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レコード音声のデジタル化 個人的記録 (6) [  レコード(補完計画)]

ナガオカのレコードクリーナーARGENTO-118を買った。118は、それまでの116の後継モデルだそうで、すでに116のほうはネットショップで売り切れとなっていた。

届いた商品のプラスチックケースが破損していた。上にかぶさるほうの透明なプラスチックにヒビが入り、クリーナーが載るほうの白いプラスチックは透明なプラスチックの中にめり込んでいた。その状態から察するに、配達される最中に上から圧迫されて白いプラスチックが透明なほうにめり込み、そのせいで透明なほうにヒビが入ったものと思われる。

見るからに商品発送中の事故に間違いないので、普通ならばショップに事情を説明して交換してもらうはずの所だった。しかし私は以下の理由でそのまま使うことにした。

もっとも重要な理由は、その日が晴れて湿度の低い日で、デジタル化を終えたレコードを密封して仕舞い込むのに最適だったこと。そして翌日からは天気予報によると雨が降り、何日も続けて湿度の高い日が来るらしかったこと。つまり、この日を逃がすことは私にとって大きな損失となる。

今はすでに11月、気温の低下がレコード針の音に影響するとネット上で読んだ私にとって、冬がやって来る前の1日1日が貴重な作業日だ。しかも雨が降ると作業ができない。カビの脅威を体験済みの私にとって、レコードの内袋やジャケット内に湿気を封入することはとんでもない不安材料、いや、ありえないことだ。

そういう事情で、作業に最適の1日を逃がすことはできなかった。

幸いにも破損したのはケースであり、ベルベットのクリーナー自体が破損したわけではない。つまり使用に支障はない。

さらに、私は偶然にも、このプラスチックケースがこれから数十年も経つと自然と割れる可能性があることを知っていた。というのは、数十年前に私が使い、そのまま引き出しに保存していた昔のクリーナーが、今回の作業前に引き出しから出してみるとプラスチックケース部分にヒビが入っていた。クリーナーの型番はもはや不明だが、クリーナー自体とケースの形状はナガオカのレコードクリーナーARGENTO-118と瓜二つだ。

私はこのクリーナーのケースを壊した記憶がまったくない。数十年の間に経年変化を起こして自然とヒビが入った可能性がいちばん高い。

ようするに、発送中にヒビが入ったクリーナーをいま交換してもらったところで、数十年後にはヒビが入っているかもしれない。

作業に最適な日を前にして、ケースのヒビなど大事の前の小事だった。

その日の作業は、レコード7枚のデジタル化という私にとっての新記録を達成し、2つあるレコード収納箱のうちのひとつをすべてデジタル化し終え、二重の湿気および埃遮断を施し、完全に作業完了した。

7枚ものレコードをデジタル化するには長い時間が必要で、その間は自分だけでなく家人の協力が不可欠だった。その他にも、部屋や家が震動する時をうまく避けてレコードをかけたり、0dBクリップによる演奏のやり直しが少ないという幸い、そして周囲の振動にかんしてはプレーヤー自体の衝撃吸収装置に頼る必要、色々なことがあった。

その作業日の翌日は朝から曇り、昼には雨が降り出した。午後には気温が明らかに下がって寒くなり、これからのデジタル化は寒い夜よりも暖かい日中に(周囲の振動や埃の立つ時間帯をうまく避けつつ)行なう必要があることを予感させた。

私は不器用に生きているが、それでも自分なりに毎日頑張っている。

前回の記事のようにデジタル化したレコードについて何か書くこともできるが、日本でポピュラーでないレコードなので今回は割愛しよう。

レコードクリーナーARGENTO-118について少しだけ書いておきたい。私が数十年前に使っていたクリーナーはもうベルベットの毛足が磨り減っていて、新しいクリーナーを買えばそれはずいぶんレコードのクリーニング効果があるだろうと思っていた。買ったARGENTO-118のベルベットを見ると、たしかに毛足は古いクリーナーよりは長く、何よりも毛並みが揃っている。ただし、それを見て思ったが、ベルベットのクリーナーというのはレコードの音溝の奥に入り込んでしまった塵を掃き出すのが目的のものではなく、レコードの表面に付いたごみや塵を拭き取るのがおもな目的だろう。すでにブツブツノイズを発生させている、音溝に嵌り込んだごみには、新品のクリーナーでもどこまで効果があるのかはわからない。

我が家に到着したばかりのARGENTO-118は、クリーナー自体にもケースにもベルベットの毛がたくさん付いていた。そのままレコードに使ったら、レコードに毛がつくかもしれないと思った。私は掃除機を出して、クリーナーとケースに付いた毛を吸い取った。クリーナーとケースは、その時点ではきれいになった。いざ使う前に付属のブラシでベルベットをなでると、それが元でまたベルベットから毛が出てきた。その毛をブラシで落としてレコードを拭いた。レコード自体が静電気を帯びていなかったせいもあり、レコードに毛は付かなかった。レコード数枚を演奏して仕舞う間クリーナーを使い続け、ブラシをかけ続けると、毛は出なくなっていった。

コメント(2) 

コメント 2

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ひでやん

レコードのプチプチノイズ、痛んだ針で聴いた為に溝が荒れてる場合は処置無しですが、汚れが原因のノイズには水洗いが効果的です。
うちでは湿式のクリーナーを使っていますが、それでもノイズが残る場合にレーベル面を保護しつつ洗剤+水で洗います。成功率は60%ってとこでしょうか。
湿度を大変気にされてるご様子なので水洗いなど論外でしょうけど…
by ひでやん (2014-11-10 13:39) 

blueclouds

ひでやんさん、返事が遅れてすみません。じつは湿式のクリーナーはもっています。私も以前は今みたいに病的に湿気に神経質ではなかったんです。今の私はどうしちゃったんでしょうねえ。水洗いは、子供の頃に聞きかじって一度やってみたんですが、なんの知識もなかったのでレーベル面の保護もせず濡らしてしまい、洗った後乾かすのに困り、失敗してしまいました。次にノイズが気になった時はまず湿式クリーナーから試してみます。アドバイスどうもありがとうございます。
by blueclouds (2014-11-11 22:38)