンプ RIAA SPOT1
phonoeqtest4.jpg

プリメインアンプ RIAA SPOT2
phonoeqtest5.jpg

すべての図で振幅の目盛幅(縦軸)は統一してあるが、時間軸の目盛幅(横軸)はそれぞれのwavが1画面に収まるまで縮めたので統一していない。それぞれの振幅が何Hzかを記入しておいた。赤線は私の耳の可聴範囲をあらわす。赤線より高い周波数と低い周波数は、私の耳にとってどうでも良い。



考察

驚いたことに、新しく買ったばかりのフォノイコライザの左出力が右出力よりも明らかに大きい。とくにノイズの大きさが気になる。-36dBよりも高いレベルのノイズが記録されている。左の音が大きいという件は、より正確な調査が必要だ。レコードまたはレコードプレーヤーに問題があり、初めから左の音が大きい可能性もある。プリメインアンプの振幅を見ると左出力は右と比べて大きくないので、それを見るとフォノイコライザに問題があるかのように思えてくるが、可能性としてフォノイコライザの出力レベルが正しく、プリメインアンプの左出力が小さいことも考えられる。調査が必要だ。また、高いレベルのノイズについては、それがどんな周波数のノイズかを知りたい。可聴範囲外のノイズならば問題ないからだ。2Kのレベルが妙に高いが、これはプリメインアンプのほうも同様なのでフォノイコライザの特性ではないと思われる。

プリメインアンプは、左の音が大きいフォノイコライザとは反対に、右の音が左よりもいくぶん大きめ。ただし目立った差ではない。SoundEngine Freeの振幅を見ると、右の高音(8K以上)が左に漏れているのがわかる。しかしその量はわずかで、上記フォノイコライザで気になっているノイズのレベル-36dBよりもはるかに小さい。だから無視して良いだろう。左の80Kと63Kに増幅不足が見られる。40K以下の増幅不足はさらにはなはだしいが、どうせ私の耳に聞こえないのでそれは構わない。



次回の実験

新しく買ったフォノイコライザの左と右の入力にまったく同じ音源を接続し(たとえばどちらにもプレーヤーの右出力を入れる)、PCにてwavを作り、左右の音圧レベルを比較する。a.もしも左右が同じレベルならばフォノイコライザは正常動作。ただしその場合はオーディオ・テスト・レコードまたはレコードプレーヤーのどちらかが左の音だけ大きいことになり、それを追究しなければならない。レコードの左の音が大きい場合は良いが、プレーヤーのせいで左の音が大きい場合はデジタル化後に補正の必要がある。b.いっぽう、もしも左の音が大きければフォノイコライザは粗悪品である。デジタル化後に補正の必要がある。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(7) [  レコード(補完計画)]

レコードジャケットをどうやって撮影するか考えを巡らした。

レコードプレーヤーを修理し、フォノイコライザーとスタイラスクリーナーを買い、レコードクリーナーと替え針をもっている私は、レコードを再生してPCに入れたり、PC経由で聴くための用意はほぼできたと思う。ところが、まだ非常に大きな問題を抱えている。その問題とは何か。LPジャケットの撮影方法だ。何度ネット検索しても、出費と結果の折り合いがつく方法が見つからない。

A3を超える巨大なフラットベッドスキャナはもっとも適しており操作も単純で結果も確実だが、高くて手が出ない。このさいA3プラスでなくA3スキャナで2回スキャンして合成するかと思っても、それでもまだ高い。二十数万円があたりまえ、安くて十数万円。ごくまれにA3スキャナでたったの数万円というのが売られているが、ユーザーのレビューがその粗悪さを物語る。A4スキャナで4回スキャンして合成するという方法がネット上にあった。レコード枚数10枚くらいまでなら私もこれを考える。でも50枚ならどうだ。ひょっとして100枚ならどうだ。やってられないよね。それに、私のもっているスキャナは自動読み取りの結果スキャンごとに明るさが微妙に変わる場合があるから、複数画像の合成には色々と考える事が付け加わりそうだ。

カメラを使うという方法は、スキャナを使う方法と双璧をなしている。この場合、カメラを被写体にまっすぐ向けて固定する装置と、正しい照明が必要だ。私はそのどちらも持っていない。カメラを固定する装置はコピースタンドというものを買うことになるらしい。カメラを手持ちにすると手ブレと傾き・歪みが相当に心配だ。しかし私が一番必要なのは照明のほうだ。なぜかというと、うちには卓上スタンドすらない。夜中の照明は天井からのものだけ。レコードジャケットをテーブルに置いてその上からカメラで写すのに、天井の照明では被写体が自分の頭の影だ!ではなぜ昼間に撮影しないのか。個人的な理由がいくつかある。うちは個人的な住宅事情から、隣人が気遣いなしに近くの階段を上り下りすると、それが地響きとなって床に伝わる。レコードを再生してデジタル化している最中にそんな地響きが起きた時のことを考えてみてくれ。その他にも自宅内部でも、親が行き来して音や振動を起す。他にも、(以前に書籍をデジカメ撮影した時に気づいたのだが、)これから冬に向かって陽光の射す向きが傾いてゆくと、うちは早々と日陰になる。陽光を使って写真撮影ができる時間帯は限られる。そういう色々な事情から、私には照明が必要だ。照明つきのコピースタンドを購入するという方法がある。ただしこのコピースタンドはどんな製品でもLPジャケットの撮影に使えるわけではなく、カメラの位置調整がLPジャケットに合うようにできる製品でなければならない。コピースタンドも、A3スキャナほど高価でないとしてもけっして安くはない。高い買い物だから慎重に調べなければいけない。

富士通からユニークな形のA3スキャナが出ている。これはスキャナだからスキャナの項目に含めるべきものだが、フラットベッド型ではない。オーバーヘッド型だ。値段は4万7千円くらいするが、私は今回のLPジャケット撮影以外にも大判の紙をスキャンしたいと思っていたので、ひとつの候補としている。ただしいくつか問題点はある。(今は品定めをしている最中だからわざと問題点ばかりを挙げるが、けっしてこの製品をけなしたいのではない。むしろ関心があるから長文で記述する。まず問題点を列挙し、そのひとつひとつを許容できるかどうかよく考え、許容できたら予算を超えても買おうというわけだ。)さてその問題点だが、1.何よりも規格としてA3までのスキャナだ。あるレビューでLPジャケットをギリギリ1回のスキャンで何とかできると書いてあったが、本当にそうかどうか複数の情報を集めて確認しなければいけない。と、この記事を書いている間に2つめのレビュー発見。こちらにもLPジャケットをスキャンできて嬉しいと書いてある。信じてよさそうだ。2.補正をかけても歪むというレビューがある。縦は良いが横線が波打ち補正しきれないというレビューもある。でもこれは本を開いた時の立体感を言っているのかもしれない。LPジャケットのような平たいスキャン対象には関係ないかも。3.スキャン対象を置く面が黒いので、LPジャケットが黒っぽいと輪郭を認識できないらしい。白い紙の本を想定しているのだろうか。レコードジャケットは間違いなくカラフルなので、1枚ずつ手動で枠設定が必要になるかも。それなら、手動で台形補正をやってやるさ。4.スキャナに近い場所は白飛びしやすいと書いてあるレビューもある。白飛びって何?5.カラー写真の取り込みをきれいにしたいと思う人には向きません。スキャン後に自動的に色補正がかかり、色彩的にとんでもない修正が往々になされます。:このレビュー内容は正直心配だ。6.解像度がいまひとつです。:でも、300dpiは大丈夫みたいだ。それなら十分。さあ、これ位にしよう。結局、心配なのは5番のレビューだ。

