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標題電子ミュジーク・コンクレート(4) [  標題電子MC(補完計画)]

1. MS-20でオルガン的な音を作った(前々回、前回の続き)
2. オルガン音を作るにはLegacyCellが必要だった
3. オルガン音にリバーブをかけた
4. 次回予告。MS-20で電子音を作った




1. MS-20でオルガン的な音を作った(前々回、前回の続き)

私が最終的にどんな曲を作りたいかは前回の記事に書いたが、まず作るのはオルガン的な音だ。アコースティックな音を作るのは苦労しそうだが、オルガンはアコースティック楽器の中でも電子音との類似が多いので何とかなるだろうと思った。MS-20に付属の音色はシンセ的にかっこよすぎて使えない。一から自分で作る。

最初はMS-20ひとつで何とかしようと思った。オルガン(といっても私の頭の中にある音)は厚みがある。単音を鳴らしても低音から高音までがオクターブずつずれてユニゾンしているように聞こえる。いや実際演奏時に複数のパイプに送風してそうしているのかもしれない。VCOひとつでその厚みは出なかった。VCO1を16'、VCO2を2'にしたが、まだ足りない。そこで私はMS-20を2台使うことにした。LegacyCellを使うと一度に2台までのMS-20またはPolysixを使用可能だ。ひょっとするとPolysixを使えばさらに可能性が広がるのかもしれないが、今の私にそれはできない。ほんの数時間前までLegacyCellの使い方さえ知らなかったのだ。手を広げすぎれば疲れてギブアップしてしまうから、MS-20だけでやる。2台目のMS-20はVCO1を8'、VCO2を4'とした。これで2台合わせて16'から2'まで1オクターブずつずらして4つのVCOを発振させる事になる。波形は16'が三角波(たしかLPFのPEAKを上げて音に癖を付けた時点で高調波が変に目立ったから、高調波の少ない波形)、8'と4'はパルス幅の狭い矩形波、2'はパルス幅50%の矩形波(これはLFOのPEAKで癖を付けたかった)。このへんの設定は私の頭の中にある音に近づけた結果こうなった。HPFのCUTOFF FREQ.は4.30。PEAKを6.90まで上げてみたが、これは感覚的にこうしただけ。LPFのCUTOFF FREQは8.75。PEAKは1台目(16'と2')が7.90、2台目(8'と4')が0.00。周知のとおり、LPFのCUTOFF FREQとPEAKの調整は大事だ。PEAKは音に癖を付けるために上げたいが、上げすぎると変な音になる。4つ全てのVCOでPEAKを上げるとしつこかったので、中間の音程を担当するVCO2つ(音色の中堅部分)はおとなしい音にした。EGの設定はオルガン音だから、書くまでもないだろう。VCOのFREQUENCY MODULATIONとVCFのCUTOFF FREQUENCY MODULATIONは0。VCFにEGを効かせないのを変に思うだろう。これは、私がPEAKを上げてしまったせいで、VCFにEGを効かせるとチュイーンと変な音がしてしまうからだ。PANは、後でもうひとつの音を別方向から聞かせるために少し左寄り。ここまでの音は、こんなになった。

1台目のMS-20の音


2台目のMS-20の音


両方のMS-20をLegacyCellでミックス


まだ満足と言えるかどうか、わからないでいるが、初日だし、これから色々試せば良いし、ひとまずオルガン音ができたという意味でよしとする。




3. オルガン音を作るにはLegacyCellが必要だった

MS-20が2台必要というだけでもLegacyCellが必要だ。その他に、リバーブもかけなければならない。私の頭の中にあるオルガン音には残響がかかっているのかって?いや、そうでもない。リバーブは、ごまかしだ。風呂場で鼻歌を歌うと上手く聞こえるという、あれだ。その他にも、リバーブには仮想空間を演出する効果がある。残響の種類と長さから、人は何となくその空間の広さや壁の材質をイメージする。もしもリバーブをかけないと、オルガンはどこか遠くではなく近くで鳴っているように聞こえてしまうだろう。

そこで私はLegacyCellのマニュアルを読まなければならなかった。でも隅から隅まで読む気はない。それは以前に書いた。目的の音を出すのが最優先。それに必要な最低限の知識を得る。

MS-20のフェイスならば小さい頃から見ているから好きだし何でもないが、LegacyCellのフェイスが沢山のつまみと共にドドーンと目の前にあると、私は最初とまどった。とても難しそうに思えた。仕方がないのでマニュアル読んで理解した結果、難しそうという気持ちは失せた。今の私は、こんなだ。

