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不運は即ちこれ好機なり。でも [非常勤講師外伝]

学生が予期しない質問をしてくることがあります。すると私は焦ります。

私は残念ながらとっさの異変に臨機応変に対応する能力はあまりないようです。質問の答えを私は言えるかもしれない。でも本当に間違っていないか。もっとましな答えがあるのではないか。様々なことを一瞬のうちに考えつつチョークを持って黒板に向かうと、頭の中がオーバーヒートして、頭の中が考えで一杯なのに実は何も考えられない状態になります。

ふと気づくと、本能で生きる動物のように、何も考えなくても頭に浮かぶ答えを黒板に書いています。そしてそれはどこか間違っています。一度黒板から目を離して喋りながら約5秒後にまた黒板に向き直って自分の書いたものが目に入り、ハッとします。何だこの答えは。そして訂正します。それから、くどくどと悔やみはじめます。

2つの無意味なことを考えます。その1。5秒後に間違いに気づく位なら、焦らずに冷静でいたら間違えなかったはずだ。この言い訳は正しいかもしれないけど無意味です。実際には私は焦って間違える人間なのだから。その2。こういう時こそ焦らずに冷静でいなきゃいけなかったのに。これも正論かもしれないけど無意味です。私はこういう時に焦って失敗する人間なのです。

私は思います。「不運は即ちこれ好機なり。」学生が予期しない質問をしてきた時、もしも焦りを鎮めて冷静に正しい答えをすることができれば、私はその時人間として、教師として一瞬でものすごい成長をとげることができる。予期しない質問という不運は、それを克服すれば成長できるという好機でもあります。

その他の不運も同じかもしれません。「また持ちコマ数を減らされた。」あるいは「また減らされるんじゃないかという不安に怯えて精神がおかしくなった。」この不運をもしも克服したなら、私は人間として、教師としてとても大きく成長します。

でも、その克服がとても難しいのです。なかなか克服できない大問題。だからこそ克服した時には一気に飛躍的に成長できる。この2つは裏表の関係ですね。

とにかく今は、不運をただ不運と思わず、悔やんで潰れてしまわず、逃げてしまわず、忘れようとせず、大きな不運ほど大きな好機だということを心に留めておこうと思います。


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