これだけ時間をかけて、あれこれと思い巡らし、ScanSnap SV600はものすごく興味深い製品だと思った。フラットベッド型スキャナだと読み取り面が広ければ広いほど置き場所・仕舞い場所に困る。カメラ撮影のようにスキャンポイントを固定して遠い場所や近い場所を一度に読み取ったらフラットベッド型のサイズは要らない。でもそんなことをしたら歪みの補正が大変だから、常人は発想が頭をかすめるだけで終わる。それをまさか、実用化してしまった人がいたとは。ものすごく興味を抱いてしまう。

私は将来的にこの製品を手に入れたいと思うまでになっていた。ただ、さらに時間をかけて思い巡らしているうちに、まったく別の選択肢が頭に浮かんだ。「今はジャケットをスキャンしない」という選択肢だ。私は初め、レコードを再生してデジタル化している時間を使ってジャケットもデジタル化しようと思っていた。そうしなければ、レコードを(音のデジタル化とジャケットのデジタル化で)2度出してこなければならないからだ。でももう一度よく考えた。いくらレコード再生中は暇だといっても、その時間に同じくらい神経を集中するスキャン作業をするのは大変だ。そして思い直した。音のデジタル化とジャケットのデジタル化は一緒にできない。どちらかの作業に専念し、それが終わってから同じレコードをもう一度出して、もう一方の作業をするほうが良い。レコードプレーヤーの修理保証が3か月だから、プレーヤーを使う「音のデジタル化」から始めるのが正しい。

今日は引き出しからレコードクリーナーや替え針を出してきた。プラグのクリーナーも出した。明日は机の上から重いデスクトップ型PCを取り除き、そのかわりにレコードプレーヤーを置き、PCはどこか別の場所に置くという大仕事が待っている。予定ではフォノイコライザーが来週届くはずだったので、それまでにゆっくり準備をしようと思っていた。そうしたらどうしたことか、今日フォノイコライザーが届いてしまった。驚きだ。明日はプレーヤーを移動し、明後日には1枚目のレコードをかけるか。ああ忙しい。世の中では株価が暴落しているがそんなことはもうどうでもいい。私はとことん忙しい。まとまった作業をしたらまた記事を書きたいが、ひょっとして忙しすぎてその暇がなく月日が過ぎたらご勘弁いただきたい。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(6) [  レコード(補完計画)]

プリメインアンプの修理か、フォノイコライザーの購入か。

今回は精神的な話になる。じつは先日、フォノイコライザ-とスタイラスクリーナーを買った。「それのどこが精神的なのか」と言われるだろう。私はレコードプレーヤーを修理したが、同じ時に買った同じメーカーのプリメインアンプももっている。レコードプレーヤーの修理にはコンデンサの交換が必要だった。ならば同じ年月が経過している同メーカーのプリメインアンプもコンデンサがイカれているだろう。単純な増幅ならば私もこんなに騒ぎ立てないが、フォノイコライザーは周波数により増幅値が違う。その特性を決める大きな要因のひとつがコンデンサのはずだ。そこで考えた。道はおもに2つ。

1つめの道は、プリメインアンプを修理に出して、修理屋さんに事情を話してコンデンサの交換と半田クラッキングのチェックをしてもらう。

2つめの道は、新しいフォノイコライザーを買う。

ちなみに出費は、2つの道であまり変わらない。なぜならレコードプレーヤーの修理に2万円あまりかかったのでアンプもその程度の可能性があり、私の財布で買えるタイプのフォノイコライザーが同じく2万円あまりする。(実際には修理には梱包や発送に別途料金がかかり、フォノイコライザーは値引きして売られる。しかしフォノイコライザーはそのぶんグレードアップを考えることもでき、このへんの事情は変動的なので考えない。)これが私が道を2つ設定して考え始める大前提となった。

考えた末に、私は2つめの道を選んだ。変だと思わないか?私は数十年前のレコードプレーヤーを修理してまで使おうとしているんだ。それなら、プリメインアンプのほうも修理するのが筋じゃないか?子供時代に使っていたレコードプレーヤーに思い入れがあるのなら、プリメインアンプにも思い入れがあるだろうに。なんで今回は修理に出さなかった?そこだ。私が今回の記事を精神的な話だと書いたのは。

私はレコードプレーヤーを修理したように、プリメインアンプにも思い入れがある。捨てたくはない。子供の頃はそれどころかステレオ機器の中で一番好きだったと思う。だって、レコードプレーヤーでもカセットデッキでもチューナーでも、どんな種類の音源を聴く時にも必ず使うのがプリメインアンプだから。

ただ、現在は少し事情が変わった。昔のテープデッキはとっくに壊れて処分し、チューナーも不要になって処分した。カセットテープのデジタル化のために新しく買ったテープデッキはいちおうプリメインアンプに接続しているものの、カセット音声をデジタル化した今ではプリメインアンプを通してカセットの音を聴くことはまずない。いまプリメインアンプを使うとすればレコードを聴く時だけだ。

それに、せっかくプリメインアンプを修理しても必要なのは当面フォノイコライザー部分だけで、アンプのライン出力をPCのライン入力に接続してレコードのデジタル化作業をするのが当面の予定だ。少なくともこの大変そうな作業を終えるまでは、アンプからスピーカーへ音を出してゆっくり楽しむことにはならないだろう。

さらに言うなら、たとえコンデンサを交換したとしても他の部品、抵抗や半導体やトランス、そしてもしあればコイルなどは数十年前のままだ。数十年前の性能が蘇るとは限らない。まともな性能を出すのが目的ならば、新製品を買うほうがいいに決まっている。

それで私は、レコードのデジタル化にさいしては上記2つめの道をとることにした。

将来的にプリメインアンプもコンデンサを交換したくなったら、その時は予算の都合がつく範囲で修理を依頼すればいい。

ここまで決心するのに、上記2つの道の間で数日間考えた。アンプを修理に出さずに新しいフォノイコライザーを買うということは、アンプにたいする思い入れを捨てるということにならないかという思いもあった。