まずLegacyCellの初期表示のフェイス(PERFORMANCE)の右上を見ると、フローチャート的な図がある。これで全体の流れを把握する。フローチャートの中の左端、つまり音の流れでいうと源流には、2つのシンセサイザーがある。初期状態では片方がMS-20、もう片方がPolysixだが、これはマウスの右クリックで変更できる。私は両方ともMS-20にした。ちなみに右クリックでなく左クリックすると、それぞれのシンセサイザーの設定画面が表示される。2つのシンセサイザーから出た音は、ひとつ右側のINSERT FXに入る。そんなものがどこにあるかというと、それぞれのシンセサイザーの設定画面の下のほうにある。個々のシンセに固有のエフェクトをかけたい時はこれを使うが、初心者の私はひとまずエフェクト名を右クリックしてNo Effectを選ぶ。

さて、もう一度LegacyCellの初期表示のフェイス(PERFORMANCE)を表示して、フローチャートの残りの部分を確認しよう。2つのシンセから出た音はそれぞれのINSERT FXを通った後、MIXERに入り、さらにMASTER FXを通る。このMIXERとMASTER FXの順番は、わかりやすく描けばフローチャートのようになるのだろうが、実際にはもっと複雑と思われる。それぞれのシンセから出た音がマスターエフェクトにも入り、シンセの元音出力とマスターエフェクト出力がそれぞれミキサーに入るから。そのミキサーなるものがどこにあるかというと、同じ画面の右下にある。左から順にSYNTH1(シンセ1)、SYNTH2(シンセ2)、MFX1(マスターエフェクト1)、MFX2(マスターエフェクト2)、一番右はマスター・ボリュームだ。さらに細かく見る。音量スライダー(本当はフェーダーと呼ばれるらしいが私はその名前に慣れていないのでスライダーと書く)とパンポットは見りゃわかる。見ただけでわからないのはその上にあるつまみ、MFX1とMFX2。これらは各ソース(SYNTH1等)からマスターエフェクト(1または2)へ音を送るさいのボリュームだ。で、マスターエフェクトから戻ってきた音の大きさはミキサーのSYNTH1とSYNTH2の右側にあるMFX1とMFX2のスライダーで調節する。

ミキサー部についての補足。小さな四角いボタンPREは、マスターエフェクトへ音を送るさいに音量を調節する方法を選択するボタン。PREの意味は、スライダー・ボリューム通過の前(PRE)にマスターエフェクトへ音を送る。だからスライダー・ボリュームを上げ下げしてもマスターエフェクトへの入力レベルは変わらない。POST(後)ならスライダー・ボリュームの上げ下げも影響する。

さっきから名前が出ているマスターエフェクトがどこにあるかというと、ミキサーの上、フローチャートの下。左側にMFX1、右側にMFX2が横長に表示されている。

あとひとつ、大事な説明が必要だ。作った音色の保存と呼び出しについて。LegacyCellの初期表示のフェイス(PERFORMANCE)の左上に大きく音色リストが出ている。LegacyCellは一度に128個の音色をまとめて読み込み、これをパフォーマンス・バンクと呼んでいる。ユーザーがシンセやエフェクトの設定を変えた場合、その変更は128個のうちの現在選択中の音色について行われる。この音色というのはLegacyCellの場合、最大2つのシンセとINSERT FX、それにマスターエフェクトの設定をすべて含んだもので、音色と呼ぶかわりにパフォーマンス・プログラムと呼んでいる。自分の求める音を作った私は、少なくともその設定をPCに保存し、呼び出す方法を知らなければならない。Fileをクリックし、出て来たメニューからSave Programをクリックすると、現在選択中のパフォーマンス・プログラムつまり音色をファイルとして保存できる。保存済みのパフォーマンス・プログラムを読み込むには、まずパフォーマンス・バンクの中の読み込みたい場所のパフォーマンス・プログラムを選択する。それからFileをクリックし、出て来たメニューからLoad Programをクリックすると、保存済みのパフォーマンス・プログラムを読み込める。読み込んだデータは、現在選択中のパフォーマンス・プログラムのデータとなる。

これ以外の事は、私はまだ知らない。MIDIを本格的にやるならばこの先の知識が必要だろうが、私の今の目的は、作りたい音をとにかく作る事だ。




3. オルガン音にリバーブをかけた

マスターエフェクトを使ってオルガン音にリバーブをかけた。色々試した結果、Space Reverbで濃いめのリバーブをかけた。リバーブを付けた音は、こんなになった。



明らかにしつこい残響だが、これで「まあ良し」としたのには理由がある。私が作りたい曲は前の記事に書いた。オルガン音は長く引っぱり、たまにしか音階が変わらない。長く引っぱる間はリバーブの効きが目立たず、音階が変わる時だけ目立つ。オルガン音の最後もキーを離して終わるのでなく、別の音とクロスフェードのようにして終わる予定だから、最後のしつこい残響は完成品の曲には現れない予定。




4. 次回予告。MS-20で電子音を作った

オルガン音を作り終えた私は、もうひとつの必要な音、電子音にとりかかった。私はこれも同じ日の晩の数時間でやった。記事にしたらこんなに長くなってしまったが、実際の作業はよほど集中して短時間のうちに行ったのだろう。自分自身驚いている。

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