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ウチの古物商騒動の続き [手記さまざま4]

せっかく不要な物品を出し切ってまとめたというのに、親が朝食時に、古物商が持って行かなかったから棚の上に置いたままで転居すると言いだした。私は激怒した。なぜなら、天袋から降ろしたものは二度と上げない、古物商が持って行かなかった物は処分すると、あらかじめ親との間に合意が出来ていたからだ。私は長い人生の間に、女の言動はその時に嘘偽りのない真実だったとしても、後からコロッと変わる「刹那」の意思表示だと学んだ。私のその認識によると、親に何を言っても無駄で、先手必勝で行動に移さないとひどい結果になる。私は、親がデイサービスに行っている間に全部捨てておくしかないと悟った。

それが引き金となり、私は疲れている体で無理を承知で、家に山積みされた物品を4時間かけて整理した。スーツケースの中に入れ子式にバックパックを入れ、その中にミニバッグを入れて粗大ごみとして出す。いちばん金のかかる「粗大ごみ」はこれだけだ。その他は、鉄製品は不用品回収、陶器とガラスは不燃ごみ、可燃物は可燃ごみ、と分けた。市指定の不燃ごみ袋は足りなかったので、通勤途中にコンビニに寄り買い足す。10リットル袋で大丈夫なように、20リットル袋でないと入らない大物は先に20リットル袋に詰めた。抜かりはない。

こうして午前中が終わり、親がデイサービスから帰ってきた。親は、家を占拠していた物品の山を私が綺麗さっぱり消し去ったことに驚いていた。こうして最初のうちは何事もなく過ぎた。そのうちに電話がかかり、親が受けた。電話口での親の言葉を聞いた感じでは、この前とは別の古物商が電話をかけてきたようだった。前回の古物商が電話では何でも持って行くと言っておきながら実際に来たら貴金属はないかとばかり言う食わせ物だったのに、それでも親は性懲りもなくまた売ろうとしているようだった。私は嫌な予感がした。そのうちに、私が家から綺麗さっぱり消し去った物品を親は電話口で売ろうと喋り始めたので、私は慌てて「それは捨てた」と口を挟んだ。部屋から無くなっているのを見て、わからんのだろうか。親は、残っている食器類だけでも売ろうと電話で喋り続けた。親が昔使っていた健康器具は、親自身が転居先へ持って行かずに置いて行くと言ったので家の外へ出した。それは私は悪くない。ただ、食器棚の下に置いてあった大皿を処分品の一部だと思って家の外へ出したのを、親は嘆いていた。それは私は悪かったと思った。暫く考えてから外へ行き、大皿と、ついでに健康器具とワイングラスを家の中へ持ち帰った。これで親は古物商との取引を満足してくれるだろうと思いつつ、私はスーツケースの中にバックパックを入れたことを話した。すると親はこともあろうに、自分が売ろうとしていた物品だけでなく、それ以外まで売ろうとしはじめた。スーツケースは傷だらけで売れないから中のバックパックを取り出して売ろうと言いだした。スーツケースの内側とバックパックはほぼ同じサイズで、しかもバックパックの中には不自然に重くならない範囲で不燃ごみ袋に入らない物を詰めた。ぎりぎりのスペースに何をどのようにしたら詰められるかに、私がどれだけ苦労したことか。それを後からの一声で台無しにしようというのか。やっぱりうちの親はとんでもない奴だと感じた。これは阻止した。

ここ数日の古物商騒動はどうにも運が悪く感じる。私が一度せっかく外へ出した健康器具と大皿とワイングラスを自分の意に反してまた家へ入れたことが、何か良くないことにならなければ良いがと私は感じ始めた。何もかもこれで終わりにしなければならない。私は前期授業最後の仕事疲れの中で家じゅうの天袋からあらゆる物を出す羽目になり、本当は仕事に使いたい時間を古物商騒動に沢山使ってきた。これ以上は許さない。古物商騒動はこれで終わらせ、絶対に長引かせないと心に決めた。