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標題電子ミュジーク・コンクレート(16) [  標題電子MC(補完計画)]

1. Reaperから呼び出したVSTにはMIDIのノートが送られない
2. XILS 3の最終出力部のCVによる制御は細かい芸当に向かないかもしれない
3. 記事休載のお知らせと、それでもMS-20は続くという予告




1. Reaperから呼び出したVSTにはMIDIのノートが送られない

エフェクターであるVSTは、普通は音程に依存せずに効果を付加する。普通はそれで困らない。ところが私は困った。

私は今、梵鐘002という音の高調波を減衰につれてカットしたい。

それを実現するには、普通はシンセのVCFのカットオフ周波数をEGで制御する。しかしXILS 3のFILTERはRESPONSEを上げているので、これのカットオフ周波数を変化させると音が変になってしまう。だから002の音色を作った後で、別のVCFで音を変えなければならない。

しかしXILS 3のVCFはひとつだけで、それはもう使っている。そこでMS-20FXを直列につなぐことを考えた。現在ReaperのトラックのfxとしてXILS 3だけが設定されているが、これにMS-20FXをAddする。AUDIO INをONにする必要があるので、MS-20でなくMS-20FXを使わなければならない。

MS-20FXのAUDIO INをONにする。VCOはどちらもLEVELを0、VCFはひとまず全帯域通過、PEAKは0、CUTOFF FREQUENCY MODULATIONをひとまず0、VCAはXILS 3のほうでかけているのでMS-20FXでは常に全開とし、ホイールをINITIAL GAINに接続して一杯に回す。

音を出してみたところ、XILS 3単独では歪まないのに、その後でMS-20FXを通すと歪んで聞こえた。XILS 3の音声出力レベルを絶対安全圏まで下げる目的で、RING MOD. のLEVELを0.54%まで落とす。最終的な音量が下がった分はReaperのマスターフェーダーを上げる。MIDI録音ではこのフェーダーは効かないが、今回はwavとして保存するので大丈夫ではないだろうか。

LPFをかけずに音を出す所まではうまく行った。次に高調波を減衰につれてカットする。MS-20FXのEG2のADSRを減衰音のエンベロープに設定する。これをVCAには通さず、VCFのカットオフ周波数に加算する。加算の分LPFのつまみの値は下げておく。

あらかじめ「ペンちゃんの不思議なけんばん」を起動して「監視ON」にしてあるのでPCのキーボードのキーを押せばXILS 3が発音し、MS-20FXではエンベロープに従って高音がカットされてゆくと考えた。

ところが、音が減衰しても音色が変わらない。調べてみたら、PCのキーボードのキーを押してもMS-20FXの鍵盤の鍵が押されないことがわかった。MS-20FXのせいなのだろうかと思い、VCOのLEVELを上げてMS-20FXのキーボードをクリックしたらこれは音が出たし、エンベロープも効いた。MS-20FXのせいではない。ということは、ReaperがMIDIのノート情報をVSTi(楽器)には送るがVST(エフェクター)には送らないということなのか。

VSTとしてシンセを使ってもトリガーが来ずEGが働かないならば、VSTiであるXILS 3で何とかするしかない。




2. XILS 3の最終出力部のCVによる制御は細かい芸当に向かないかもしれない

たしかにXILS 3にはVCFがひとつしかない。しかし最終出力部は2系統あり、それぞれにスタティック・フィルターが付いている。スタティックだからフィルター自体の効きはCVで変更できないが、出力の音量はCVで変更できる。

そこで、2系統の出力のうち片方をそのまま(高調波つき)とし、もう一方をスタティック・フィルターをLPFにして高調波をカットする。高調波をカットしたほうは音量をCVで変更せずそのまま出力し、高調波つきのほうはマトリックスのTRAPEZOIDをOUT LVLに接続し、[ENVELOPE SHAPER]のTRAPEZOIDつまみを右へ一杯に回す。両方のPAN EXT.をセンターにし、音をミックスする。

