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親知らずがあった頃の9つ道具 [その他の病気]

7つ道具と言いたかったが、数えてみたら9つあったから仕方がない。大抵の道具が使い古しで汚らしく見えるが、もういいかげんに新しくしようと思った矢先に歯医者から親知らずを抜きましょうと言われてしまったので新しくできなかった。お見苦しくて申し訳ない。

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左上の黄色いのとその右の青緑は見ての通り歯間ブラシだが、なぜ2本あるかといえば、磨く場所が違ったからだ。口の左下と右下の親知らずが横を向いて生えていたので、それの側面(歯茎にほぼ接している)と歯茎と隣の歯の側面で形成されるわずかな三角形の隙間があって、これがとても小さかった。そこを磨くのに一番細い歯間ブラシを使っていた。ところが左下の親知らずは斜め横ではなくまさに真横を向いて生えていたので、この歯の頭と隣の歯の側面の間も隙間という感じだった。こっちの隙間は普通の歯間ブラシでは引っ掛かりがないほど広く、でもペンタイプのブラシや歯ブラシでは届かなかった。だから一番太い歯間ブラシを使っていた。それが青緑のほうだ。

それら歯間ブラシの右にあるのは普通の歯ブラシで、私は電動歯ブラシのドルツを愛用している。脇の植毛が細くなっているブラシでなければ駄目だ。それと、歯と歯茎の境目のためにペンタイプのブラシ。電動歯ブラシは駄目だという人もいるが、電動には2つの長所がある。いちばんの長所は、長く磨いても手が疲れないから、じっくりと磨き続けられることだ。私の場合は電動で10分、歯間ブラシと糸楊子で10分、合計20分だった。2つめの長所は、電動でないブラシだとつい力を入れすぎて歯茎を傷つけてしまう性格の私でも、電動だと軽く当てることに慣れやすい。

それら電動ブラシの右にあるのは、世界中どこにも売っていない私の自作品、「モヒカンブラシ」だ。電動でない普通の歯ブラシの中でもとくに毛先が長くて細くなっている製品を選び、それの植毛を剃刀で自分の「親知らずと隣の歯の間の隙間」に合うように切り落とす。その結果、残った植毛部はモヒカン形状となる。念のために確認するが、ここで言うモヒカンとは床屋で見かけるソフトモヒカンではない。本来の意味でのモヒカンだ。この歯ブラシをペンチなどを使ってネックの所で切断する。そして、使い古して毛先が駄目になった電動歯ブラシのブラシになんとかしてドッキングさせる。このドッキングが少し難しく、使っているうちに角度が変わってしまうようでは駄目だ。こうして出来た自作ブラシはスイッチを入れると通常よりも大きな音がするが、しかしまともに使える。そして、横を向いた親知らずと隣の歯との間を虫歯から守るには、必需品だ。モヒカン形状の植毛部を親知らずと隣の歯の間に入れて使う。汚れをきれいに落とすのが難しい隙間なので、ザクトライオンのような研磨効果の高い歯磨き剤を併用する。

一番右はもちろん電動歯ブラシの本体。

下に3本の糸楊子がある。本来の糸楊子、つまり糸だけのものは、歯医者では勧められるが使用が難しい。一時期頑張って使っていたが、ただ難しいだけでなく、私のような歯がひしめきあって生えている口の場合、歯と歯の頭の部分がぶつかって隙間と呼べるものがないことがある。そこに糸楊子を入れようと力を入れた瞬間に一気に入って勢い余って歯茎を傷つけ血が出るということを何度も経験した。それで糸だけの糸楊子はやめた。下の2本はウルトラフロスという商品だが、これは力の入れ具合が調節でき、勢い余って歯茎から血を出すことがない。でも今は3本を上から順番に話そう。

フロスでないほうの端が掻き出せる形状になっている糸楊子は、糸楊子部分がかなり太い。私のような歯がひしめきあって生えている口ではこんなフロスは歯間に通らない。でもたった一箇所だけ、歯と歯の間が逆に空いている所がある。私のようなガチャ歯の人間というのは、そういうものなのだ。ひしめきあっているだけでなく、所によっては歯間が空いている。その部分だけは、Sサイズのフロスでは逆に引っ掛かりがなくて掃除しにくい。だからこれを使う。掻き出せる形状のほうも便利で、歯の裏側に食べ物のかすが付いた時に重宝している。

2本目のフロスは上に書いたウルトラフロスのSサイズだ。あらゆる場所の歯間をこれで掃除する。

一番下のフロスは、見た目には2本目のウルトラフロスと変わらない。しかし実際には違う。これは、ウルトラフロスを使い続けて少しずつ糸が切れ、とても細い状態になったものだ。どうしてそんなものが必要かというと、以前に歯根治療をした時に金属のクラウンをかぶせたが、このクラウンと隣の歯の間に隙間と呼べるものがない。私はこれで困っている。隙間がなければ食べ物のかすも入らないかというと、これが違う。何十回も噛むうちには、ほうれんそうの細い繊維などが「ないはずの隙間」に入る。でもフロスは入らない。とても困る。そこで私が考えたのがこの最後のフロスだ。使い古して切れる直前のとても細いフロス。これだけが、「ないはずの隙間」に入る。

最後に、写真撮影時にうっかり忘れたがもうひとつある。あなたは裁縫道具の待ち針をご存じだろう。あれを思い出してほしい。9番目の道具は待ち針そのものだ。上に書いたとおり私はガチャ歯だ。親知らず以外にも、3本の歯が普通でない位置に隣り合った結果、楊子の太さではどうにもならない窪みができている。そういう場所から食べ物のかすを取り出すには、ひとつの有効な方法は口に適量の水を含んで勢いよくすすぐ。水流というのはたいしたもので、これで取れることは多い。もうひとつの方法として、もしも道具を使うならば、楊子よりもずっと細い針しかない。この待ち針は長年使ううちに先端が少し鋭利さを失った優れものだ。針だから、最初に使い始めた頃はうっかりチクッと歯茎に刺したこともあるが、今では気をつけているからそんなきわどい場所には使わないし、針先のほうも少し丸くなっているからなお安心だ。

私はこの9つ道具で一生歯磨きをするつもりだった。一生続けると思うと大変そうに思えたが、それでも自分の親知らずを守るために「よしやってやるぞ」と思っていた。

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