レコードプレーヤーも修理を決める前は少し考えたが、どうして新品を買わずに修理したかというと、ひとつには私が子供のころとは時代が変わったという理由がある。現代は、とっくに商品の価格破壊が生じた後だ。外国製の安くてそこそこ使える商品に人気が集まり、性能は優れるが高い国産品は存続できなくなった。その結果、手頃な値段の製品がたくさん出回っているが、それが性能的にどこまで望めるかは口コミやレビューの類を参考によく調べなければならない。現代も性能重視の商品は存在するが、それは需要が少なくコストダウンが望めないこともあり高価で買えない。だから私が子供時代に手に入れたプレーヤーのとくに機械的な部分(床面からの衝撃を吸収する機構等)には今でも魅力があると考えた。

いっぽうアンプは、私が子供のころはまだトランジスタを多用する時代だった。果たして内部にICを使っているだろうか。オペアンプは使っていないと思う。LSIはないと確信する。このへんの技術革新は同時に性能向上にもつながった。たくさんのトランジスタ、抵抗、コンデンサを基盤に半田で取り付けるよりは、そのかわりに一個のチップを取り付けたほうが故障も少ない。音楽の微妙な表現ということになると一概には言えないが、それを追求すると特殊な真空管の使用にまで行き着いてしまい価格的に手が出せなくなる。そういう次元を諦めるならば、オペアンプが使える現代のフォノイコライザーを買うのは悪い選択肢じゃない。安いかわりに性能や経年変化に不安が残る商品が出回る現代だけれども、アンプは、機械駆動部の多いプレーヤーに比べると私は比較的不安が少ない。

個人的には、ネットで調べれば調べるほど類似した悩みは増える。つまり修理(またはそのまま使う)か、それとも新品購入か。修理(またはそのまま使う)という選択肢は私にとって、第一義には昔の愛機への思い入れを大事にするという意味合いがある。たとえばレコードの交換針。私ははるか昔、まだ自分のプレーヤーのカートリッジの交換針が売られているうちに、将来のために針をひとつ買っておいた。あれはアキバの石丸でのことだった。当時4780円もした針を買うのは、小遣いの限られた私には決心が必要だったのを今でも覚えている。その大昔の自分が決心して買い置きした努力が、数十年の時を経ていま役に立つ。それが私自身にとって大事なはず。ところが他方ではネットで調べると、針も長年放置すると内部のゴム部品が硬化すると書いてあった。音質を重視すればカートリッジごと新品に交換するほうが良いということか。そもそも今回私が購入したフォノイコライザーはMC型カートリッジ対応なので、MMからMCへ乗り換えるという手もある。と、ここではっと気づく。そもそも私は、今よりもずっとレコードに興味のあった子供時代にこのMM型カートリッジと針で聴いていた。今さらこの歳になってそれを変える必要があるのか?昔の自分が決心して買い置きした大事な品を不要にしてまでもする意味のあることか?私にとって本当に大事なのは何だ?音質追求ではないはずだ。

こうして精神的な惑いを抱えながら、私は少しずつ進む。精神的でない話は、また後日。その頃にはフォノイコライザーが届いているだろう。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(5) [  レコード(補完計画)]

今回はプレーヤーよりもヘッドホンの話が多い。大昔のナポレックスTPH-100と今のオーディオテクニカATH-A900Xを聴き比べた。



昨日は、レコードプレーヤーが修理から帰ってきた。その修理屋さんが修理だけでなくサビや汚れの掃除までしてくれていたのですごく感謝した。

ただ、トーンアームの掃除をするためにはバランスウェイトを取り外さなければならない。一度取り外したら、修理屋さんは適正な針圧調整ができない。そりゃ当然だ、修理屋さんは私のプレーヤーのカートリッジの適正針圧を知らないから。つまり、戻ってきたレコードプレーヤーのトーンアームの水平バランスと針圧調整は私の仕事だ。いや仕事というより、こういうのってオーディオマニアには楽しいよね。私流の言い方をすると、愛機と遊んでやれる一番楽しい時間だ。

それが済んでから、私はもうひとつやる事があった。それは、プリメインアンプのフォノイコライザが正しく動いているかテストする事だ。少し前までは、私はそんな事はどうでもいいと思っていた。私はもうおじさんで、このおじさんの耳で聴ける周波数帯域は若者ほど広くないはず。ならば、たとえ大昔のプリメインアンプが性能劣化していても、私の耳で鑑賞に堪える音が出ればそれでいいと思っていた。ところが、修理完了したレコードプレーヤーが返ってきたら、たくさんの電解コンデンサが交換してあった。修理屋さんは取り外した部品を捨てずに依頼主に返してくれるからそれがわかる。つまり、電解コンデンサを交換した結果プレーヤーが直ったという事だ。ネット上にも、コンデンサは年月が経つと役に立たなくなると書いてあった。ところで、フォノイコライザって、コンデンサ使うでしょ。私がプレーヤーとアンプを買ったのは同じ時。しかも同じメーカーの品。プレーヤーのコンデンサが駄目になっていた。つまりアンプも。つまりプリメインアンプのフォノイコライザはイカれてしまった?フォノイコライザがイカれると、「低音ほど大きくする」機能が働かなくなるわけだから、低音が出ないはず。それを確かめるには、スピーカーから音を出す。でも私は前の記事に書いたとおりヘッドホンばかり使ってきた人間だから、これからもヘッドホンで聴くならヘッドホンでチェックすべき。

ここまではまあ理論的に進んだけれども、ここから先が進まなかった。音質をチェックできるほどの高音質の音源が要る。レコードかCD。ところが、レコードを再生するにはプリメインアンプのフォノイコライザをどうしても通さなければならない。いっぽう、うちのCDプレーヤーは10年くらい前に壊れ、現在CDを再生できるのはPCだけ。つまり、レコードはオーディオのアンプでなければ再生できず、CDはPCでなければ再生できない。同じ音源をフォノイコライザを通した場合と通さない場合で聴き比べる事はできない。

それで私は、あんまり意味のない行動に出た。プリメインアンプではレコードを聴き、PCではCDを聴き、その音質を「なんとなく」比べた。うん。あなたが考えているとおり、これはきっと意味がない。かろうじて「音の出口」であるヘッドホンだけはレコードとCDで同じものを使った。結果は、プリメインアンプのフォノイコライザを通した音の低音には「なんとなく」不安が残るというものだった。この件はしょうもないので、ひとまずここまでとした。

で、上記のテストに使うために大昔のヘッドホンを出してきた。子供の頃にアンプ、プレーヤーと共に初めて手に入れたナポレックスTPH-100だ。イヤーパッドがすでに硬化し潰れてしまったので、元の性能の何割が出るのかはわからない。どうしてそんなものを使うのかといえば、子供の頃にずっと使っていた「耳に馴染む音」だからだ。

本当は上記のテストが「なんとなく」終わった時点でヘッドホンも仕舞うはずだった。でも、私の頭にあることが浮かんだ。

「数年前にカセットテープのデジタル化をするさいのモニター用に買ったオーディオテクニカのATH-A900Xと、大昔に愛用していたナポレックスのTPH-100は、どんな風に音が違うんだろう。」

