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捻挫とラボと退職 [手記さまざま5]

靴下をはこうとしたら捻挫した。これを読んだ方は「そんな馬鹿な」と思われるだろうが、そんな馬鹿なことが世の中ではたまに起きる。それで、昨日の夕方から今朝まで、何もせずに足を休めていた。なにしろ今日は出勤だ。一晩で歩けるようにならなければいけない。「そんな無茶な」と思われるだろうが、そんな無茶なことが世の中ではよく起きる。

いつもならば夜は色々なことを忙しくこなしている。それが昨晩は、ひたすら天井を眺めて横になっていた。気持ちは、何かしたくてうずうずしている。少し記事を書こう。

英会話のラボにメールで打診して、昔の教材をなんとか売ってくれないかと書いた。そうしたら、OB・OG友の会に入れば買えるという返事が返ってきた。そのメールには、入会時に購入希望と書いて送れば担当から連絡が来ると書いてあった。私は入会のフォームに書いて送った。OB・OG友の会の入会手続き完了のメールが届いたが、昔の教材については何も言ってこない。あと数日待ってみよう。

同じ時に学会の退会願いも出した。こちらは退会が完了した。数年前には、私は退会の時期を決めかねていた。それがこんなに迷いなく退会している。それだけ私と、私を巡る環境が変わった。いくつも変わった。

まず転居で私は精神的に憔悴した。これは仕事の話だが、憔悴した状態で人と話すと、判断を誤ることがある。それで質問しないでおけばよかったことを質問し、相手から質問に質問で返され。憔悴しているから対処を誤り、相手から傷つけられた。

肉体的にもコロナの在宅ワークで弱った。もとから悪かった足腰が改善するどころか悪くなり、その状態で在宅ワークが終わり通勤を始めた。あなたは通勤ラッシュの新宿駅をご存じだろうか。まるで血管の中を通る赤血球のように、無数の人が移動する。弱っている私は人をよけきれない。ぶつかったり、どつかれたりする回数が増えた。

そしてきわめつけは、職場の変化だ。私の職場は大学だ。本年度から、全教員で教科書を統一することになった。私は、各教員が自分の個性を出して他の教員よりも良い授業をしようと切磋琢磨することが授業を改善すると思っている。たとえばスーパーマーケットが近隣にあるライバル店と競うことで、客が良い思いをするように。そういう私にとって今回の決定は授業改善に逆行する愚行に思えるが、大学は我々を「個性ある教え方をする個人」とは思っておらず、「カリキュラムを構成するひとつの歯車」だと思っている。でもそれはまだいい。じきに教科書だけでなく、試験問題も統一するというが、それもまだいい。職場が教員を歯車と見るならば、教員は歯車に徹して給料をもらうだけのことだ。

問題はそこからだ。私はふと気づいた。その統一する試験問題は、一体誰が作るのか。専任がまとめて作ってくれるのなら、非常勤は歯車に徹して給料をもらうだけのこと。でも、専任は全部の試験問題を作ってくれるか? 「授業を担当する教員の間で、持ち回りで作成してください」と言われそうではないか。持ち回りの何が悪いかというと、私は上に書いたように、自分の個性を出して他の教員と競うタイプの教員だ。私が試験問題を作るならば、プライドをもって作成する。それを他の教員がけなしたら、当然怒る。つまり私が言いたいのは、プライドをもつ者同士の間で試験作成を持ち回りにすると、今までには全くなかった教員同士のいがみ合いの火種になるということだ。あなたは私に「あなたの作ったものをけなす人なんていませんよ」とおっしゃるだろうか。いや、いる。私はすでに書いた。傷つけられた、と。相性の悪い人がいる。

職場でもっとも怖いのは人間関係だ。どうせ私は憔悴し、新宿駅でどつかれる老人だ。職業人生命は、もう長くない。人間、引き際を正しく見極めるのはとても大事だと思う。

話が煩雑になるから今まで書かなかったが、退職するしないを左右する要因は他にもある。親の脊柱管狭窄症が少しずつ進行している。私が付きっきりで介護するのはいつからか。未来のことだからわからないが、それを見据えて進退を決めねばならない。そしてもちろん退職したら収入がなくなる。非常勤講師には退職金も厚生年金もない。ところが今後の支出は増える。越してきたばかりのマンションは、大規模修繕費と保険料が増えると言って毎月審議中だ。私はそういう多数の要素を見極めて、進退を決めねばならない。