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親知らずと歯磨き奮戦記(13) [歯ブラシメモ]

歯医者の定期検診に行ってきた。以前のブログ記事からずいぶん経ったから、「前回までのあらすじ」を書こう。私の親知らずは4本とも残っていて、そのうち3本が斜めを向いて生えており、そのうち1本は見た目ほとんど横を向いて生えている。それで、歯医者さんから抜きましょうと言われた。私は、たぶん恐怖にひきつった形相で「無言の抵抗」をしたのだろう。歯医者さんはそれを見て、私に猶予をくれた。レントゲン撮影の結果、幸運にもまだ隣の歯に影響が出ていなかったので、とにかく次回の定期検診まで様子を見ることになった。私の歯磨き大作戦はその前から始まっていたが、この一件以来前にも増して必死で磨くことになった。それから半年が経ち、また定期検診が来た。

この半年の間に私は何の改善もせずに歯磨きをしていたわけではない。私の横を向いた親知らずは、隣の歯との間に難しい隙間がある。つまり、普通の歯間のようにフロスを通すには広すぎ、かといってプラウトの毛先を奥まで突っ込むには狭すぎる。そこで私は歯間ブラシのLサイズを横から突っ込んで磨いていた。歯医者さんの歯根治療のように、毎回手作業で突っ込んだり抜いたり。これが意外と骨が折れる。骨が折れるからあまり長い時間突っ込んだり抜いたりしていられない。そこで、音波歯ブラシ「ドルツ」のポイント磨きブラシ(替えブラシ)の、使いすぎて毛先がパイナップルの頭みたいになったやつを、捨てずに再利用した。この替えブラシにGUMの歯間ブラシL字型Lサイズをガムテープでぐるぐる巻きにして固定した。この時、口に入れても邪魔にならないようにポイント磨きブラシの本来の毛先の向きをちょっと考慮する。そんなことをして大丈夫なのかと、あなたは思うだろう。私も最初はそう思い、なかなか試せなかった。だが意外にも使えてしまった。もう1週間以上試しているが、特に問題はない。あの高振動で歯間ブラシの先が動いてくれるので、私は苦労せずにほんのちょっとブラシを動かす程度でいい。疲れないから比較的長い時間磨いていられる。私はこの新兵器で、本来ならとても磨きづらいはずの「横を向いて生えた親知らずの隣の歯の側面」を毎日楽しく磨けることになった。

私はこの記事が、私と同じように歯並びの悪い方の参考になればと思い書いている。私は自分の歯を守るために必死になっているからこういう事をしているのであって、歯並びが良くて歯を普通にしっかり磨ける方にはお薦めしない。それと、歯並びの悪い方は私の真似そのものをするのでなく、必ずご自身の歯並びに合った道具を選んで研究してほしい。

さて、そうやって歯を磨くうちに定期検診となった。検診の結果、とくに悪い所は見つからなかった。それで私はまた半年間の猶予をもらった。先生は、悪くなったらすぐ抜かなければならないと言った。それはおっしゃる通りだ。もともと悪くなくても横を向いた親知らずは抜くはずの所を、私のわがままで猶予をもらっているのだ。私は先生に、「先生がご覧になって特に磨き残しが気になった所はどこですか?」と聞いた。先生の答えは、3本の親知らずだった。残る1本の親知らずはまともな生え方をしているので、まだましらしい。私個人は、残る1本は3本ほどしっかり磨いていないので逆に気になっていたのだが。例の3本のほうは特に時間をかけているので、前に比べて綺麗に磨けているんじゃないかと思っていたが、そうではないらしい。歯並びが悪いだけでブラッシングはとんでもなく困難になり、歯並びが良いだけで簡単なブラッシングで綺麗になるということか。

その後歯科衛生士さんからブラッシングの指導を受けた。定期検診を含めて歯医者通いももう長いからブラッシングに限れば新しい知識を得ることは少なくなったが、それでも毎回得るものがある。私のモットーは「歯科衛生士さんの話に耳を傾けよう」だ。歯科衛生士さんは私の歯石を取る時に、右上の犬歯の所だけ出血が多いのに気づいたそうだ。これは重要な情報だ。出血があるのは腫れている証拠。腫れているのは歯と歯茎の境目に問題があると見ていい。食べ物のかすが残るのか黴菌が多いのか、とにかく改善が必要だ。思えば、今の歯科医院に通い始める前には上ではなく下の犬歯の辺りの歯茎をちょっと突ついただけでも血が出たものだ。それがふと気が付くと血が出なくなっている。今度の右上の犬歯の歯茎も、血が出ないように健康にしなければいけない。

それから、私は今まで親知らずの頭をこれでもかと磨いてきたが、歯茎との境目はあまり磨きたがらなかった。それは、ひとつには親知らずの頭を磨くのと同じ力で歯茎との境目をゴシゴシやれば必ず歯茎が傷つくからだ。歯科衛生士さんは、力を入れずに軽くでいいと言って、私の親知らずの歯茎との境目をプラウトでぐるりとなぞってみせた。ふと気づけば、今まで歯を抜かれたくないがゆえに力任せに必死でゴシゴシ磨いていた私の磨き方が正しくなかったのだ。

あと、これは自分のためのメモだが、今の歯医者さんに歯根治療をしてもらった所の歯槽骨が、ましになってきたらしい。歯根治療中のレントゲン写真では歯根の股の部分が黒くなっていた。患部が原因でカルシウムを取られたらしい。前回親知らずを抜くかどうかでレントゲンを撮った時に同時に歯根治療跡も撮ったのだが、今度は同じ場所が白くなってきた。自分の骨が再生するのを目で見たのは、私にとっては初めてのことだ。無くなった骨は戻らないと思っていた私には良い意味で意外だった。人間の体って、すげえなと思った。

先生は前回の定期検診までは親知らずの隣の歯が悪くなることだけを心配されたが、今回口にされたのは親知らず自体のことだった。以前には親知らずをやがて抜くものとしてあまり考慮していなかったが、今は親知らずを私が守っているのを察して親知らずのことも考えてくださっているのだろう。さらに大事なのは、親知らずの隣の歯に今のところ悪影響がないということだ。もしそれがあれば、先生は真っ先におっしゃるに違いないから。

歯科衛生士さんに歯石を取ってもらった後口をすすいだ時、口から出した水に歯石が混じっていないのに気づいた。以前には、よく磨いたつもりでも歯石を取ってもらうといっぱい出てきたものだった。さっき書いたが私は毎回の定期検診で歯科衛生士さんから何かを学ぶことにしている。前回も前々回も、ブラッシングする時に磨けていない場所の情報を得た。その情報はそれ以後改善するようにした。こうして改善していけば、いつかはピカピカの完璧なブラッシングに到達するはずだ。その思いは私の励みになる。
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