結果は、また音が変わらなかった。設定中に何となくわかっていた。この方法にはEGが2つ要る、と。高調波つきの出力はDECAYを極端に短くして、音の鳴り出し部分だけ高調波を強調しなければならない。しかしXILS 3にはVCFだけでなくEGもひとつしかないので、私は仕方なく、音を減衰するのに使うエンベロープを高調波制御にも使った。これでは、音の減衰につれて高調波が明らかに減ってゆく感じが出ない。

XILS 3の作者さんはシーケンサーまで付けているが、そんなものは今どき別ソフトとして用意すれば済むだろうに。それよりも、どうしてVCFやEGのモジュールを増やそうと思わなかったんだろう。

さらに、これはXILS 3の癖なのだろうが、音の立ち上がりが妙に軟弱になった。まず、ATTACKタイムを最短にすると立ち上がりがブツッという音に聞こえるので、私は少しATTACKタイムを設けていた。この状態でTRAPEZOID制御したほうの出力を聴いてみたら、音の立ち上がりがボワンとなっていた。それは理解できる。ATTACKタイムが最短ではないのだから。そこで私はATTACKタイムを最短にして再度試した。ところが、音の立ち上がりはそれでも鋭くなりきらなかった。厳密には、何度も試すと鋭い時と微妙に軟弱な時があるという不思議な現象が起きた。KEYBOARDのPORTAMENTOがONになっていたのでこれかと思いOFFにしたが結果は変わらず。

こういう失敗作の音をUPするのはあまり意味がないかもしれないが、私が嘘を言っていないという証拠に聴いてもらおう。2系統の出力をミックスしてwavにした時に上記の軟弱な立ち上がりがそのままwavになったので、それを聴いてもらおう。これでATTACKタイムが最短だ。立ち上がりが軟弱になった原因はATTACKそれ自体ではなく、最終出力のCVによる制御にあると思われる。



こちらが、今回色々いじる前の音。よっぽどましだ。



今回の記事は失敗の報告が多くて申し訳ないが、私が音色ひとつのために日夜頑張っているのはわかっていただけると思う。




3. 記事休載のお知らせと、それでもMS-20は続くという予告

ひとつ前にブログに出した記事で、私が天袋の整理を始めたと書いた。それが予想以上に大変で、他の事が出来ないでいる。今、けっして広くない私の部屋には天袋から下ろした本が積まれていて、布団を敷くのが大変だ。とにかく早くこれらの本を天袋に上げなければ。前の記事に書いたが、本の写真を撮りつつ作業を進めているので、少しずつしか進まない。そこで、「標題電子ミュジーク・コンクレート」は天袋の作業が終わるまで休むしかないと思う。

でも、進展もあった。天袋から昔のシンセの本が出て来た。多くは思い出としての価値しか残っていないが、一冊使える本があった。その本にはアコースティックな楽器音の作り方が実例つきで載っているのだが、その写真がこれだ。MS-20をお持ちの方なら、どこかで見たようなシンセのデザインだと気づくはず。

yokoku.jpg

私は、本当にこれで楽器音が作れるのかどうか試してみようと思った。実はすでに一度試した。本のとおりの数値ではディレイビブラートのタイミングと速度が違う。私がもっているのがソフトウェアMS-20で、この本は昔のハードとしてのMS-20を意図しているから、そのせいかもしれない。残響もかけてみた。ある程度それらしくなった。でも、それ以上をやるなら本格的に時間をとらないと駄目だと思った。本物のヴァイオリンの音と聴き比べながらGEQをかけたりしなければならないだろう。

この本に載っているのはヴァイオリンだけではない。次はギター、つまり弦楽器から始まり、管楽器、ドラムスなども載っている。手元にMS-20があるならば、試してみる価値はある。ただし、さっき書いたとおりに、まずは天袋を何とかしなくては。これに1ヶ月以上かかりそうだ。(前の記事では10月半ばまでかかると書いたが、週末の自由時間を使っての作業ではもっと長引きそうだ。)

ひとまず、「標題電子ミュジーク・コンクレート」は休載をお許しいただきたい。

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