そう考えると、なんだか聴き比べてみたくなった。

聴き比べに使った音源は、いま手元にある唯一のCD。カセットテープのデジタル化をした時にカセットテープ録音があまりに劣悪だったのでそれを補うために買った。CDの内容を書いたらあなたは呆れるだろう。甲斐智枝美の2枚組。いや私だって、クラシックのピアノ曲あたりで聴き比べをしたいという気はあった。でもそういうCDが手元にないから仕方がなかった。正確には「夕なぎ」という曲で聴き比べをした。

ATH-A900Xについて、私は以前の記事にこう書いた:

「オーディオテクニカのATH-A900Xというのを買った。ただ、その当時私はこのヘッドホンの音にいまひとつ満足していなかった。詳しいことは忘れたが、高音に比べて低音が強かったのかもしれない。買って使い始めた時の感想なので、エイジング前というマイナス要因があったかもしれない。」

今回聴いたところ、この「エイジング前というマイナス要因」は完全に消え去っていた。今では高音から低音まで、バランスに問題をまったく感じない。

さて聴き比べの結果だが、ATH-A900Xのほうが個々の楽器の音が分離して聞こえる気がする。TPH-100のほうはそれに比べると全体がひとつのまとまりとして聞こえる感じがする。ATH-A900Xで個々の楽器の音を聞き取りやすいというのは「音の出口」としての基本性能が優れているのかもしれない。ただ、今回聴き比べに使えた唯一の音源が歌謡曲だったが、ATH-A900Xはメインであるはずのヴォーカルが伴奏であるはずの楽器群にいくぶん埋もれがちで目立ちにくかった。TPH-100は、ヴォーカルを中心に楽器が脇役としてまとまっていた。これがクラシックの器楽曲ならば、感想は違っていたかもしれない。バスドラムのパンチは、TPH-100のほうは無いに等しい。ATH-A900Xのほうはそれよりもパンチを感じた気がする。

スピーカーとしての再現力は、おそらくATH-A900Xのほうが上だろう。ポップス系の歌謡曲を聴く場合に、音の再現力ではなく歌謡曲全体としてTPH-100のほうが聴きやすい事例があるかもしれない。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(4) [  レコード(補完計画)]

昔のVHS時代のOVAを調べて懐かしさに現を抜かしている間に、レコードプレーヤーの修理が完了して戻ってきた。私は性格的に、ひとつの事に興味が湧くと一時的にそればかりを見てしまう。複数の物事の同時進行が苦手だ。

で、前回のプレーヤー関係の記事(3)が梱包に必要なものを手に入れた話だから、次はプレーヤーを梱包・発送した記事を書くはずだったが、OVAを懐かしんでいる間に発送どころか修理も終わってプレーヤーが戻ってきた。急いで記事の続きを書かなくちゃ。

話の順番として、やっぱり梱包・発送の話から先に書くしかない。

2014年9月に修理を決定、修理してくれる人へ発送するための梱包用品を購入しておいた。10月3日、プレーヤーを掃除して梱包。

まずは掃除機のノズルと古歯ブラシで、コードを中心に埃を除去。コード以外の部分はカレンダーの大判紙をプレーヤーの大きさに折り曲げてかぶせてあったので、埃はそれほど入っておらず、掃除機で吸ってせいぜいティッシュで拭く程度。ただしトーンアームとシェルの接続部をブラシで掃除した時などは、白い粉がポロポロと落ちた。錆かもしれない。プレーヤーケースの縁、つまりダストカバーの端で埃が付きやすい所を中心に、かなり錆が出ている。これは今のようにプレーヤー全体を紙で覆うよりも前に簡易的に覆っていた時に入り込んだ埃が湿気を吸って錆になった可能性もある。トーンアームのバランスウェイトにも錆が出ていた。しかしこれは経験済みで、プリメインアンプのつまみにも錆は出ている。湿気が気になるような場所になくても、5年10年と経過するとつまみのメッキなどに錆は出る。クリーニング液等で一時的に錆を落とすことはできるが、数年経つとまた出る。

最初は錆落としもするつもりだったが、それをしていると梱包が遅れるのでそのままにした。

発送前に写真を撮った。

sl1700-1.jpg

写真を撮りながら気づいたが、ダストカバーにいくつか傷がある。若い頃に線香に火をつけた時にマッチを落としてしまった焼け焦げと、うっかりオーディオタイマーを落としてしまった時の傷だ。レコードプレーヤーを出してくる前は私以外の人にとっても昔の貴重な機械だと思っていたが、とんでもなかった。いざ出してみると錆だらけの傷だらけで、他人から見れば価値はない機械だ。むしろ若い頃の自分が付けてしまった傷が個人的に貴重な思い出だ。

レコードプレーヤーを出すだけでなく、オーディオ機器周辺の掃除もする必要があった。プリメインアンプから抜いたフォノ端子コードはオーディオ機器の後ろ側の隙間で埃だらけになっていた。短くて5年、ひょっとすると10年のあいだ積もった埃だ。これをしっかり掃除した。

レコードプレーヤーを置いてあった台も手前に動かし、裏の埃を掃除した。なぜプレーヤー台まで掃除したのかというと、この台はレコード収納箱でもあり、その中にオーディオ機器の取扱説明書も保存したと記憶していたからだ。プレーヤーのターンテーブル回転速度を調節するためのストロボ縞目が50Hz用と60Hz用の2種類あり、どちらが50Hz用かを正確に確認するために取扱説明書を見たかった。これによって、「既定の速度にならない」という私の認識が正しいことを確認してから修理に出す必要があった。

果たして、記憶のとおりにプレーヤー台にはレコードが入っており、スペーサーとして広辞林の箱があり、取扱説明書もあった。
sl1700-2.jpg

驚いたのは、埃がまったくと言っていいほど入っていなかったことだ。さらに、レコードは種類ごとに5枚位ずつまとめて昔のごみ出し袋に包まれていた。手前のガラス扉部分は大きな隙間が開いているが、収納箱前面を昔のごみ出し袋で覆って埃の進入を防いでいた。私がここまでしたのには理由がある。まだ子供の頃に大事なレコードに小さな黴が生えたことがあった。湿気取りのつもりでゼリー状の吸湿剤をレコードの上に載せていたら数ヵ月後に水が滴る状態になっていて逆にレコードジャケット上部にシミを作る結果となったこともあった。そういう過去の残念な経験が、私に完全空気遮断という方法をとらせた。

左半分のレコードが倒れて、スペーサーである広辞林の箱に寄りかかっていた。本来は収納箱の左壁に寄りかかっているべきものだ。2011年の大地震のせいと思われる。写真撮影後に直した。

取扱説明書は、急いでいたせいもあり、後でゆっくり見るためもあり、デジカメで撮影してすぐに仕舞った。同じ機種を昔もっていた人には懐かしいかもしれないので、写真を出しておこう。ただし、撮影時に明るい部屋はプレーヤーを出したり台の裏を掃除したりと大変な状態だったので、暗い部屋で撮影したから写りは良くない。
sl1700-3.jpg
sl1700-4.jpg
sl1700-5.jpg

