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2回目の内覧 [ここは地獄の3丁目]

前回の住宅内覧で不満ばかり言った親は、それでもまたいそいそと別の物件を内覧したがる。前回の内覧でこんなものだろう、いや良い物件だったんじゃないかと思った私は、それでも家を移る話になると精神が不安定になり、親と喧嘩をせずにいられない。仕事に続いて昔の思い出の土地や家までも手放して一切の希望を捨てろと言われた人間の気持ちは、そうなってみなければわかるまい。

親が聞いてきたところでは、住居を決めるまでに人々は5件くらい内覧するという。我々は、2件目の内覧をすることになった。今度は賃貸でなく分譲だ。ずっと私は、賃貸のほうが安く済むと思い込んでいた。分譲住宅を買う金はないと思っていた。親は古い人間だから、借りないで自分の家をという思いがあったようだ。実際にはどうなんだろう。賃貸も長く住めば家賃の累計は相当なものになる。分譲を買って自分の家だと喜んでも、住居そのものを買うだけでなく維持費が毎年かかる。今はどうしても親主導で動くので、正しい見積もりは出していない。いずれは私が現実を受け入れて前向きにならねばならない。しかし家を移る話が出るとパニック状態になる今の私はまだそれができないというのが現段階だ。

さて2件目の内覧だ。内覧の担当者と会って早速住居に入る。私は車を持っていないので、今の家には買い物のためのカート(ガラガラ引っぱるやつ)が2台ある。でも団地に住んだらそもそもカートの置き場がないと気づいた。1台のカートを捨て、もう1台を玄関の狭い叩きに置くしかないか。あ、共同の駐輪場があるか。そこに自転車やバイクのかわりにカートを。変な奴になってしまうな。前回の物件はスリッパ持参の必要があったが、今回のは内覧用のスリッパが玄関に用意してあった。

内覧の担当者が言うには、お客さんはよく一番端の住居を欲しがる。端でないと両隣の騒音に悩まされるから。でも端には端の欠点がある。端の住居はカビが生えやすい。とくに北側。それに冬は暖房効率が悪い。両側に住居があると、暖かい。

今回の物件は前回のよりも広々として、部屋数も多かった。そんな物件が我々に買えるのかと私はビクビクするが、親は乗り気だ。私は内覧前に平面図を見て、ひとつ気になったことがあった。8畳くらいのとても広い部屋があり、リビングダイニングと設定されていた。ダイニングであると同時にリビング。ここで私の前回の記事を思い出してみると、私の勝手な要望は、ダイニングなくていいから部屋を大きく、だった。確かに8畳もの空間があれば文句のあるはずがない。しかしダイニングでもあるということは、キッチンと繋がっているだろうな。間仕切りにドアはないと思う。もう一度私の前回の記事を思い出してみると、私は食事の空間と仕事の空間を分けたい。実際に内覧したところ、思った通りだった。間仕切りには大きな出入口があり開きっぱなしだ。そこから南側の明かりが差し込んで奥のキッチンも暗くならないというわけか。この物件は良く出来ているが、私の望みには合わない。これは賃貸でなく分譲なのだから、買ってから大金をかけて改築するという可能性はある。可能性はあるが、そんな金が果たしてあるかな。