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混沌音楽研究(エクソシスト編) [混沌音楽研究]

エクソシストといえば人々はチューブラー・ベルズを考えるだろうが、私が調べたいのはそれではない。

マイク・オールドフィールドのチューブラー・ベルズは、映画版でなく大元のLPのほうでは、確かにある意味混沌だ。脈絡のないメロディーが次から次へと出て、B面に至っては「えせ原始人」まで登場する。そういう脈絡のなさでは混沌だ。でも個々のメロディーそれ自体は混沌でない。

映画エクソシストには他にも何人かの作った音楽があり、その中にこそ、混沌と呼ぶにふさわしいものがある。私がいま取り上げたいのは、George CrumbのNight of the Electric Insects。この題名は訳すといい感じに変だ。電気虫の夜。聞いた感じは、そのまんま電気虫の夜って感じだ。でも使っている楽器はシンセサイザーのような電子楽器ではなくアコースティックな弦楽器だ。
https://www.youtube.com/watch?v=nLU3l-XNDlw

前回扱った「猿の惑星」は、混沌とした音楽ではあるが、あれを聞いて「破綻している」と表現する人は少ないと思う。ところがこの電気虫の夜は、私には「破綻した弦楽合奏」に聞こえる。

さて、この「電気虫の夜」は、実はある作品(Black Angels)の一部だ。例えて言えば、交響曲から1楽章だけ取り出してエクソシストのために使ったような感じだ。楽曲の全体は、ネットで聴くことができる。それだけでなく、演奏の様子を見ることもできる。それを見れば、シンセサイザーのような電子楽器を使っていないことがわかる。(ただし、どうやら弦楽器の音はマイク集音後に電気的に変調させるらしい。)
https://www.youtube.com/watch?v=m5a2RXA2Jn8

この「破綻した弦楽合奏」は、偶発的産物ではない。何度でも演奏できるように、楽譜に記されている。いったいこの破綻した音がどのような「おたまじゃくし」で表現されているか、それもネットで見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=44u71qJFh00

私は、「破綻した弦楽音楽」を少なくとももうひとつ知っている。それは私のカセットテープに入っている。私としては今すぐそれを出して比較したい気持ちがあるが、物には順序があるので我慢し、まずは「電気虫の夜」の作者George Crumbについてもっと調べたい。

ちなみにエクソシストには他にもヴェーベルン(Five Pieces for Orchestra Op.10)やペンデレツキ(String Quartet No.1 1960など)の音楽が使われている。でもそこまで手を伸ばしたら、私はカセットテープ補完計画へ戻ってこられなくなる。







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