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レコードプレーヤーがついに(5) [  レコード(補完計画)]

今回はプレーヤーよりもヘッドホンの話が多い。大昔のナポレックスTPH-100と今のオーディオテクニカATH-A900Xを聴き比べた。



昨日は、レコードプレーヤーが修理から帰ってきた。その修理屋さんが修理だけでなくサビや汚れの掃除までしてくれていたのですごく感謝した。

ただ、トーンアームの掃除をするためにはバランスウェイトを取り外さなければならない。一度取り外したら、修理屋さんは適正な針圧調整ができない。そりゃ当然だ、修理屋さんは私のプレーヤーのカートリッジの適正針圧を知らないから。つまり、戻ってきたレコードプレーヤーのトーンアームの水平バランスと針圧調整は私の仕事だ。いや仕事というより、こういうのってオーディオマニアには楽しいよね。私流の言い方をすると、愛機と遊んでやれる一番楽しい時間だ。

それが済んでから、私はもうひとつやる事があった。それは、プリメインアンプのフォノイコライザが正しく動いているかテストする事だ。少し前までは、私はそんな事はどうでもいいと思っていた。私はもうおじさんで、このおじさんの耳で聴ける周波数帯域は若者ほど広くないはず。ならば、たとえ大昔のプリメインアンプが性能劣化していても、私の耳で鑑賞に堪える音が出ればそれでいいと思っていた。ところが、修理完了したレコードプレーヤーが返ってきたら、たくさんの電解コンデンサが交換してあった。修理屋さんは取り外した部品を捨てずに依頼主に返してくれるからそれがわかる。つまり、電解コンデンサを交換した結果プレーヤーが直ったという事だ。ネット上にも、コンデンサは年月が経つと役に立たなくなると書いてあった。ところで、フォノイコライザって、コンデンサ使うでしょ。私がプレーヤーとアンプを買ったのは同じ時。しかも同じメーカーの品。プレーヤーのコンデンサが駄目になっていた。つまりアンプも。つまりプリメインアンプのフォノイコライザはイカれてしまった?フォノイコライザがイカれると、「低音ほど大きくする」機能が働かなくなるわけだから、低音が出ないはず。それを確かめるには、スピーカーから音を出す。でも私は前の記事に書いたとおりヘッドホンばかり使ってきた人間だから、これからもヘッドホンで聴くならヘッドホンでチェックすべき。

ここまではまあ理論的に進んだけれども、ここから先が進まなかった。音質をチェックできるほどの高音質の音源が要る。レコードかCD。ところが、レコードを再生するにはプリメインアンプのフォノイコライザをどうしても通さなければならない。いっぽう、うちのCDプレーヤーは10年くらい前に壊れ、現在CDを再生できるのはPCだけ。つまり、レコードはオーディオのアンプでなければ再生できず、CDはPCでなければ再生できない。同じ音源をフォノイコライザを通した場合と通さない場合で聴き比べる事はできない。

それで私は、あんまり意味のない行動に出た。プリメインアンプではレコードを聴き、PCではCDを聴き、その音質を「なんとなく」比べた。うん。あなたが考えているとおり、これはきっと意味がない。かろうじて「音の出口」であるヘッドホンだけはレコードとCDで同じものを使った。結果は、プリメインアンプのフォノイコライザを通した音の低音には「なんとなく」不安が残るというものだった。この件はしょうもないので、ひとまずここまでとした。

で、上記のテストに使うために大昔のヘッドホンを出してきた。子供の頃にアンプ、プレーヤーと共に初めて手に入れたナポレックスTPH-100だ。イヤーパッドがすでに硬化し潰れてしまったので、元の性能の何割が出るのかはわからない。どうしてそんなものを使うのかといえば、子供の頃にずっと使っていた「耳に馴染む音」だからだ。

本当は上記のテストが「なんとなく」終わった時点でヘッドホンも仕舞うはずだった。でも、私の頭にあることが浮かんだ。

「数年前にカセットテープのデジタル化をするさいのモニター用に買ったオーディオテクニカのATH-A900Xと、大昔に愛用していたナポレックスのTPH-100は、どんな風に音が違うんだろう。」

そう考えると、なんだか聴き比べてみたくなった。

聴き比べに使った音源は、いま手元にある唯一のCD。カセットテープのデジタル化をした時にカセットテープ録音があまりに劣悪だったのでそれを補うために買った。CDの内容を書いたらあなたは呆れるだろう。甲斐智枝美の2枚組。いや私だって、クラシックのピアノ曲あたりで聴き比べをしたいという気はあった。でもそういうCDが手元にないから仕方がなかった。正確には「夕なぎ」という曲で聴き比べをした。

ATH-A900Xについて、私は以前の記事にこう書いた:

「オーディオテクニカのATH-A900Xというのを買った。ただ、その当時私はこのヘッドホンの音にいまひとつ満足していなかった。詳しいことは忘れたが、高音に比べて低音が強かったのかもしれない。買って使い始めた時の感想なので、エイジング前というマイナス要因があったかもしれない。」

今回聴いたところ、この「エイジング前というマイナス要因」は完全に消え去っていた。今では高音から低音まで、バランスに問題をまったく感じない。

さて聴き比べの結果だが、ATH-A900Xのほうが個々の楽器の音が分離して聞こえる気がする。TPH-100のほうはそれに比べると全体がひとつのまとまりとして聞こえる感じがする。ATH-A900Xで個々の楽器の音を聞き取りやすいというのは「音の出口」としての基本性能が優れているのかもしれない。ただ、今回聴き比べに使えた唯一の音源が歌謡曲だったが、ATH-A900Xはメインであるはずのヴォーカルが伴奏であるはずの楽器群にいくぶん埋もれがちで目立ちにくかった。TPH-100は、ヴォーカルを中心に楽器が脇役としてまとまっていた。これがクラシックの器楽曲ならば、感想は違っていたかもしれない。バスドラムのパンチは、TPH-100のほうは無いに等しい。ATH-A900Xのほうはそれよりもパンチを感じた気がする。

スピーカーとしての再現力は、おそらくATH-A900Xのほうが上だろう。ポップス系の歌謡曲を聴く場合に、音の再現力ではなく歌謡曲全体としてTPH-100のほうが聴きやすい事例があるかもしれない。

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