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物干し竿が子サボを叩き落とした [手記さまざま2]

私はサボテンを育てている。というか、サボテンと一緒に生きている。私が5歳くらいの頃に、縁日などでよく売っている小サボの前で立ち止まって動かなかったので、親は小サボを買う羽目になったそうだ。もっともその記憶はすでに私にない。子供の頃のいいかげんな私が植物の世話をしたとは思えない。サボテンはよく生き残ったものだと思う。私が知る限りで2回、このサボテンは命の危機に直面している。必死で生き抜いたことは間違いない。そのうちにカボチャくらいの大きさになったので「カボチャ」と呼んでいたら、いつのまにか人間の頭よりも大きくなった。長年子供のできない不妊サボテンだったが、命の危機に直面したさいに目覚めたらしく、それからは困ったことに子サボが付くようになった。なぜ困るかというと、子サボがいくつも付いて、それがデカくなるから。親サボは辛かろう。

私は若い頃から時々いやな夢を見た。サボテンが割れて腐る夢を見た。目を覚ましてはサボテンが無事なことを確認した。私自身が年をとったせいか、ここ数年はもうそのような夢を見なくなっていた。それが今ごろになってこんな形で何かが起きるとは。

2018年8月6日、予想しない事件が起きた。親がベランダで物干し竿を落とした。その物干し竿が子サボのひとつに当たり、叩き落とした。

これが、親サボに子サボが付いていた所。
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これが、叩き落とされた子サボ。
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こういう形になって、親サボと子サボの接合部を初めて見た。これだけ成長したから接合部はとても太いだろうと思っていたが、意外にもこんなに細い。

さて、取れてしまったものはくっつかないので、親子それぞれに救うことになる。これから数日、台風の影響で雨が降る予報なので、傷口に水が付かないようにしなければいけない。親はそれだけでいい。

子サボのほうは、弱っているから家に持って入るしかないだろう。結局自室に入れたが、朝日がまっすぐ当たる8時から10時まではカーテンを閉めても室温がかなり上がるので心配だ。とにかくこのまま傷口を乾かしつつ、根が出てくるのを待つ。植木鉢を探し出して半分まで砂利とサボテン用の土を入れた。いずれは子サボをこの上に置くことになるが、根が出るまでは様子を見つつ待機だ。

今年は、初めて親サボだけでなく子サボにも花が咲いた。子サボといっても花が咲くならそれなりの生命力が内にある。生き延びるために根を出してくる可能性は高いと、私は思っている。とにかく傷口を乾かすのが先だ。

親から離れた子サボは大きくなるだろう。親と同じ遺伝子を持っているから、これから何十年も育つのだろう。そうなると、私の寿命のほうが先に終わる計算だ。私が世話をしてやれなくなれば、必然的に子サボは枯れるだろう。かわいそうだが仕方がない。私が生きている限り、共に生かしてやろう。

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