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第四の生き甲斐を探します128 [手記さまざま5]

前の記事からつづく

私が株の売買をしていたのは、株式譲渡の課税が20パーセントになる前だ。もともと売買が上手くなかった私は、税に20パーセントも取られるようになってからはてんで儲けがなくて苦労だけになったので、何もしなくなった。20パーセントになる前は良かった。市場がバカなほどの活気に溢れて、うまく行けば濡れ手に粟だった。何でこんなことを書くかというと、若い人が私の利益や損失を見て、私が大規模な株取引をしていたと誤解なさらないようにだ。当時は誰でもこういう額の損や得をしていた。そういう時代の話だ。

前の記事に書いたが、転居を契機に私の周囲の転居以外の様々なものが変わり始めた。仕事も終わろうとしている。そこで私は塩漬け株を売って株取引を終わりにすることを考えた。損切りの莫大な額の損を、税率が上がる前の利益と差し引きして、マイナスにさえならなければいいという考えで計算を始めた。

私はずっと前に一度計算したことがあった。その時この銘柄の株価は1400円くらいだった。そして、いくらかは忘れたがマイナスにはならなかった。その時売っていれば良かったのだが、私は当時まだ若かった。持っていればさらに上がる時があると信じていた。そして今は800円台だ。上がりそうにないし、上がるのを待っていられないほど私は老人になった。でも今度はマイナスになりはしないか。こうして私は計算を始めた。

株の売買を始めてから今までの譲渡益と配当は全部メモしてある。千七百万くらいの利益があった。そして今回の塩漬け株を売ると、千四百万くらいの損になる。差し引き三百万くらいの利益だ。これが売れたら退職しよう。

と私は愚かなことに一昼夜も考えていた。一晩寝てふと気づいた。三百万くらいの利益は株取引開始から今までの累計で、今回損切りをして口座に戻る金額ではない。口座に増えるのは80万くらいだ。これでは、あと一年分の給料に匹敵する臨時収入があったら退職の踏ん切りがつくという条件(前回の記事)に遠く及ばない。