私が見たかったのは、下の写真の左下だ。上段のストロボ縞目が50Hz用だということを確認したかった。
sl1700-6.jpg

sl1700-7.jpg

こうして収納箱裏の掃除も取扱説明書の確認も終わったので、収納箱は元に戻し、レコードプレーヤーの梱包にとりかかった。梱包方法はネット上の記述を参考にした。シェルをトーンアームに付けたままにするかどうかは迷ったが、取り外して針部に厚紙の囲いを付けてからプチプチで包み、プレーヤーケースの上に養生テープで貼り付けた。電源コード、フォノ端子コード、アース線はプレーヤーケースから直出しになっているので、段ボール箱の中でここが押されて強く折り曲がらないように両脇にプチプチを付けた。
sl1700-8.jpg

コードは束ねてプチプチで包み、プレーヤー本体に養生テープで貼り付けた。全体をプチプチで包んで、プレーヤーの包装は完成した。

次は段ボール箱の作成だ。Amazonの箱を再利用するが、この箱は形状がプレーヤーと著しく異なるので、一度バラして組み立て直す必要があった。あらかじめプレーヤーの寸法とAmazonの箱をバラした時の段ボールの大きさを比較し、大丈夫だという確認はしておいた。

よくある段ボール箱の形状に作るには段ボールの大きさがぎりぎりで難しく思えた。そこで、宅配ピザの箱のような形状を考えた。段ボールをどのように切断するか設計図を描き、設計図どおりに切断し組み立て、箱は予定通りの形に出来上がった。プレーヤーを入れてみると、予想通りピッタリのサイズだった。ところが、蓋を閉めてみてようやく気づいたことがある。蓋が箱の地まで来ていたので、その蓋をガムテープで止めるためにはテープが箱の底面にかかる必要がある。いま私はテーブルの上に箱を載せていてるので、箱をテーブルの端から少し出せば箱を持ち上げることなくテープを底面にも貼れる。しかし受け取った相手はどうだろう。ふつう、段ボールは上面のテープをはがすだけで開けられる。それが底面にまでテープが貼られていたら、開けるのに苦労するだろう。重いプレーヤーが入った箱を傾けてテープをはがさなければならない。そもそもプレーヤーは可能な限り傾けたくない。私は段ボールを箱にするという意味では完璧に事をこなしたが、その箱が開梱される時の事情を考えていなかった。できれば開け口は天にあってほしいし、そうでないならせめて蓋は箱の地まで届いてはいけない。平面に箱を置いたままでガムテープをはがせなければいけない。それで私はしかたなく、きれいに出来上がった箱の蓋部分が地に届かないようにハサミで切った。

さらに、最後に上面の隙間にプチプチを詰めようとして、ようやくわかったことがある。上面の隙間が大きすぎて、いくらプチプチがあっても足りない。これは困ったことになった。箱の上部四隅にハサミで切れ込みを入れ、段ボールを内側へ折り曲げて高さを調節した。その結果、蓋をそのまま蓋として使うことができなくなったので、蓋は箱本体から切り離した。

これらの作業の結果、箱の四隅の高さはそれぞれ微妙に異なり、蓋の四辺のうちの一辺は本体と合わさる部分がない(元は宅配ピザの箱の形状だったものの蓋を切り離したのだから、しかたがない)という、珍妙な段ボール箱になってしまった。

梱包に使う箱を作るならば、ただ箱として体裁が整っていればいいわけではないという事を私は学んだ。とにかく結果としてプレーヤーを送れる箱ができたのだから、よしとしよう。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(3) [  レコード(補完計画)]

レコードプレーヤーの梱包に必要なものが何かを調べ、手に入れた。

段ボール
プチプチ
養生テープ

養生テープなるものは家になかったので、まずはネットで調べてみた。寺岡P-カットテープというのがあった。もう1種類、検索でヒットしたが、ネット上の評価に1件、はがした時にたいていは跡が残らないが透明アクリルに貼った時に糊が残ることがあると書いてあった。レコードプレーヤーのダストカバーって、透明アクリルかもしれない。それで念には念を入れて寺岡にしようと思った。

アマゾンで調べたところ、幅5センチで307円というのがあった。スーパーでの値段よりも安い。「あわせ買い対象商品」という表記があって、それって何だろうと思った。私はそういう呑気人間なんだ。なんでも2,500円以上でないと注文できないらしい。それで最初は諦めた。

次にプチプチを探した。プチプチは小さいものならば何かが送られてきた時に手に入るが、今回はレコードプレーヤーをまるごと包まなければならないから買うしかない。60センチ×10メートルで1,091円。アマゾン注文後にスーパーに行ったら、70センチ×1メートルでものすごく安いのがあった。・・・まあいいか。でも幅70センチは魅力だったな。

段ボール。段ボールもネット通販で買えるけれども、商品の値段よりも送料のほうがはるかに高くなる。はっはっは。そりゃ無理だね。これは近所のスーパーに置いてある段ボールをもらってくるしかないと思った。最初は。

アマゾンで注文する前に、他に必要なものはないかなと考えた。ここから先は女性でなく男性を対象に書く。私が特別かもしれないが、私はひとつの事を考えている間は別の事が頭にない。それで損をする事がある。一般にそういう傾向は男性にあると聞いた事がある。女性は脳の仕組みが違うらしく、ひとつの事を考えながら常に別の事も考えられるらしい。私はそういうのが苦手だから、ことさら気をつけて考える事にした。今回の注文はレコードプレーヤー発送関係に限る必要がない。他に買わなければならないものはなかったか。

あった。天津すだれ。うちは住居の事情で夏に窓にどうしてもすだれを垂らさなければならない。しかもこの窓が天窓も含めて高さ幅ともに大きく、特大サイズのすだれを3枚使わないと遮光できない。(あ、誤解しないでくれ。大きな屋敷に住んでいるのではない。たんに家が窓だらけだというだけの事だ。)そのすだれが、今まで何年も使ってきたのでボロボロになっていた。私はケチ根性を発揮してそれでもボロボロすだれを来年も使うつもりだった。でもよく考えるんだ私。あの、低所得者の事が全然頭にない安倍首相は、絶対に消費税をまた引き上げる。たとえ日本がひっくり返っても引き上げると私は確信している。ボロボロすだれを再来年には買い替えねばならないとしたら、いつ買うか?今でしょ。

天津すだれ特大サイズを3つも買うと、それだけで2,541円。さあ私、ひとつの事を考えている間も別の事を考えるんだ。さっき何かあったなあ。「あわせ買い対象商品」。2,500円以上なら注文可能。これで養生テープも一緒に注文できる。

