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いまテレビを買うなら 完結編 [手記さまざま]

この手記を参考になさる方は、必ず以下の2つの後日談もお読みください。この報告には続きがあります。後日談で情報の修正があります。
修理屋の話
画質調整後
ブログは日記的にその日のことを記すので、この時点では真実だと思っていたことが後日違うと判明する場合もあります。(ここまでの文は、手記アップロードの後に付加しました。)

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「いまテレビを買うなら」と題して色々書いてきた私ですが、先日テレビを買いました。以下のような特徴のテレビになりました。

16:9のワイドテレビ
これからのテレビ放送で困らないように。

ブラウン管
液晶の「動く映像でのブレ」などの欠点が「こんなに改善された」という情報に振り回されるのは疲れた。今までに、テレビ選びがこんなに面倒な時代があっただろうか。私は今までどおりの絵が見たいだけなのだ。ブラウン管が当たり前の時代にボーッとテレビを購入してボーッと見れば実現されていたものが、これからも欲しいだけなのだ。

ハイビジョン対応でない
ハイビジョン対応ブラウン管テレビが入手可能なら考えたが、それがない。

以上の点に加えて画面サイズ、外形寸法、価格などを考慮し、三菱の28T-D105Sを買いました。さて、実際に使ってみてどうだったかを書きます。近々テレビを買う予定の方で、時代に逆らってブラウン管を買ってもいいかなと思っている方がいらっしゃったら、参考にしてください。

まず画面サイズ。理論上は、今まで私が使っていた25型をワイドテレビに変換すると25+3=28で、28型ならば今までの画面とギリギリ同じくらいのはず。でも購入以前からテレビの外形寸法を知ってちょっと気になっていました。買ったのはワイド28型ですが、この寸法では画面の高さが今までの25型より少し小さいのではないか? 商品が届いてから実際に測ってみると、今までの25型の画面縦(実際に絵が出る部分)が35.8cm、新しいワイドテレビの縦が32.1cmで、3センチ以上も小さい。

これには考えられる事情があって、ブラウン管の場合の「型(インチ)」は実際に絵が出る部分ではなくブラウン管そのものの大きさをあらわすそうです。だから、同じ型を名乗っていても実際の絵の大きさが微妙に違うことはある。それに、「従来型+3=ワイド」という公式自体がおおまかな目安にすぎなかったという可能性もありますね。

では私がその点で失望したかというと、私が失望したのは別の点なのです。でもそれは別の話なので後で書きます。画面の大きさは、今までの25型の絵が私には大きすぎたので、今回のサイズでちょうど良いくらいです。たったの25型でなんで大きすぎるかって? それは私の部屋が家具だらけで、テレビから離れて見るだけのスペースがないのです。テレビにすごく近づいて見るぶんには、25型は人の頭が不自然に巨大に見えるから。

新しいテレビに電源を入れて、たまたまそこにあったVHSビデオテープの3倍モード録画を再生したところ、荒が目立ちました。暗いシーンで光がチラチラするあれですが、古いテレビではこんなに気にならなかったんですがねぇ。

たまたま画面にフェンスか何かの横縞が映りました。それが不気味にチラついたので「あれ?」と思いました。横縞のチラつきは昔からあると言われていますが、今まで使っていたテレビは気になったことがないのです。

続いてテレビの輝度をチェックしようとしてびっくり。てっきり標準の明るさだと思って見ていたものが「ハイブライト」でした。これでいっぱいいっぱいらしい。つまりこういうことです。今まで使っていたテレビの標準の明るさ設定が、新しいテレビの「ハイブライト」と同じ。今までの古いテレビでは明るくしようとすれば画面が輝いたものですが、新しいテレビはどんなに明るくしても画面は輝きません。これじゃまるで、一昔前の液晶みたいだ。今どきの液晶はもっと輝く。ほんらい輝きはブラウン管の十八番でしょ。眩しくて目が疲れるくらいに輝くはずなのに。「何のためにブラウン管を選んだんだ」と思いましたね。

それでは微調整で「明るさ」をいじるとどうなるか。画面が光るかわりに白茶けるんです。ほんとに、昔の液晶じゃないんだから。これって昔の液晶の絵でしょう。私が一番失望したのは、この点です。

