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いいかげんはみっともないが役に立つ [手記さまざま6]

私は考え方が真面目すぎた。もっと、いいかげんを志して生きるべきだったかもしれない。今の世の中、そうしないと手続きできない処理がいくつもある。

私のいいかげんの第一歩は、他人の電話番号を借用することだった。赤の他人だと怒られるが、私が借用したのは親のだ。事情は以下の通り。

出先でSuicaカードを紛失した私は、出先から帰るJRに乗るために新規Suicaを作ろうとした。半導体不足でカード型Suicaが発売中止だったので、モバイルSuicaを作ろうとした。そうしたら携帯電話番号が必須だった。私のスマホはデータSIMだ。電話番号はない。諦めかけたが、ピンチに際して私の「初めてのいいかげん」が発動し、親の携帯番号を無断借用した。傍に親がいればひとこと言うが、なにしろ出先でのことだ。そのおかげで私はモバイルSuicaを作ることができ、それで出先からJRに乗って帰った。(蛇足だが、なんで切符を買わないかというと、同区間をSuicaで10回乗ると11回目はタダだから、毎回Suicaで通勤したいという事情がある。)

今どきデータSIMというものが普通にあるのに、何かをスマホで契約しようとすると、スマホには携帯電話番号があると決めつけて要求してくる。理不尽だ。上記のSuica騒動の後、今度は銀行からメールが来て、今後はセキュリティのために暗証番号を固定でなく毎回変えると書いてあった。そこまではいいが、そのために必要なスマホアプリを初期設定しようとしたら、携帯電話番号を要求された。またかよ。

私は親の厄介になることを恥じてきたが、こうなったらもう、いいかげんに生きてやる。

私の次なるいいかげんは、銀行口座の放置だ。これも、今までの私は恥じてきた。まず何を恥じてきたかを書き、それから今回のいいかげんを書こう。

まず今まで恥じてきたこと。今どき客が中身0円の通帳を持つだけで銀行は収支が厳しいらしく、新規の客は通帳なしだったりするが、以前に私は中身0円の口座を解約しないまま転居した。その銀行は大手でないのでインターネットサイトがなく、解約には店舗へ行かねばならないが、転居した今はもう行けない。銀行に悪いことをしたと私は思ってきた。

次に、今回のいいかげん。売るつもりのなかった塩漬け株が痛風発作中に予想外にも売れてしまったので、私は証券会社の口座を解約することにした。ところがこれが面倒だった。この証券会社は、ある時期から特定の銀行と提携して自動的に金を動かす仕組みを取り入れた。そして今、証券会社で解約しようとしたら、銀行との間で金を動かす仕組みを休止しないと解約できないと書かれていた。そのためには銀行のHPで処理しなければならない。どうせ銀行のHPでログインするなら、ついでに銀行口座を解約すべきだと私は思った。そうしたら、登録住所が引っ越し前のものだった。口座解約時には銀行から申込書が郵送されてくる。私はまず住所変更をしなければならない。ところが! 今どき銀行で住所変更する時はマイナンバーの届出が必要らしい。解約する口座のために、金を出してマイナンバーカードをコンビニでコピーするのは嫌だ。そこで私のいいかげんが発動した。口座は放置しよう。証券会社との紐づけだけを休止して、そっと去ろう。

いいかげんはみっともないが、今どきの複雑怪奇な社会を生き抜くには必要だ。