こうして私は全部アマゾンで一括注文した。ご存知のとおり配送料無料。後はスーパーで段ボールを探してくるだけとなった。勘のいい人はもう気づいた?そう、私はこんな風に、ひとつの事を考えている間は別の事が頭にないんだ。・・・数日後、アマゾンの商品が届いた。爪に綺麗にネイルアートをしたお姉さんが巨大な段ボールを持ってきた。持ちにくそうだ。「置かせてもらっていいですか」と言うので「はいどうぞここに」と返答すると、お姉さんは置きながら「でも軽いんです」と言った。それ知ってる。中身がプチプチと天津すだれだから。頭の回転の悪い私はこの段階でやっと気づいた。「あ、段ボールみっけ。」

掃除機と比べると、段ボールの大きさがわかる。背景にある白い紙は、この段ボールに詰まっていた大量の紙(詰め物)だ。

cardboard_box1.jpg

大量の紙(詰め物)を取り除いた後の段ボール内部。中がガラ空きだ。はっはっは!いやー、アマゾンはいつもこんな感じだよね。

cardboard_box2.jpg

天津すだれは使うのが来年以降だから、しかるべき場所に保管。プチプチと養生テープはレコードプレーヤー梱包時まで部屋の隅に置いておく。段ボールはバラして1枚にし、ひとまず部屋の片隅に立てかけておく。私はドジを踏む事があるから、段ボールをプレーヤーの大きさに組み立て直すのは日を改めて冷静に行う。どうせ今の私は頭が働いていないから。今日はここまで。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに(2) [  レコード(補完計画)]

レコードプレーヤーを修理してくれる人にメールを送ってみた。返事が来るまで数日かかると思う。私が書いた機種と症状をもとに修理の可能性があるか判断してくれるはずで、可能性があれば私はその人にプレーヤーを梱包して送ることになる。

実際のところはその人からメールが来るまで何も決まらないのだが、せっかく自由時間があったので少し自分なりに遊んでみた。つまり、修理に出すと仮定して、それならば私はどう動かねばならないかと考えてみた。

仮にレコードプレーヤーが修理できたとしても、そのプレーヤーにはフォノイコライザーアンプが付いてない。フォノアンプは大昔のプリメインアンプのほうに付いている。で、このプリメインアンプがまた大昔のだから、半分壊れている。アンプにはレコードプレーヤーやカセットデッキのような可動機械部品がほとんどないので、壊れてもプレーヤーやカセットデッキほど目立たない。いちおう聞こえる。でもネット検索すると、コンデンサーは何十年も経てば使えなくなっているとよく書かれている。イコライザーってたぶん、コンデンサーと抵抗とトランジスタで当時は構成されていたんじゃないかな。果たして、この大昔のプリメインアンプに内臓されているフォノイコライザーアンプは、現在どの程度動いているのだろうか。

フォノイコライザーアンプというのが現在単体で売っているかどうかをまず調べてみた。あった。アンプと名の付くものは、とんでもなく高いのが結構あって驚いた。十何万円とか二十何万円とか。とんでもない。アンプと付かないフォノイコライザーなら数万円だ。買うならこれくらいの出費は仕方ないだろう。ただしリストラ1年目の私に金銭的余裕はまったくない。買うものはよく考えなければならない。

そこで私は考えた。そもそもおじさんとなった私の耳が、若い人ほど高音にせよ低音にせよ聞こえるわけではなかろう。つまりオーディオマニアが満足するほどの音質が、私に必要なわけではない。要は、私が満足すれば良いのだ。大昔のプリメインアンプのフォノアンプ部がどんな状態かは、私のこの耳で聴いて判断するのが一番だ。フォノイコライザーを買うかどうかはその後で決まる。

さてそれでは、私のこの耳で聴くことが今すぐできるだろうか。できない。音の出口、スピーカーの問題がある。私は子供の頃からヘッドホンで聴く人間だったから、音を判断するにもヘッドホンが良い。現在すでにヘッドホンをもってはいる。以前にカセットテープ音声のデジタル化をする時に、音をちゃんとモニターしなきゃいけなかったので、オーディオテクニカのATH-A900Xというのを買った。ただ、その当時私はこのヘッドホンの音にいまひとつ満足していなかった。詳しいことは忘れたが、高音に比べて低音が強かったのかもしれない。買って使い始めた時の感想なので、エイジング前というマイナス要因があったかもしれない。しかし私はこう考えた。私は子供時代、いちばん夢中になってレコードを聴いた時代に、ナポレックスのTPH-100というヘッドホンを使っていた。おっと勘違いしないでくれ、私はそれを名機だと言いたいのではない。そうではなくて、子供時代にずっとそのヘッドホンを使っていた私にとって、そのヘッドホンから出る音が個人的にとても心地よい。そのことは、以前にTPH-100を出してきて久しぶりに試した時に感じた。ただし、イヤーパッドが硬化し、ぺしゃんこになり、この状態では低音がてんで聞こえない。イヤーパッドを交換しなければ。でもナポレックスという会社はとっくに消滅しており、もはやイヤーパッドを売ってはいない。

他社のイヤーパッドを流用するしかないが、果たしてサイズ的、構造的に合うかどうかは試すまでわからない。最低限、サイズと形状は合わなければいけない。TPH-100のハウジングは、まんまるだ。世の中には楕円形のハウジングをもつヘッドホンが多い。それは、外耳が縦長の形状であることを考えればなるほどと思う。でもとにかく私が必要なのは、まんまるのイヤーパッドなんだ。あと、私は個人的にこだわりたいことがあった。TPH-100のイヤーパッドはまんまるだが、中心の穴は縦長だ。だから私は、まんまるで、中心の穴が縦長のイヤーパッドを探した。

オーディオテクニカ、ソニー、パイオニア、パナソニック、ビクター、ボーズ、シュアを探した。まんまるで穴が縦長というイヤーパッドはほとんどなかった。まんまるなら穴もまんまる、穴が縦長ならイヤーパッドそのものも縦長だった。ソニーだけ、該当するイヤーパッドがあった。片耳2180円税別。片耳3780円税別。片耳だから、この金額を2倍し、それに税だの送料だのを加えなければいけない。この金額は、サイズが合わなかったら仕方ないと諦めるような賭けができる額ではない気がする。

それで、私としてはとても残念だが、まんまるで穴もまんまるのイヤーパッドに妥協するかもしれない。まずはATH-A900XとTPH-100のハウジングのサイズを比べてみたい。ATH-A900X用のイヤーパッドならば、もしもTPH-100に使えなかった時には手持ちのATH-A900Xの予備パッドとして所持すればいいからだ。今日はここまで。

コメント(0) 

レコードプレーヤーがついに [  レコード(補完計画)]

歌う大捜索願のエントリーNo.3が宮前ユキの「あなたのそばで生きるなら」と判明した。英語名でLet me take, let me beとも呼ばれる。なぜはっきりわかったかというと、中古レコードが売られていたからだ。私はそれをネット注文した。

