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標題電子ミュジーク・コンクレート(9) [  標題電子MC(補完計画)]

1. 暗闇の中で何かがうごめいている
2. MS-20のAUDIO INはプラグイン動作時には使えない。MS-20FXのほうを使う
3. MS-20をヴォーカル・シンセサイザーにする方法




1. 暗闇の中で何かがうごめいている

私がどんな曲を作りたいかはすでに書いた。その中に、「暗闇の中で何かがうごめいている」という部分がある。私はこの得体の知れない何かを音にしなければならない。もちろん私はこの作業に興味がある。昨日からちょくちょく試している。ノイズジェネレーターを使いVCFとPEAKで音をこもらせ癖を付けたのが良かろうという事になった。うごめいている物は1匹だけだ。へたに残響を付けたりディレイを付加したりすると複数匹いるように聞こえてしまう。それに、今まで作った電子音ピピも電気音(もとはオルガン音)も残響かけまくり状態だから、今度の得体の知れない何かには一切の残響をかけない。

昨日は、ホイールをVCFのCUTOFF FREQ.に使い、ホイールを不規則に動かす事で、機械的・周期的でない「生き物のような」ファジーさを出そうと思っていた。ところがホイールを不規則に回しても変化がイマイチだったので、今日になって、MG(よくある言い方ではLFOというがMS-20ではMG)で周期的に音を変えてみようという気になった。MGの周期はどうしようか。速めの波で緊張感のある音にする(生き物が痙攣しているような)というのも考えたが、やはり心臓の鼓動に近い周期で生き物の脈動を表現したほうが良いと思った。音源がノイズだから、今回はどのキーを押しても音程は同じ。

VCO1の波形をノイズ、VCO2はLEVELを0にして使わない。
HPF CUTOFF 2.50、PEAK 5.50、CUTOFF FREQ. MOD. MG 0.80, EG2 1.40。
LPF CUTOFF 3.67、PEAK 5.40、CUTOFF FREQ. MOD. MG 0.80, EG2 1.80。
MODULATION GENERATOR KEY SYNC OFF, TEMPO SYNC OFF, WAVE FORM 5.00, FREQ. 0.70。
EG2 HOLD TIME 0, ATTACK 4.40, DECAY 0.00, SUSTAIN 10.00, RELEASE 4.40。

今回はLegacyCellを使うまでもない。MS-20単体で表現する。だからReaperのトラックのfxに設定するのはVSTi: MS-20 (KORG)。



なお、曲としてのwav書き出しにはReaperのRenderを使っているから良いが、上のような実験中の音色をちょっとブログ記事用にmp3化する時はステレオミキサーを使っているのでノイズ(シンセの音源としてのノイズでなくヒスノイズのような)が多い。でもまあ、そこまで神経質にならなくても良いだろう。




2. MS-20のAUDIO INはプラグイン動作時には使えない。MS-20FXのほうを使う

この曲の後半のイメージを子供の頃の私が口笛で吹いている録音が見つかった。ただし、子供の頃の私自身が明確な音階としてのイメージをもっていない部分があり、曖昧になっている。だからこれを元に鍵盤で演奏しようとしても変になったり無理だったりするだろう。そこで私は思った。これはひとつ実験的に、EXTERNAL SIGNAL PROCESSORを試してみるいい機会ではないか。

最初にひとつ確認する事がある。EXTERNAL SIGNAL PROCESSORのもっとも一般的な使い方は入力として外部オーディオ入力(たとえばギターの音など)を入れ、それを元にCVとエンベロープまたはトリガーを検出するという方法だから、その際にソフトウェアMS-20のAUDIO INをONにする。ところがソフトウェアMS-20のマニュアルに

