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レコードプレーヤーがついに(8) [  レコード(補完計画)]

今回は実験の記録


目的
子供時代に手に入れたプリメインアンプの内臓フォノイコライザが現在どんな状態かを知る。経年劣化はどの程度か。聴ける音を出せるのか、そうでないのか。



実験の構想
新たにフォノイコライザを買った。買ったばかりのフォノイコライザは実用になる性能をもっているはずだ。これとプリメインアンプを比較しよう。比較にはオーディオ・テスト・レコードを使う。
phonoeqtest1.jpg
このレコードにはさまざまな周波数の正弦波がRIAA特性で記録されている。これを使えば、フォノイコライザとプリメインアンプを比較するのはもちろんのこと、新たに買ったフォノイコライザがどんな癖をもっているかもわかるはずだ。なお、この実験の目的であるプリメインアンプの状態を知るというのは、その根底に自分が聴ける状態にあるかという疑問が存在する。たとえ入出力特性が劣化していてもそれが私の耳の可聴範囲外ならば問題ない。そこで、上記の比較実験と同時に私の耳の可聴範囲も調べる。



実験の詳細

DENON AUDIO TECHNICAL TEST RECORD XG-7005 RIAA SYSTEM TEST
のA面にある
SPOT FREQUENCY
をレコードプレーヤーで再生し、2通りの経路でPCに取り込みwavにした。2つの経路とは

1. レコードプレーヤーの出力をプリメインアンプのフォノ入力に入れ、テープデッキ用REC OUTから出力してPCのライン入力に入れる。

2. レコードプレーヤーの出力をフォノイコライザの入力に入れ、その出力をPCのライン入力に入れる。

こうしてできた2通りのwavをSoundEngine Freeに読み込み、各周波数の正弦波の音圧レベルを記録すると共に、振幅を視覚的にも比較した。音圧レベル記録はリアルタイムで変化するレベルメーターの値を目で読み取った平均的な値なので、最大でおよそ1dB程度の誤差がありうる。

私の耳の可聴範囲を調べるには、上記の音圧レベル読み取りのさいにヘッドホンで音をモニターし、左右の耳で聞こえるか聞こえないかを確認した。モニターにはNAPOLEX TPH-100を使った。安価なヘッドホンAIWA HP-X122を使うと私の耳の可聴範囲よりもヘッドホンの周波数特性のほうでいくぶん聴き取りが制限された。オーディオテクニカATH-A900Xは事情により当該PCに接続できず、使えなかった。



実験の結果

A. 音圧レベルと私の耳の可聴の記録

オーディオ・テスト・レコードのSPOT FREQUENCYは、高い周波数と低い周波数の2部に分かれている。それぞれの始まり直前や終わりの部分はレコードの溝が同心円(エンドレス)になっており、針を落とす時には始まり直前の同心円よりもわずかに内側に落とさなければならなかった。実際には針が落ちた場所が内側すぎて最初の正弦波が再生できなかった時がある。しかし最初の正弦波は1KHzで、1KHzは最後にもう一度記録されているので、テストに支障はない。

録音レベルは、レコード冒頭にあるパイロット信号に合わせた。このパイロット信号はとくに音が大きく、その後の各種正弦波は音が小さいので、結局録音レベルは低くなってしまった。パイロット信号はwavに含まれていない。

フォノイコライザ RIAA SPOT1

1K L -24dB
1K R -24dB
20K L -24.5dB
20K R -26dB
18K L -24.5dB
18K R -26dB
16K L -24.5dB
16K R -26dB
14K L -24.5dB
14K R -27dB
12.5K L -25dB 左耳やっと聞こえた
12.5K R -27dB
10K L -25dB
10K R -28dB 右耳やっと聞こえた
8K L -26dB
8K R -28dB
6.3K L -26dB
6.3K R -28dB
4K L -24.5dB この4Kになって、左右ともちょっと音が大きくなったのを確認
4K R -27dB
2K L -24dB
2K R -25dB

フォノイコライザ RIAA SPOT2

1K L 切れていてない
1K R -24.5dB
500 L -24dB
500 R -25dB
250 L -23.5dB
250 R -25dB
125 L -24dB
125 R -25dB
80 L -24dB
80 R -25dB
63 L -24.5dB
63 R -25dB 右耳限界のようだ、わずかに聞こえる
40 L -24.5dB 左耳も聞こえない
40 R -25dB
31.5 L -24.5dB
31.5 R -25dB
25 L -24.5dB
25 R -25dB
20 L -24dB
20 R -24.5dB
1K L -24dB
1K R -24.5dB

