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今どきネットのフォームでやりとりするのは海外アマゾンも大学教務も同じ [手記さまざま6]

人間は長生きすると、時々新しい体験をする。それは、社会のあり方が昔と変わったり、自分の生活スタイルが昔と変わったりするからだ。今回の話もそのひとつ。昔は対面や電話で問題を解決したが、今では何でもネットで解決する。それを私が体験した話。

では少しずつ本題に入ってゆこう。

大学は変わった。大昔の大学は、教員ひとりひとりの教育への信念と矜持に任せてのほほんと構えていた。

ちょっと昔の大学は、セメスターの最後に学生に授業アンケートを回答させた結果を教員に見せて、「教員へフィードバックしてますよ」と社会に向かって自己正当化した。

最近の大学は授業のやり方を口うるさく決め、その個々の項目に従って授業をしているかを教員にチェックさせる。今では信念や矜持が問題ではなく、決められた型に嵌まった仕事をしているかどうかが問題だ。そして本年度から、その決められた型がまたひとつ増えた。年度の最後に学生に向かって挨拶文を書くのだそうだ。

ところが、その挨拶文を書き込む欄にどうしても文字が入力できない。それで私は教務に問い合わせた。昔は対面や電話で問い合わせたが、今ではネット上に問い合わせフォームがある。問い合わせ内容を書き込んで処理開始ボタンをクリックする。数日のうちにフォームに相手からの返答が追加される。問題が解決したら問題解決ボタンをクリックする。私は以前に一度、退職の準備でこの問い合わせフォームを使ったことがある。今回が二度目だ。

思えば、海外アマゾンを使って届いた商品が別物で売主にクレームを付けた時も同じ方法だった。私と売主がひとつのフォームに交互にメッセージを追加してゆく。チャットと表現するほどリアルタイムではなく、相手がメッセージを書き込んだら自分のメールアドレスに通知が来る。そうしたら自分がフォームに返信を書く。

人間という生き物自体が変わったわけではないのに、対話の方法は昔とずいぶん変わった。私は本来こういうネット上の対話が好きでない(顔が見えず声も聞こえないから、相手が怒っているか泣いているかの判断を誤るのが恐い)が、長生きしたせいで時の流れに呑まれて私もする羽目になった。それもまた人生。