「プラグイン動作時は、EXTERNAL SIGNAL PROCESSORのSIGNAL INにオーディオ信号を入力することはできません」

と書いてある。実際に試してみた。ReaperのトラックのfxにVSTi: MS-20 (KORG)を選択してEXTERNAL SIGNAL PROCESSORのAUDIO INのランプをクリックしたが、ONにならなかった。ついでに書いておくとHPF入力のほうのAUDIO INもONにならなかった。マニュアルの通りに、プラグイン動作時にAUDIO INは使えない。

今まで私はReaperで録音する際にトラックのfxにVSTi: MS-20 (KORG)を選択し演奏してきた。しかしMS-20のAUDIO INを使いたいならば、これ以外の方法でReaperと接続しなければならない。暫く試行錯誤した結果、解決策は意外にも簡単だった。ReaperのトラックのfxにVSTi: MS-20 (KORG)ではなくVST: MS-20FX (KORG)を選択する。こうすると、何の事はない、AUDIO INをONにできる。その際、MS-20への音声入力は単体MS-20とは異なり(単体MS-20の場合は下の3-1を参照)、Reaperのトラックのレベルメーターをクリックした時に選択できるInputだ。たとえばマイク入力をMS-20FXに入れたいならば、PCのコントロールパネルで既定の録音デバイスをマイクにし、それからReaperを起動し、トラックの赤丸をクリックしてレベルメーターを出し、もしも表示がLeft等になっていなければレベルメーターをクリックしてMono Input -> Left等を選ぶ。これでトラックにはマイクからのモノラル入力が入るはずであり、それがMS-20FXのAUDIO INに入る。

話は逸れるが私自身の備忘録として書かせてほしい。Reaperのトラックは録音時にレベルメーターをクリックしてMIDI Input以外を選べば「既定の録音デバイス」が効くようだ。コントロールパネルで既定の録音デバイスをマイクに設定すればマイクからの音が録音される。既定の録音デバイスをライン入力にするのはまだ試していないが、当然ライン入力からの音が録音されるだろう。

まずは、単体のMS-20のAUDIO INに音声を入れて、ESPを試す事から始めよう。




3. MS-20をヴォーカル・シンセサイザーにする方法

3-1. 初期設定

外部マイクを接続するならば初めにPCに接続し、もしもドライバの設定を変える等の事情があるならば済ませ、コントロールパネルの録音デバイスの一覧に目的のマイクが表示される状態にしておく。

音声入力を扱うソフトウェアには、既定の録音デバイスから入力するものと、ユーザーがあらかじめ録音デバイスを設定しておいてそこから入力するものがある。MS-20はユーザーがあらかじめ録音デバイスを設定しておくタイプだ。(だから既定の録音デバイスを変更してもMS-20には意味がない。)メニューの「システム」をクリックし「環境設定」を選択。「オーディオの設定」の中に「入力ドライバ名」がある。ここをマイクにする。




3-2. ESPへの音声入力レベル調節

ESPのLOW CUT FREQとHIGH CUT FREQはカットなしで音を開放。VCFもカットなしで音を開放。PEAKは0。

ひとまずマイクからの元音を聞く目的で、VCO1とVCO2のLEVELは0に絞り、ESPのBAND PASS FILTERのOUTをHPFのEXT SIGNAL INに入れる。ホイール出力をVCAのINITIAL GAINに入れてホイールを回す。

VCOとVCFのMODULATIONつまみはすべて0。

MS-20のESPのAUDIO INランプをクリックしてオーディオ信号を入力するモードに切り替える。それからESPのSIGNAL LEVELを調節して、マイクに向かって声を出しつつ音が最大の時だけPEAKが光るようにする。(もしも必要ならばEDIT画面左側のEXT. AUDIO GAINのINPUTも変更する。)

