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標題電子ミュジーク・コンクレート(12) [  標題電子MC(補完計画)]

1. リング・モジュレーター、MS-20は見捨てXILS 3を使う
2. 次回予告。XILS 3の操作方法




1. リング・モジュレーター、MS-20は見捨てXILS 3を使う

仏教に筏の譬えというのがある。川を渡るのに絶対必要で大事だった筏も、川を渡り終えたらその場に置いて先へ行くのが正しいように、「教え」ですら捨てるべき時がある、という。私は子供の頃にMS-20に憧れ、それの本をページの端がケバ立つまで読んだ。大人になってからソフトウェアとしてだがMS-20を手に入れ、操作することができた。しかし今、私は人生補完計画という「おおいなる目的」のために先へ行かなければならない。

私が作る2曲目「梵鐘」は、使う音の高調波と、音を置く間隔である「間(ま)」だけが重要だ。高調波成分にこだわる・・・つまり今度の曲は、「何となくそれらしい音」では済まされない。心にしっくり来る音色を見つけるまで試行錯誤し続けるだけのこだわりが必要だ。具体的には、梵鐘だからアナログシンセのインターフェイスをもつソフトならばリング・モジュレーターが適している。

MS-20は2つのVCOをもち、そのうちのVCO2は音源としてリング・モジュレーターも選択できる。リング・モジュレーターは2つの入力から1つの出力を導き出すエフェクトだが、MS-20の場合は内部的にVCO1とVCO2が2つの入力として暗黙のうちに使われ、1つの出力は上記のとおりVCO2の出力として可能になっている。VCO2にかんしては、まさかリング・モジュレーターの出力をそのままリング・モジュレーターの入力にするとも思えないので、内部的にリング・モジュレーターの入力用には他の波形が使われているのだろう。リング・モジュレーターの音色を変えるには2つの入力の波形とピッチを変える。とくに2つの入力のピッチをずらすのが重要だ。MS-20ではVCO2のPITCHを変更することにより音色を変えられる。

早速私はMS-20のリング・モジュレーターを試した。早く梵鐘の音を再現したかった。ただ、一抹の心配はあった。一口にシンセサイザーと言っても、実際には出てくる音には機種ごとの個性がある。VCO2をRINGにし、PITCHをいじったり、音を丸くするためにLPFをいじったりした。でも心にしっくり来る音色が作れなかった。

やはり昔もっていたデジタルシンセ(KAWAI)と同様の音を別の会社のシンセに求めても無理だったか、と私は困った。でもひょっとしたら、と考えた。少し前の記事でVCS3と間違えてぬか喜びしたXILS 3を試してみよう。前に書いたとおり、フリー版は音色の保存や呼び出しが出来ないので、使うたびに音色を再設定しなければならない。しかし、いっそ使えないわけではない。私はXILS 3の使い方を知らないが、こういうのは一生懸命試行錯誤するうちにわかるものだ。事実、必要な部分だけはわかってきた。リング・モジュレーターの音にEGをかけて出力した。ピッチを調節した。すると、梵鐘らしい音になってきたではないか。

ここで、MS-20とXILS 3のリング・モジュレーターの音を聞き比べてみたい。ピッチのつまみを回して、いくつかの音を出してみよう。減衰音の末尾で音程が変わることがあるのは私がピッチのつまみを回したからで、リング・モジュレーターの効果ではない。それから、MS-20もXILS 3も、どちらもLPFをかけて耳障りなキンキンの高調波は取り除き、音を丸くしてある。これは、私が求める梵鐘の音に近づけるためだ。

まずはMS-20のリング・モジュレーターの音。


この落ち着かない音。クラシック系よりもロック系に向くというか。

次にXILS 3のリング・モジュレーターの音。


なんと落ち着いた、柔らかな音なのだろう。機種によりこれだけの違いがある。

そういう事情で、私は現在の2曲目「梵鐘」にはMS-20でなくXILS 3を使う。また3曲目以降でMS-20の音が合うならば、あるいはLegacyCellの様々な機能を必要とするならば、その時点でコルグに戻ろう。




2. 次回予告。XILS 3の操作方法

梵鐘の音を出すのにXILS 3を使うと決まったので、私はすぐにもXILS 3の使い方をマスターしなければならない。上にリング・モジュレーターの音を出したことからわかるように、すでにいいかげんに色々いじって音は出ている。でも、沢山のつまみのほとんどが意味不明だ。MS-20とはずいぶん違うので面食らっている。「これでいい」と思って音を曲として残した後で、つまみの設定にいいかげんな所があったと知って後悔したくない。だから使い方をマスターしなくては。

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