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思いもよらぬ物が蓋にくっついた [手記さまざま3]

まだ私が若かった頃、友人から恐怖の焼売弁当の話を聞いた。蓋にくっついていたという、あれだ。友人は引き続きおばあさんの話をした。巷では、おじいさんの話としても伝承されている。それから長い年月が経ったが、私は現実世界で蓋にくっついた焼売もおばあさんも見ずに過ごした。崎陽軒のシウマイは蓋にくっつかないようになっているし、人はもちろんくっつかない。ところが先日、思いもよらない物が蓋にくっついていて笑った。サンマだ。この時点で完全にネタバレだが、最後まで書かせてほしい。

このブログの記事に書いたが、我が家では少し前にグルメパンというフライパンを買った。これは2つのフライパンが蝶番でくっついた形をしていて、蓋をして中の食品を簡単にひっくり返せるアイデア商品だ。先日うちの親がサンマを買ってきて、真ん中から二つに切ってグルメパンで焼き始めた。うちの親は食品がフライパンの端に寄るのを異常に嫌う変な人で、せっかくのグルメパンだというのにフライパン ごとひっくり返さずに蓋を開けて箸で返す。その無意味な行為が私は嫌で、親がグルメパンで何か焼いているのを見つけると自分が代わりに焼く。グルメパンごとひっくり返してから蓋を開けて、端に寄った食品を整えれば良いではないか。なぜ親がそれをしないのか理解できない。今回もサンマを焼いていると言うので途中から私が交代して焼いた。蒸気穴から十分に蒸気が出てきたら頃合いだ。私はグルメパンをひっくり返して蓋を開けた。そして不思議に思った。二つに切ったサンマが三切れ入っていたからだ。一尾を二つに切れば二切れ。二尾を二つに切れば四切れ。それなのにフライパンの中にあるのは三切れ。一切れだけ焼かずに残してどうする気なのだろうか。私はそれを親に聞いてみた。すると親は四切れ焼いていると言う。そんな馬鹿な。フライパンの中には三切れしかないぞ。次の瞬間、親と私は蓋にくっついた一切れを見つけて大笑いした。


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