この時点で音声出力に遅延が生じているのに気づく。Reaperで後から音の位置を微調整する事も出来るので、今はこの件をこれ以上気にしない。

この時点でもうひとつチェックすべき事がある。PCの内臓マイクを使う場合は、ヴォーカルだけでなくPCのファンの音も拾ってしまう。無指向性マイクならば周囲の雑音もすべて拾ってしまう。ヒスノイズ状のサーという音が目立つ事もある。これらは内臓マイクでなく外部マイクを使う場合でも、マイクの種類等により生じる。そして、これらの雑音はMS-20のF-Vコンバーターに通すと全て音程になってしまう。そこで、もしも現在の環境でマイク入力にノイズが多いならば、MS-20に音声を入れる前にノイズゲートを通す。ノイズゲートを使うならば、ここでひとまず実験を中止し、MS-20は単体でなくReaperからプラグイン・エフェクトMS-20FXとして呼び出す。この場合(MS-20でなくMS-20FXを使う場合)は上記の3-1初期設定は当てはまらなくなるので無視する。ノイズゲートは必ずしもハード製品を入手する必要はなく、ソフトウェア・エフェクターを探せば無料で入手できるだろう。そしてReaperのトラックのfxに設定する。それから更にfxにAddしてVST: MS-20FX (KORG)を設定する。言うまでもないが、順番はノイズゲートが先、MS-20FXが後にするのが重要。そしてノイズゲートのパラメータを調整してうまく雑音をカットしヴォーカルだけを残したら、次の3-3へ行く。




3-3. VCOに入れるCVの調節

ESPのBAND PASS FILTERのOUTとHPFのEXT SIGNAL INの接続を外す。(自分の声はもう聞かなくていい。)

VCAのINITIAL GAINを今までのホイールからESPのENV OUTに接続変更。(これをしないと、マイクに向かって喋っていない間も始終音が鳴ってうるさい。)

ESPのCV OUTをTOTAL入力(注)に接続。VCO1のLEVELを10。波形は三角波(他も試すと良い)。VCOのMG/T.EXTつまみを回してひとまず7.0くらいにし、ESPのCV ADJUSTつまみを回してひとまず7.3くらいにし、マイクに向かって色々な音程で声を出し、声の音程の変化がVCOの音程に反映するのを確認する。(上の数値は私の声の場合。ひょっとすると声の質により設定に何らかの相違があるかもしれない。)
(注:MS-20のマニュアルではCV OUTはTOTALではなくVCO1+2 CV IN等に接続する事になっている。その場合、MG/T.EXTつまみは0のままとし、CV ADJUSTは私のMS-20ではつまみを右へ一杯に回してようやく音程が合った。)

ESPのLOW CUT FREQとHIGH CUT FREQはどうやらこの段階で調整するのが良い。音程がましに検出される値になるように調整する。




3-4. 問題点が残る

まずは聞いてもらおう。私がマイクに向かってある歌を歌い、それをノイズゲートとMS-20FXに通した物だ。私の声自体は全く残っていない。MS-20FXからの出力だけの100%Wetな状態だ。聞けばわかるが、史上最低のシンセ音。あの歌を自分で歌うのは嫌だと主張する人々でさえ、このひどい音を聞けば、自分の祖国を馬鹿にされた気分になり腹が立ってくるという史上最低のシンセ音だ。



どうしてこんな結果になったのか。VCOから出る音声がめちゃくちゃ汚いのはなぜか。これは恐らく、マイク入力のサーというノイズのせいだ。ノイズゲートを通したのでヴォーカルが発声していない時間帯は無音だが、ヴォーカルの発声中はサーというノイズも常に鳴っている。これをF-Vコンバーターが拾って電圧に変換してしまう。

もうひとつ気になる事がある。それは、かなり狭い音域でのみ、正確に音程を検出出来るのではないかという推測だ。実験中にわざと高い声を出してみたら、変なCVが出たらしく、VCOが変な音程を出した。これも、上記ノイズとの関連も考えられる。つまり高い声の周波数がサーというノイズの高い音に近づいたのでF-Vコンバーターが想定外のCVを出した可能性もある。いずれにしてもMS-20をヴォーカル・シンセとして使うならば、音の入口(マイク)で周囲のノイズを拾わないように、良い環境、良いマイクを使う必要がありそうだ。

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