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汚染水漏れ数千兆ベクレル、INESレベル3検討へ [震災後の放射能漏れ問題]

東京電力福島第一原発では、4号機の山側にあるタンクのひとつから高濃度の放射性物質を含む汚染水が300トンあまり漏れ、その多くがすでに周辺の地面にしみ込んだとみられる。その放射能の量は「数千兆ベクレル」にもなるとみられ、原子力規制委員会は今回の汚染水漏れのINES(原子力事故の国際的評価基準)でのレベルを3にまで引き上げる事を検討している。レベル3というのは、1997年に東海村の動燃の再処理工場で37人が被ばくした事故のレベルだ。

ちなみにレベル4は1999年東海村臨界事故のレベル、レベル7は1911年福島や1986年チェルノブイリのメルトダウン。

「4号機の山側にあるタンク」についての補足。この場所には巨大な円筒形の汚染水貯蔵タンクがたくさんあり、今回はその中のひとつから汚染水が漏れた。福島第一原発には同じ構造のタンクがおよそ350個あり、他のタンクからの汚染水漏れの可能性も気にしなければいけない。

これらの汚染水貯蔵タンクは早急に必要とされたので、溶接よりも組み立てが早い「継ぎ目にゴム製のパッキンを使用する」方法で組み立てられている。この構造のタンクからは、これまでに4件の汚染水漏れが起きた(ただし過去4件は漏れた量が少ない)が、いずれも継ぎ目からの漏れだった。ゴム製のパッキンが予想以上に早く劣化した可能性もある。今回の汚染水漏れの原因はまだ不明。

東京電力はこのタンクに水位計を付けておらず、作業員がタンク周辺の水溜りを発見して初めて汚染水漏れが明らかになった。それまでの間、長期間汚染水漏れを見過ごしていたと思われる。

今回の記事はNHKのニュースを参考にさせてもらった。私はこういう事件のニュースを見るたびに、NHKの「余分な尾ひれや誇張のない正確な報道」「表面的報道に終わらない突っ込んだ解説」にとことん感心する。ニュースを見るならNHKだ。


今回の記事はここまでだ。ここから先は私の雑談になる。

私は福島原発事故以来、しばらくの間放射能漏れが報道されるたびに記事にしていた。それは、今現在のためではなく、将来、5年10年経ってから事件の全体を見直し、きちんと考察し、二度と同じ轍を踏まないようにするためだ。そのための資料として書き溜めていた。ところがそのせいで私は他人よりもずっと放射能不安に苦しむ事になった。知らぬが仏というか、世の中には知らないほうが楽に生きられる類の情報がある。たとえば食品の放射線検査は抜き打ち検査であり完全ではなく、過去に何度も高濃度の放射線が検出される食品が検査の網の目をくぐって出た。(ただし市場に出回る前に阻止されたものも多い。)こんな情報ばかりを他人の何倍も、毎日一生懸命ニュース番組を注意して情報収集していたら、人間はおかしくなってしまう。事実私はおかしくなった。それである日を境に情報収集をやめた。

幸運にも、というべきか、その後たいした放射能事件はなかった。千葉の近海で獲れた魚から放射線が検出された事が一度あったが、それで誰かが慌てたとか不安に怯えたという話はついぞ聞かない。もちろん国民がみんな能天気に暮らしているわけではない。福島の子供たちについては今も被ばく線量の測定をし続けているそうだ。(福島で甲状腺がんおよびその疑いと診断された子供の数は増えてしまったが、福島県等はこれは原発事故のせいでないと言っている。)日光ではなんとあの有名な猿軍団が無くなってしまうという。猿の調教師が韓国と台湾の人で、原発事故時に帰国したまま戻ってこないのだそうだ。そういういくつかの事はあったが、私は今までそれを記事にせず、放射能関連の記事を書かなかった。書けばまた私自身が放射能不安からおかしくなる危険があったからだ。

できればそのままずっと書かないで終わりたかった。ところが数日前、嫌な事件があった。しかも日が経つと事件はますます深刻になってしまい、今日はついにレベル3検討だ。こうなると記録を残さないわけに行かない。「数千兆ベクレル」って、数が大きすぎて私には理解しきれない量の放射能なんだけど、一体日本はいつまでこんな放射能漏れが続くんだ?東電はタンクに水位計を付けていなかった。これをどう認識しようか。付けなかった東電の落ち度なのか、それともそもそも人間の行いにはこういう至らない部分があるものだと考えるべきなのか。もしも後者ならば、原発再稼動は無茶という事になる。なぜなら、いくら原発そのものの規制基準が強化されても、それを扱う「人間」というのはこういう存在なんだぞ。過去のある事件のさいに放射性物質をバケツで運ばせたのも人間。原子炉に異常が生じてもすぐには連絡せず、どうにもならなくなってから初めて連絡したのも人間。そんな人間が原子炉という怪物を扱うんだぞ。そしてまた、一方で数千兆ベクレルの汚染水を漏らして不安におののきながら、他方では「それとは関係ありません」というわけで原発再稼動を考えるのも人間。人間ってつくづく嫌な生き物だなと私は思ってしまう。

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blueclouds

間違ってカテゴリーが「人生補完計画」になっていたので、正しく「震災後の放射能漏れ問題」に直しました。(もちろん放射能漏れ記事は私の人生補完計画ではありません。)ところで、人生補完計画の記事数がめでたく「手記さまざま」に並んで190件となりました。個人的に「自分をお祝い(苦笑)」の記事を書きたいものです。
by blueclouds (2013-08-22 12:38)