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深窓の佳人ならぬ深窓の図書室に寿命が来た [手記さまざま4]

私は若くてまだ体が動いた時、一回に数十万円という大金をかけて外国へ行き、その都度一か月滞在した。そんな無茶をしたのには理由があるが、それは今回の話でないので省略したい。

外国で体験したことを私は逐一メモした。決して忘れず、大学院や学会の精神異常者達に潰されないようになるために。外国で沢山のものを買い、高い郵送料を払って日本の自宅へ送った。

それから数十年が経った。大学院は潰れた。あたりまえだ、あんなだったから。学会が変わるにはまだ数十年を要するが、それでも確実に新風は入った。

そして私は家を追い出される。過去に体験したこと、買ってきたものが成功したか否かに関係なく、私はあらるゆものを処分してウサギ小屋サイズの新居へ転居しなければならない。

今日は戸棚を開け、昔外国で体験したことをメモしたノート、買ってきた膨大な量の専門的な冊子、持ち帰ってきた紙類を入れたバインダー、外国人の友人から譲り受けた国旗を取り出した。そして可燃ごみ袋へ入れた。

ノートも冊子も、とてもきちんと包まれていた。大きさの同じものを重ね、空気が入らないようにぴったりとビニルを密着させて封をし、収納場所に隙間なく入るように包みの向きを選んでぴったりと入れていた。見ているだけで清々しい。ここまで気を遣っているから、今まであらゆることがうまく行ったのだな。それが、PC-9821Ct16を不用品回収に出した時と同じく、ごみとして扱った瞬間に不思議なほど一瞬でごみの様相になった。ごみとして可燃ごみ袋へ入れたとたんに曲がり、一瞬でごみという感じになった。家を出て行かねばならなくなった時点で、大事にしてきた物たちに「寿命」が来たのだろう。