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最後の書籍補完計画(11) [  昔の本(補完計画)]

オランダ。


各国と各都市のコメントのうち、オランダの担当者の文章はとりわけ印象深かった。


「堤防に穴を見つけた少年が、自分の腕でこの穴をふさぎ、海水の浸蝕から祖国を守ったという愛国美談。幼いころこの話でオランダを知った人も多いはずだ。」し、知らん。しかし何という印象的な書き出しだろう。そしてそれがオランダの地理的特徴に直結している。


アムステルダムの書き出しもすごい。「運河と風車とチューリップ。そんなイメージを持って、アムステルダム中央駅に(それも夜)降りたら、少なからずギョッとするに違いない。風に舞う紙くず、暗い闇の中にわびしげに明滅するネオン」さらにはある作家の作品から引用してこんな事まで書く「同心円を描く、アムステルダムの運河が地獄の輪にそっくりだということに気づいておられますか?」ある町を紹介する文章として、普通こんな文は書かない。それでいて、読んだ人は引いてしまうどころか、むしろ一度行ってみたいと思ってしまう。

次はドイツ。当時は時代的に西ドイツだ。





この本では普通、各々の国をまず首都の紹介から始め、それから他の都市の紹介をする。でもドイツはフランクフルトという都市の紹介から始まる。当時の首都がちっぽけで旅行者向けに紹介するような都市ではなかったということか。