大捜索願の曲がまたひとつ明らかになったのだから私はすごく喜んでいるはずの所だが、別件でそうも行かない。実は、その買ったレコードをプレーヤーで再生しようとしたところ、プレーヤーが壊れているのがわかった。ターンテーブルの回転が遅く、変動する。微調整のつまみを+方向いっぱいに回しても回転速度が少し足りない。それどころか時々音がヘニャッとなる。

そういえば、はるか昔にプレーヤーを使った時に、45回転は微調整の+方向いっぱいでちょうどの速度だったのを思い出した。その当時すでに少しずつ問題が出てきていたということだ。でも当時はまだちょうどの速度が出たし、音がヘニャッとならなかった。

アナログディスクのリバイバルやデジタル化でレコードプレーヤーが今でも売られていると聞いたので、ちょっと検索してみた。なるほど、USBプレーヤーというのもあるのか。そうでなくても、フォノアンプ内蔵で使いやすそうだ。性能のほうは、今のこのご時世だから数十年前とは違い、高性能を目指すものでなく安価でまずまずの所を狙った商品が目立つ。レビューを見ると、コストパフォーマンスに満足というレビューもあれば、何らかの理由で使えなかったというレビューもある。私自身が満足するかどうかは使ってみなければわからない。今もっている大昔のプレーヤーならば良くも悪くも知り尽くしたプレーヤーだから、それがまともに動いてくれれば私としては不満は出ない。

上記の検索のさいに、昔のオーディオを修理してくれる人をひとり見つけた。もちろん修理可能かどうかは物を見てもらわなければわからないが。

さて私はどうするべきか。新しいプレーヤーを買うべきか、今のプレーヤーの修理を試みるべきか。

レコードのデジタル化が目当てなら新しいのを買ったほうがいい。再生と同時にデジタル化までしてくれればとても楽だ。音にマニアレベルの高いクオリティは望めそうにないが、そもそも今のプレーヤーを修理したってフォノアンプは付いていないから、大昔のプリメインアンプにつなぐしかない。大昔のコンデンサをそのまま使っているアンプにだ。これだって音のクオリティは望めないだろう。

今のプレーヤーの修理を試みるという選択肢は、私の主たる目的がレコード音声のデジタル化でなく、「子供の頃から一緒に過ごしてきたメカと今また一緒に生きる」ことにある場合に意義が生じる。もしそうならば、プレーヤーと一緒に過ごす時間、つまりまずは修理のために梱包・発送したり、修理可能かどうか結果を待つ時間のすべてが楽しくなければ嘘だ。それ自体にワクワクできるなら、大昔のボロプレーヤーを高い金と面倒をかけて修理に出すのも意義がある。

コメント(0) 

今日は予定を変更して昔のソノシート探し [  レコード(補完計画)]


いつもは私なりに、人様にも何かの役に立つ記事をと考えていますが、今日はすみません、ただの私の無駄話におつきあいください。

そういえば子供の頃に初めて買ってもらったソノシートは「怪獣えかきうた」だった、と、ふと思い出しました。ネット検索してみたら、これの情報がありました。どうやらまだ持っている人がいるらしい。世の中はすごいと思う。でも曲そのものがネットにないっす。頭の中には記憶が残ってるんですよ。「ふしぎなまゆの、はなしー」とか「ふんづけたーりはできないモン」とか「悲しい怪獣ジャミラー、ジャミラー、ジャミラー」とか、いったい何十年前の記憶だ?というのが蘇ってくる。それくらいならソノシートを保存しておけば良かったのに、人生ってのはそううまく行かない事が多いんですよね。

でも、大昔のソノシートだのEPレコードだのは少し保存しているはずで、急にそれが見たくなりました。そこに怪獣えかきうたがないなら、諦めもつくというもの。それで今日は朝っぱらから頑張って、たぶん数十年開けてないEPレコード入りの木箱を出してきました。なにしろ開けた覚えがないから、どんなに埃だらけだろうと思っていたんですが、これがびっくり、埃がほとんど入っていません。おまけにレコードはビニールに入れて保管してある。数十年前の私、やるじゃん。

でも思ったとおり、大抵のレコードは怪獣えかきうたよりもずっと後の歌謡曲でした。

intermezzo1.jpg
中にはすでに記憶にないものも。私は時間ですよ昭和元年を見ていないと思い込んでいましたが、どうやら見てたようです。谷口世津さん・・・うう、すんません、すでに記憶が・・・。歌を聴いたら思い出すだろうな。

intermezzo2.jpg
と思ったら、EPOまである。買ったのか、私はEPOまで買ったのか。

intermezzo3.jpg
もちろん記憶にあるレコードも。さらばハイセイコー。これは絶対買った。(いや当時私はガキだったので親に買ってもらった。)今回ビニールまで開ける予定がないので、このままレコードの束をひっくり返します。

intermezzo4.jpg
するとウルトラマン/ウルトラセブン/キャプテンウルトラ/ガメラマーチという、なんとも節操のない内容のレコードが。その手前にある緑のソノシートは怪獣総進撃です。子供の頃、「問題の電波は、あの円盤の下からででる」を聴いて、しっかり喋ってくれと思ったのをいまだに覚えています。このソノシートの内容は、すでにようつべにUPされています。

intermezzo5.jpg
ハイセイコーとウルトラマンの間に何のレコードが挟まってるか少し気になります。縦にして覗き込んだらサンダーマスクだけは確認できたけど、あと1枚は不明。でも今回はここまで。他にも今日やるべき仕事があるので、これでEPレコードは仕舞います。

思った通り、怪獣えかきうたはありませんでした。

サンダーマスクはジャケットが記憶にあるのでわかりますが、この方のブログにある
http://blogs.yahoo.co.jp/nemoro_blue/19035926.html
これです。昔の品物についての多くの情報がネット上にあるのは有難いことです。うう、ついでに怪獣えかきうたの曲も、誰か・・・

コメント(0) 

記録 LPレコードを1枚だけPC保存した [  レコード(補完計画)]

以前の記事に書いたが、私は自分の人生補完計画を完結させるために必要なDVD、CD、レコードを買った。レコードはコピーガードがかかっていないので音をPC保存可能だ。買ったからには盤の状態も早く確認したいというわけで、私はゴールデンウィークのうちにレコードのPC保存をすると決めた。

今日は朝起きて朝食後に、まずステレオの掃除から始めた。なにしろレコードを演奏する部分はずっと触った記憶がない。10年くらいは放置してある。私は覚悟を決めて掃除機を引っぱり出した。

レコードプレーヤーにはカバーが付いているからターンテーブルが露出してはいないが、そのままではカバーの隙間からどんどん埃が進入して内部まで埃が積もった経験がある。そこで古カレンダーを小学校の図工よろしく整形して、それをプレーヤーの上からかぶせてあった。でも、かぶせたのが10年くらい前だ。

