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親知らずと歯磨き奮戦記 (8) [歯ブラシメモ]

「親知らずと歯磨き奮戦記」の最初のうちに書くはずだったのに、後回しにしたまま今に至ってしまった話題がある。今回はそれを書こう。

私は歯科医院で親知らずを抜くと言われて硬直し、おそらくは私の形相が恐ろしいほど引きつっていたためか、歯医者さんは私に「様子を見ましょう」と言って半年の猶予を与えた。その日から私の歯磨き奮戦記が始まった。

私の親知らずは横を向いて生えており、歯医者さんは親知らずそのものでなく隣の歯が虫歯になることを心配しているのだった。歯医者さんは私にプラウトの使い方を教えたが、私はそのずっと前からプラウトを使っていた。そして親知らずと隣の歯の間にある深い隙間にはプラウトの先が届かないことを知っていた。プラウトでは駄目だ。

私は自分の親知らずを守るために、何をしてでも隣の歯との間にある隙間、とくに隣の歯の側面をきれいにしなければならない。

歯科医院からの帰り道、私は最初の案を思いついた。子供の頃、私は工作が好きな少年だった。木工の場合、紙やすりというものをよく使った。紙やすりにはとても粗いものからとても細かいものまで多くの種類があり、とても細かいものは水に塗らして使う。これは削るというより磨くためのものだ。私の第1案は、この紙やすりを小さな帯状に切り、それを例の歯の隙間にひっかけてゴシゴシするというものだ。いわばフロスが糸でなく帯になり、それに微細な凹凸が付いている感じだ。この案は物理的には可能で、効果も望める。唯一の問題は、そもそも紙やすりは口に入れるものでなく、黴菌がたくさん付いているに違いないということだ。下手をすると歯茎を化膿させ、とんでもないことになりそうな予感もした。でも他に案がなければ私は愛する親知らずを守るために敢行するつもりだった。

運の悪いことに、昔はそのへんで売っていた紙やすりが、今では近所で売っていない。とても目の細かいものが必要なので、品揃えの良い店でなければならない。私の町から少し離れた所にその手の工具を売る店が1軒残っている。そこへ行くには、仕事が休みの日まで待たなければならない。

こうして待つ間も私の頭の中には親知らずのことがあった。それを考えながら毎日を過ごすうちに、日常使っているものが親知らずと結びついた。以前に私は9本の歯ブラシを使いながら比較した。その時に「奥まで届く」というポイントで最後まで勝ち残ったのがデンターシステマとリーチ 歯周病対策アルファ。毛のコシと側面加工で最終的に私にとってのキング・オブ・ハブラシーズになったのはリーチだった。このリーチが親知らずと隣の歯の隙間に届かないのは、ひとえに植毛部分が広いからだ。ある部分の植毛が届こうとしても、その隣の植毛が歯に当たってつっかえる。それならば、植毛部を歯の隙間に入る分だけ残して他を全部切ってしまえばいいではないか。こうして私の第2案が出来上がった。

植毛部を切る時、最初はハサミで切った。でもこれでは根元からうまく切れない。その次はカミソリで切ったが、これは毛の根元からうまく切れた。カミソリは、女がたまに使うような細長い柄の付いたのが良い。柄のない裸のカミソリは危ないし、男が使う髭剃りではそもそも形からしてこの用途には使えない。

歯磨きペーストは研磨剤のたっぷり入ったザクトライオンだ。ザクトライオンの研磨剤は、以前に歯医者さんから薦められた美白歯磨き剤ブリリアントと同じ酸化アルミニウムだ。

ブラシも自作ブラシだけでなく、磨く場所に合わせて全部で3種類を使い分けている。まず左下の親知らずは隣の歯との隙間が狭くてプラウトではまともに入らず、ここは歯間ブラシのLLサイズを使う。これはおもに、横を向いている親知らずの頭と、それと向き合う隣の歯の側面を磨く。でも隙間の奥までは届かないので、改めて自作ブラシを隙間に合わせて動かして磨く。自作ブラシは一番奥まで届く。どうかすると毛先がどこかの歯肉をこするのでわかる。残念ながら自作ブラシだけで全部済ませることはできない。親知らずの頭の中央、窪んでいる部分には不向きだから。

右下の親知らずは隣の歯との間が広い。親知らずの頭にプラウトが届く。でも隙間の奥までプラウトは届かない。植毛が短いから。そこでこっちも自作ブラシを入れて磨く。

これで親知らず近辺の落とせる汚れは全部落とせると考えている。落とせない汚れはある。長年の間にすっかり黒くなってしまった親知らずの頭。この着色は1カ月毎日ザクトライオンで磨いても落ちない。親知らずと歯茎との境目に小さな黒い部分がある。半分歯茎がかぶさっているのでガリガリはできない。鏡を見ながら待ち針の先で慎重にこするが、落ちる気配はない。これらは何十年も放っておいたツケだ。仕方がない。
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