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高校と女子高生(3) 女子高生について [高校と女子高生]

(高校と女子高生(2)から続く)
さて、高校生から得たものは、高校から得たものとはまったく違う。私はそれらを女子高校生から得た。どうして男子高校生でないのか。ひとつには私が勤めていた高校がほとんど女子高状態だったから、もうひとつには男よりも女のほうが思ったことを口にしやすいから、それだけ彼女たちの思っていることを知る機会があった。

得たものは2つある。ひとつずつ書こう。まずひとつめは、同じ女子でも大学生からは得られなかったもの。高校でも教えていた私が、それを得て同僚の大学講師と比べて自分の授業の個性を作り出すことができたもの。それは、教えるということについてだ。教職に就いた当初、私は今回の授業で教えたことは次回の授業ではすでに教え終わったこととして扱えると思っていた。しかしすぐに生徒達から「わかんない」「忘れた」の意思表示があり、私はカルチャーショックに似たものを感じた。前回教えても、今回の授業では忘れているだろうと思って復習から始める。このレベルの低さが、私に懇切丁寧な授業展開を強いた。私はそれをしなければならなかったが、今ではそれが普通になっている。同じことは大学の授業にも当てはまるかもしれないが、いくつもの理由から大学では目立たない。まず、女子大生は女子高生よりも、思ったことをそのまま口にする回数が少ない。それだけ大人になったのであり、それだけ何を考えているかはわからない。それに、大学では高校ほど手取り足取り教えてやらなくても許されてしまうから、質問がなければ先へ行ってしまい、彼女たちが本当はわかっているかどうかが不明なままだ。そして、大学生のほうが理解力があるから、授業中にくどく繰り返さなくても理解している、かもしれない。

いずれにせよ女子高校生の、何でも思ったことを口にしてくれる傾向には助けられた。それだけ授業の方向を修正してゆける。それに、何かを教えようとした時、高校生は大学生よりもそれに飛びついてくる。大学生は大人になった分だけ冷めている。教えていて相手の熱意を感じ、それが自分の中の教師魂に火をつけてくれるのは、そして教師自身が自分を高められるのは、じつは高校生のほうだ。その代償として、数十人のガキとのつきあいはものすごいパワーを消費するので、短時間の仕事を終えるとヘロヘロになっているが。
(つづく)


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