私はプレーヤーとその隣の機器の間に積もった埃から掃除しはじめたが、隙間が狭くて掃除機のホースが入らない。ティッシュを持ってきて指に巻きつけこする。すると10年分の埃が舞い始めた。こりゃたまらん。掃除機パワー全開で吸いまくる。

record0.jpg

次にプリメインアンプの接続コードまわりの掃除。ここの接続を変えて、TAPE 1 REC OUTとPCのライン入力を接続しなければならない。

そしていよいよ、買ってきた中古レコードを段ボール包装から取り出した。これをプレーヤーのターンテーブルに・・・と思いつつ、あっと気づいた。レコードジャケットを置く台を用意しなかった。床にそのまま置くと、さっきまでの掃除でそこらへんに飛んだ埃が付きそうだ。ジャケットに付いた埃は後でレコードに付く。長年プレーヤーを触らないでいた間に、我が家でのレコード演奏の手順をすっかり忘れていた。

そんな調子だから、もうひとつ忘れていた。仕舞い込んだレコードクリーナーを出しておくのを。「いいや、眼鏡拭きの布で拭いてやれ」と思い、私は布を探した。ない!眼鏡拭きの布の新しいのをどこかに仕舞ったはずだが、見つからない。こうなったらレコードクリーナーを出すしかない。クリーナーのある引き出しの前にはPC-9821が鎮座していて、これを動かすのが面倒なものだから、普段は埃まみれになっている。今回は運よく、ゴールデンウィークに入ってから一度掃除した。PC-9821を手前へ動かしてから引き出しをあけると、一番手前に見慣れないものが。

record1.jpg

これは、レコードクリーナーではないか!しかも見覚えがない。私がもっているクリーナーはもっとずっと小さくて、高校時代から使い込んで磨り減った物のはずだったが。たぶん、レコード関係の商品が手に入らなくなりそうだと思った時点(その時は、何十年も経って再びレコードにレトロブームが来るとは予想できなかったから)で、秋葉原で買っておいたのだろう。つまり、これを買ったのはひょっとすると20年前、かもしれない。

とにかくこれで、物は揃った。レコードプレーヤーは数十年前の骨董品だが、それでもダイヤの楕円針だったはずだ。気休めだが付属の小さなブラシで針をなでる。アームを動かすとターンテーブルが回り始めた。まだ動くぞ。アームを動かしたりリターンレバー(正式名称忘れた)を使ったりして可動部を20年の眠りから目覚めさせる。針圧調整は今さら何かすると自滅しそうだ。20年前の調整を信じよう。ターンテーブル縁の模様を見ながら回転数を微調整。

record2.jpg

盤上に針を落とした。片チャンネルしか音が聞こえない。プレーヤーは健在だったがプリメインアンプが接触不良か。プリメインアンプのSOURCEボタンをパチパチと切り替える。一瞬両チャンネル聞こえた。いろんなつまみやレバーを動かしてサビを落としたほうがいいなと考えた。私はいろんなつまみを動かし始めた。テープセレクタのレバーを動かす番になった。このアンプは以前からこのレバーが接触不良で、たしか真ん中では音が出ず、TAPE1 -> TAPE2 か何かにすると音が出るんだった。と思いつつこのレバーをパチパチと切り替えた。サビ落としのつもりだった。そうしたら、全然音が聞こえなくなっちゃったヨー。

20年以上前はたしかに、TAPE1 -> TAPE2 か何かにすると音が出たんだが。どこをどう操作しても音が出ない!しまった、そーっと使えばよかった。このプリメインアンプ以外にはフォノアンプ内臓の機器をもっていないし。ううー。

私はテープセレクタのレバーをあちこちグリグリ動かした。すると、どこの接点でもない微妙な位置で片チャンネルだけ聞こえはじめた。レバーがずれるとすぐまた聞こえなくなった。

私は、得意の手を使う事にした。A4の紙を取ってきた。これを適当な厚さになるまで折って、レバーの隙間に押し込んだ。こうしてレバーの自由な動きを奪いつつ慎重に動かして左右の音が出る位置はないかと探した。しかし時が経ちレバーが少しずつ動くと音が出なくなる事があるので困ったなと思っていたところ、有難いことに中央のレバー固定位置で紙をレバー左側の隙間に押し込んでギューギューとレバーを右へ押し遣ったら偶然にも左右の音が聞こえた。このままだ、このままそーっと再生するのだ。今度同じ事をしても音が聞こえるとは限らない。聞こえるのは今だけと思ったほうがいい。

プレーヤーのカバーは閉じて演奏させる。どういう理屈か知らないが、外の音を針が拾って再生してしまう事がある。どんな周波数の音の時にそうなるのか、高い音だったか低い音だったかは、20年以上の年月の間にすっかり忘れてしまった。とにかく外で車のドアがバタンと閉まるたびに針が拾わないだろうかと心配しながらPCでの録音を終えた。終えてから、はたと気づいたが、2台あるPCのうち関係ないほうまで稼動していて、ファンの音がフィーフィーと鳴りっぱなしだった。やってる事と考えている事がちぐはぐだ。私の行動なんてこんなもの。

record3.jpg

今回買った中古レコードは、大竹しのぶの童謡。くまのプーさんとクリストファー・ロビンの歌だそうだが、プーとクリストファーは一部の歌にしか登場しない。

「A.A.ミルンと聞いて何を思い出しますか?」と言われると、日本人の反応は少なくとも3つある。
1.くまのプーさん
2.赤い館の秘密
3.そんな人知らない
私は長年、自分は2だと思い込んでいた。でも実はルルーの「黄色い部屋の秘密」と混同していた。だめだこりゃ。だから恥ずかしながら1に宗旨替えしよう。上記レコードの歌詞はミルンの子供のための詩集
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%9F
によるという。

中古レコードを買った店は「グリグリ」という名前。埼玉県さいたま市にあるという。私も若い頃は東京都を中心に中古レコードを探してこういうレコード屋を虱潰しに訪ねた事がある。懐かしい。盤質はNM(多少汚れがあるが、ノイズなどはない)で、よーく見ると2-3ミリのカビの跡が2箇所。これはクリーナーのベルベットでこすっても変化なく、落とせる汚れはすでに店が落としてくれた後と思われる。再生には支障なかった。継続的なブツブツとか擦れる音とかのノイズも聞かなかった。結局ノイズはAB面通して1箇所だけ、小さな傷があると思われ、レコードの回転につれてプツッ、プツッ、プツッと3回くらい聞いたか。レコードというアナログメディアは新品でさえ何らかのノイズがあっても仕方ない構造で、それが中古なのだから、この品質は「上の上」だ。

今後私はレコードをPC保存するだろうか。まだわからない。レコードを扱う時の埃の心配はカセットテープの比ではない。ネット上の書き込みに、CDで売られているものはレコードを演奏してデジタル化するよりもCDを入手したほうが音質的にも苦労的にもはるかにましだとあったが、それは正しいように思える。ただ、アナログのレコード盤に触れる機会がまたいつの日かあったらいいなあ。サンダーマスクのEP盤もっていたはずだなあ。

コメント(1) 
- | 次の30件   レコード(補完計画) ブログトップ