プリメインアンプ RIAA SPOT1

1K L 切れていてない
1K R 切れていてない
20K L -28dB
20K R -25dB
18K L -26dB
18K R -25dB
16K L -27dB
16K R -25dB
14K L -27dB
14K R -27dB
12.5K L -28dB
12.5K R -27dB
10K L -28dB
10K R -27dB
8K L -28dB
8K R -27dB
6.3K L -28dB
6.3K R -27dB
4K L -28dB
4K R -27dB
2K L -27dB
2K R -27dB

プリメインアンプ RIAA SPOT2

1K L 切れていてない
1K R -25dB
500 L -26dB
500 R -26dB
250 L -26dB
250 R -26dB
125 L -26.5dB
125 R -26.5dB
80 L -28dB
80 R -27dB
63 L -28.5dB
63 R -27dB
40 L -31dB
40 R -28dB
31.5 L -32dB
31.5 R -28dB
25 L -34dB
25 R -28dB
20 L -35dB
20 R -28dB
1K L -26dB
1K R -26dB

音圧レベルを数値として読み取り記録するのは面倒だった割にそこから何かを読み取るのが難しい。

私の耳の可聴範囲は左が12.5KHz - 63Hz、右が10KHz - 63Hz。

B. SoundEngine Freeに表示された振幅

フォノイコライザ RIAA SPOT1
phonoeqtest2.jpg

フォノイコライザ RIAA SPOT2
phonoeqtest3.jpg

プリメインアンプ RIAA SPOT1
phonoeqtest4.jpg

プリメインアンプ RIAA SPOT2
phonoeqtest5.jpg

すべての図で振幅の目盛幅(縦軸)は統一してあるが、時間軸の目盛幅(横軸)はそれぞれのwavが1画面に収まるまで縮めたので統一していない。それぞれの振幅が何Hzかを記入しておいた。赤線は私の耳の可聴範囲をあらわす。赤線より高い周波数と低い周波数は、私の耳にとってどうでも良い。



考察

驚いたことに、新しく買ったばかりのフォノイコライザの左出力が右出力よりも明らかに大きい。とくにノイズの大きさが気になる。-36dBよりも高いレベルのノイズが記録されている。左の音が大きいという件は、より正確な調査が必要だ。レコードまたはレコードプレーヤーに問題があり、初めから左の音が大きい可能性もある。プリメインアンプの振幅を見ると左出力は右と比べて大きくないので、それを見るとフォノイコライザに問題があるかのように思えてくるが、可能性としてフォノイコライザの出力レベルが正しく、プリメインアンプの左出力が小さいことも考えられる。調査が必要だ。また、高いレベルのノイズについては、それがどんな周波数のノイズかを知りたい。可聴範囲外のノイズならば問題ないからだ。2Kのレベルが妙に高いが、これはプリメインアンプのほうも同様なのでフォノイコライザの特性ではないと思われる。

プリメインアンプは、左の音が大きいフォノイコライザとは反対に、右の音が左よりもいくぶん大きめ。ただし目立った差ではない。SoundEngine Freeの振幅を見ると、右の高音(8K以上)が左に漏れているのがわかる。しかしその量はわずかで、上記フォノイコライザで気になっているノイズのレベル-36dBよりもはるかに小さい。だから無視して良いだろう。左の80Kと63Kに増幅不足が見られる。40K以下の増幅不足はさらにはなはだしいが、どうせ私の耳に聞こえないのでそれは構わない。



次回の実験

新しく買ったフォノイコライザの左と右の入力にまったく同じ音源を接続し(たとえばどちらにもプレーヤーの右出力を入れる)、PCにてwavを作り、左右の音圧レベルを比較する。a.もしも左右が同じレベルならばフォノイコライザは正常動作。ただしその場合はオーディオ・テスト・レコードまたはレコードプレーヤーのどちらかが左の音だけ大きいことになり、それを追究しなければならない。レコードの左の音が大きい場合は良いが、プレーヤーのせいで左の音が大きい場合はデジタル化後に補正の必要がある。b.いっぽう、もしも左の音が大きければフォノイコライザは粗悪品である。デジタル化後に補正の必要がある。

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