さて微調整を元に戻し、気を取り直して母の部屋のテレビと同じ番組を受信して見比べました。これはひどい。なんで母の10年以上使ったテレビよりも私の新しいテレビのほうが絵が悪いんだ? それから何度も部屋と部屋を行き来して見比べ。何かが違う。何だろう。陰影? 映像に深みがない。表面的だ。風景でも同じものを感じるが、人の顔がいちばん顕著だ。母のテレビでは人の顔が、鼻のあたりは手前にあり、頬は端がだんだんと奥へ行き、立体的に見える。私の新しいテレビでは顔全体の絵が画面に貼り付いているように見える。私が知っている一昔前の液晶がこんな感じだった。

それから微調整をいじってあらゆる設定を試す。でもどんな設定にしても映像の深みのなさは変わらない。三菱さんは、前からずっとこんな画質のテレビを売っていたのですか? 私が今まで使っていた東芝さんのテレビも母のシャープさんのテレビも、どちらも10年以上前のものですが、三菱さんの去年発表したテレビよりも映像に深みがあります。この現実を私はどう判断したらいいんだろう。

各社のテレビの中で、一社だけが素人にはっきりわかるほど画質が悪いということがあるだろうか。普通はない。なぜなら、そんなテレビは誰も買わなくなるから、もしそうならその会社はとっくにテレビから撤退しているはず。では上の現実の意味は? 真実はわからないが、ひとつ思い当たることがある。まだDVDがなくVHSビデオデッキ全盛だったころ、ビデオデッキには様々な機能が付いていた。たとえば3倍モードと標準モードに別個のヘッドを使用し、さらに3倍用ヘッドを使用するかどうかをメニューで選べた。あるいは、ダビング時にスイッチを入れることで画質劣化を抑える機能があった。特別な製品でなく、お手ごろ価格のものが当たり前にそうだった。ところが落ち目になった今どきのVHSビデオデッキは、ただ動くだけだ。カセットを入れる。再生する。巻戻す。取り出す。タイマー録画する。それが機能のほぼ全てだ。細かい機能は全部取り払われている。AV機器は、落ち目になると、質が落ちる。

今回ひとつ学んだことがあります。私は店頭でテレビを見もしましたが、おもに理論を追いかけていました。一般論と言い換えてもいいだろうか。ブラウン管はどうの、液晶はどうのという話でした。でもこれは机上の論でした。テレビを作る会社は机上にはありません。彼らは、売れるものに力を注ぎ、売れないものはそれなりに済ませます。だからたとえ欠点があるものでも、売れれば企業努力で良くしてゆき、欠点を克服してゆきます。逆に今まで満足だったものでも、売れなくなればそれに力を注がないので、質が落ちてゆきます。

売れ行きの動向に自分も乗ることは、満足できる製品を手に入れるための良い手段だったのですね。「いまテレビを買うなら」と題してブラウン管と液晶等を比べ、世の中の動きに疑問を投げかけてきましたが、残念ながら結果は私の負けです。敗因は、営利企業や市場を考えに入れなかったから。そのせいで、一昔前の液晶の画像が嫌だったからこそブラウン管にこだわった私が、一昔前の液晶の画像を出すブラウン管テレビを買う羽目になってしまいました。これからブラウン管テレビを買おうと思っていた方は、これを参考になさってください。

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追伸
この手記を参考になさる方は、必ず以下の2つの後日談もお読みください。この報告には続きがあります。後日談の中で情報の修正があります。
修理屋の話
画質調整後


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コメント 2

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風来坊

うわっ!昨日買ってしまった。
先にこのページを見ておくべきでした。今週末は移送予定なので、自分の目でも確かめてみます。
by 風来坊 (2007-01-21 12:48) 

blueclouds

風来坊さん、コメントありがとうございます。上の完結編の後に後日談を2回書きました。そちらでテレビ裏の調節つまみをいじり、好みの映像に近づけ、さらに最新液晶テレビとも比較しています。参考にしてください。
上の記事の大まかな所は今も見解は変わりませんが、細かい所には当時の私の考え違いがあります。フラットブラウン管を明るくしても光らずに白くなるというのを知らなかったので、明るくない、明るくないと書いたり。このへんは私の無知が書かせたこととしてお許しください。
by blueclouds (2007-01-22 09:02) 

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