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雇用ハラスメント [非常勤講師外伝]

新年度が始まり、大学へ行った。そこですぐに本年度の雇用契約書を渡された。それと同時に、担当クラスの詳細が渡され、授業が一部無くなる見込みだと通知された。雇用契約書には今年何コマ担当と書いてある。それと同時に渡された書類の実コマ数はそれより少ない。あえて言うが、これを読んで変だと思わない人は変だ。

それらと同時にハラスメント関係の資料も渡された。最近はどの学校でもハラスメントに神経を敏感にしている。セクハラ、アカハラ、職場によってはアルハラも関係する。その事情はもちろんおおかた知っているが、職場は何か勘違いをしているんじゃないか。誰が誰にハラスメントをしているって? 何コマ担当してくれと言っておいて、やっぱりコマ数減りましたと訂正する。これを毎年毎年続けるのは、立派な雇用ハラスメントだろう。

なるほど世の中まだまだ不景気で、それに加えて学校には他の職場にない問題もあるから、コマ数そのものが減るのをどうこう言えないのが現状だ。しかし私が言いたいのはそれではなく、雇用契約時のコマ数が信用できず、契約締結後に授業が減る可能性が毎回必ず存在するという雇用システムは、それ自体に問題があるのではないか、何かを改善すべきではないかということだ。学生減などの事情から一律にコマ数が減るのとは意味が違う。そして、そんな不条理な、システムと呼べないシステムのために、「本務校がなくそこを主たる収入元としている非常勤」は余分な生活不安に怯えなければならない。やめてくれ、ということだ。

もうひとつ。職場は気づいていないことがある。職場にハラスメントされて不安から心を病み収入減から暮らしぶりも変わった教員が学生に接して、良い授業・良い人格育成ができるのか。教師はさすがに雇用関係の話を学生にしないが、話が授業に関係すればそうも言えなくなる。たとえば今年はカリキュラム改編により、2つの授業の履修者が同一人物なのか別人なのかわからないまま教科書を決めなければならなかった。つまりそういう詳細は事前に通知されなかった。いざ初日に行ってみると同一人物とも別人とも言えない混成クラスで、そんなことは今まで一度もなく予想は不可能だった。教科書の矛盾を解決するさいに私は学生を前にして事情を説明しなければならなかった。これは他の誰でもない、職場が自分で撒いた種だ。職場は教師に影響を与え、教師は教え子に影響を与え、それが負の影響ならば結局教え子の親は学校に噛みつく。誰一人として悪気がなく悪事を行わなくても、現状のシステムがこれでは近いうちに職場は自分の撒いた負の種を自分で収穫することになる。
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