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初めての中近両用眼鏡 経緯編 [手記さまざま4]

そもそもの発端から話し始めよう。眼科医から「紫外線に注意してください」と言われた私は、2018年12月、UVカットのためにメガネのレンズを作り直した。ところがその後、レンズが自分の用途に合っていないと気づいた。

私は近視なので、近視用の単焦点レンズの眼鏡をかけていた。これと同じ度でUVカットの成分をレンズに練り込んでもらえば良いと私は考えていた。ところが眼鏡屋の人が、度が少し合っていないと言って、少し強くしてしまった。それまでの眼鏡レンズは、遠くは少しぼやけるが近くは見えた。それが、新しいレンズは遠くがよく見えるかわりに近くがぼやけて見えない。これがなぜいけないかというと、私が眼鏡をかける第一の目的が室内(会議室サイズの部屋)での仕事だからだ。

室内での仕事に必要なのは、部屋の奥にいる人間の顔をはっきり認識することと、手元の書類を見ること。部屋の奥よりも遠い距離(屋外の景色)は、ぼやけていい。ところが新しいレンズは、部屋の奥もそれより遠い所も見えるが、手元の書類はてんで見えない。だから、まず私は、レンズの度を変えて作り直してもらおうと考えた。この時はまだ単焦点レンズを考えていた。

その時点でコロナ禍が始まった。2020年4月だったな。私の仕事は在宅のリモートになり、不要不急の外出はするなと言われ、私は眼鏡屋へ行くのをコロナ禍が収まってからにした。コロナ禍が始まった当時は、誰もがこんなに長引くとは思っていなかったのだ。そして年月が過ぎた。

コロナ禍が足掛け3年目となる2022年2月、隣に住む叔父が急死し、親戚一同が葬儀に集まった。その時に従兄が私にあることを聞いた。老眼は始まっていないか、と。私はそんなものは始まっていないと思ったが、従兄はさらに言った。近くのものが見えにくくないか、と。その時になって私は、自分が老眼なのだと初めて知った。最近仕事をしていて、印刷物の小さい文字が裸眼でも見えにくくて困っていた。よく見ようと目に近づければピンぼけになるし、ピントが合うまで遠ざけると、小さい文字がさらに小さくなる。私は、次に眼鏡レンズを作り直す時は老眼の矯正も入れなければならないか、と思った。

この頃になると、遠近両用レンズも選択肢に入ってきた。遠近両用レンズは、2018年にレンズを作り直した時に提案された。しかし当時の私はまだ若かった。考え方も健常者的に若かった。自分の視界が歪むなんていう不自然極まりないことは許せなかった。それからコロナ禍での在宅リモートがまる2年続く間に、私はすっかり疲れ果てた。心身共に老人となった。それで、今となっては遠近両用レンズが自分に適しているかもしれないと考えた。ただし、私が眼鏡をかける第一の目的が室内での仕事なのだから、度は今までと同じではなく、4、5メートル先の人の顔が認識できればいい。それ以上遠くはぼやけていい。

こうして、私の眼鏡屋行きが近づいた。

眼鏡屋へ行く前日、私はネット検索していて、興味深いものを見つけた。遠近両用ならぬ中近両用というのがあるそうだ。これこそ、会議室サイズの部屋で眼鏡を使う私にふさわしいではないか、と私は思った。