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歯根治療(9) [歯茎におでき]

治療室に呼ばれてから出てくるまでにちょうど1時間。今日の治療は長かった。タオルで目隠ししているのでよくわからないが、仮詰めを取って根管をごしごしやってまた仮詰めしたのは間違いない。今までの仮詰めを取った後で磨くような動作に結構時間を費やした。仮詰めがきれいに取れなかったのか内側が汚れていたのか、そのへんはわからない。それから例のごしごし。これが、終わったかなーと思ったらまた始まり、別の事をしているようだから再仮詰めかなーと思ったらまたごしごし。そのうちに私は何かいい気持ちになって、わたしゃここで寝てるからいつまででもやってねーという感じになってきた。(一生懸命の先生にはとてもこんな事は言えないが。)全部終わった後ですぐ腕時計を見て1時間経っているのを知った時には驚いた。だって、午後の診療時間まであと40分しかない。昼飯と休憩が必要なのに。先生ぜったい無理してる。で、最後の短い会話で根の治療があと1回くらいとおっしゃった。そういう事か。今回は2倍近い時間。数えてみたら予定回数5回に1回足りない全4回。つまり今回は2回分やったんだろう。先生が無理する事を患者は望まないんだけどな。でも先生にお任せするしかない。会計の前に先生が会計担当者に何か言って、それからしばらくして私が呼ばれた。次回は8月26日だという。これを聞いて私はまたびっくりした。だって、前回は3週間半待ち、その前は2週間ちょっと待ち、だから今回もそれくらい先のはずだが、加えて今回は医院のお盆休みが1週間入る。だから9月上旬だと私は思い込んでいた。とはいえ、一患者の私には何ひとつ事情がわからない。すべてお任せするのみだ。2回分なら支払いが多いだろうと思って前回と比べたら同じ。先生は私がリストラされたのを知ってるから(そもそもその苦しみで毎晩歯軋りして歯がこうなった)、ひょっとしたら治療費があまりかからないように頑張ってくださっているのかもしれない。

横になって口開けて、一生懸命ごしごしやっている先生の気配を感じながら考えた。人間が仕事をするなら、誰かに感謝される仕事をできたらいいな。つい仕事というのは生きるため、金を稼ぐために必要なものという考えが先に立つ人生だが、同じ「命と元気の切り売り」をするにしても、人に感謝されるような立派な仕事というのはすごいなあ。それにひきかえ、大学教授というのは何のためにいるのかわからない人達だよ。もちろん彼らが大学のとくに自分の学部学科のことを決めているのだが、観察していてどうにも感謝も尊敬もしたくない。そうだなあ。とにかく自分が今もっている仕事は、クライアント(私の場合は教え子)に感謝されるような努力をするべきだなあと思った。前にも話したっけ。私がこの歯医者に来て良かったと思うのは、歯の治療だけでなく、そこで働いている人たちを見て「職業人としての人間」とは何かを考えさせられるからでもあるんだ。

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