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どうしてこんなに生き甲斐にこだわるか (4) [手記さまざま5]

父が亡くなって十年が過ぎた頃、叔父がうちに来るのをやめると言い出しました。年をとって、うちまで来るのが大変になったのだそうです。私はやっと、ホームシアター計画を聞かされる苦痛から解放されました。

父の命日に叔父が来なくなると、叔父の情報は入らなくなりました。それでも私は、あれだけホームシアターに入れ込んでいた叔父だから、当然今もホームシアターと綺麗な大画面のことを考えて生きているに違いないと思っていました。それから十年くらいが過ぎました。

去年、その叔父が急死しました。葬儀、告別式、法事で私は親戚と会い、叔父の世話をしていた親戚と話をしました。私はてっきり叔父がホームシアターのことばかり言っていたものと考えていましたが、そうではありませんでした。もう十年も前に、ホームシアターの話をしなくなったそうです。その後とくに趣味もなく、やがて徘徊が始まり、自宅から遠く離れた場所で発見されて、世話をした親戚が警察に呼ばれることが何度かあったそうです。

つづく