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非常勤講師外伝 株はローリスク・ハイリターン [非常勤講師外伝]

株はハイリスク・ハイリターンと言われますが、本当にそうでしょうか。株のシステムは信頼できます。自分が納得ずくで銘柄を選び投資し、投資した銘柄の株価が上がれば利益を手にすることができます。いっぽう非常勤講師職は、自分が仕事でどんなに成果を上げても、つまり教え子からどんなに評価されても、それとは関係なくある日突然仕事と給与を減らされます。非常勤講師というハイリスク・ローリターンの仕事に比べれば、株はローリスク・ハイリターンです。

例を挙げましょう。少子化の影響で仕事が減らされ始めた頃、私の職場では学生数によって授業数が調整される大学よりも、生徒数にかかわらず少なくても1学年1クラスは存在する高校のほうが安定した職場だとみなされていました。しかしある年、生徒数やクラス数に関係なく、上の人の考えで私の役職そのものが要らないことになり、高校の仕事は一瞬でなくなりました。少し先に何があるかわからないハイリスクな職場、それが非常勤講師職です。

次にローリターンについては、ほんの数行書けば理解してもらえるでしょう。ある職場の年収は毎年減り、ついに今年は年収70万円程度です。

こういうわけですから、教職の他に収入を得る必要がありました。しかし教職一本でこの歳まで来た人間にはどういうアプローチをすべきかわからず、もっとも身近なものとして、まずは社会勉強のつもりで株取引を始めました。もちろん失敗もしますし、株の先輩から学ぶべきことがたくさんあります。それでも少しずつは上達し、少しずつ利益を増やし、今年はある職場の年収の3倍くらいの純益が得られそうです。

株をハイリスクだと言い切れる人は、私から見ると、恵まれた職に就いていて職場がローリスクだから相対的に株がハイリスクに見えるのか、あるいは(失礼ながら)株の売買のコツがまだわからないので損をしているかのどちらかです。だって、最悪投資先のひとつが倒産しても、それは職場から「来年度から来なくていい」と言われるよりもまだましでしょう。だったら学校のほうがハイリスクです。だから相対的に株はローリスクです。

私たち非常勤講師は「少子化時代の学校」という職場のハイリスクをプレッシャーとして背負いながら生きています。だから心を病んでしまうのです。今度また仕事を減らされるのかと不安でしょうがない。気がつくと理由のない不安や弱気に支配されたひどい精神状態になっている。「心が弱っている」という言葉がとても合う。心の病を治す方法はひとつしかありません。職場の改善ですって? それは正論ですが現実味がありません。今どき少子化で学校はなりふり構っていられないのです。方法は逆だと思います。自分の健康を取り戻すために学校を見捨てる。つまり他のものを正収入に位置づけ、教職を副収入に貶める。学校が唯一の職場だと思ってしがみつくから、それを失う不安が心を病気にする。そうならないように私は株を取引します。株は私に勇気をくれます。株は私に思い出させてくれます「おまえは何を恐れる? たとえ教職を失っても即座に死ぬわけじゃないだろう。それにおまえには教職以外のものだってあるだろう。」


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