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第四の生き甲斐を探します235 家庭用水族館プロジェクター [手記さまざま6]

それは昨日の晩のことだった。私はベッドに仰向けになり、無機質な白い天井を見ていた。私は思った。どうして鉄筋コンクリート造の天井はこんなにも無機質で味気ないのか。ここに水族館よろしく魚が泳いでいたら良いのに。まてよ、今どき、それくらいの機械は売っているんじゃないか? 名づけて家庭用水族館プロジェクター。

私はすぐにネット検索した。残念ながら家庭の天井に水族館を映し出す機械は売っていなかった。類似した機械は、部屋の四方に光を放って水のゆらぎみたいな映像を映すというものがあった。光の色は変えられる。でも魚はいない。まてよ、部屋の壁に映画を映すプロジェクターだったら売っていそうだ。そして水族館の魚の映像はYouTubeにあるかもしれない。それを映せばいいんじゃないか。

私はすぐにネット検索した。テレビ、スマホ、YouTubeなどの映像を入力して部屋の壁に投影するプロジェクターは売っていた。いいぞ!

ある商品は、明るさは非常に明るく、投影される映像の解像度もフルHDくらいある。しかし消費電力が250ワットも要る。私はパソコン等の消費電力を調べてみたが、私の部屋には250ワットもの電気製品はひとつもなかった(もちろんキッチンに行けば電子レンジ等はあるが)。金のない私が消費電力の高い機械を毎晩使うのは悩む。

別の商品は、明るさは暗く、投影される映像は標準画質だ。これは確実にぼやける。ACアダプターを繋いだままでなくても充電して使えるので、消費電力は少なそうだ。

高性能で消費電力が高い商品と、低性能で消費電力が低い商品。どちらにしようかと考えた。標準画質がどのように映るかはよく知っている。小さなディスプレイならば我慢できるが、広い天井に映すとどれだけぼやけるだろう。私は高性能のほうに決めようとした。その時、2つのことに気づいた。

まず、投影中はファンが回りっぱなしだ。ファンの音が耳障りらしい。水族館の映像を見つけてきても、音もなく魚が泳ぐわけには行かない。もうひとつの気づいたこと。これはテレビなどの映像を壁に映すものだ。部屋の全方向に投影するのではない。天井の一部に四角く映像が映るだけだ。魚が泳ぐとしても、その四角の中だ。私はもう一度考え直すことにした。

家庭用水族館プロジェクターはなかったが、家庭用プラネタリウムならばあるだろうか。あった。多数の星をくっきり映せる高級機から、少ない星をそれなりに映せる低級機まである。ただ、私が見たいのは水族館で、星空を天井に映すのは少しとまどいがある。私は次の流星群観察に備えて家の近くで暗い場所を探そうとしている。たとえ結果的に町明かりで見えなくても、本物の星を見ようと努力するほうが「本物」だと思わないか。自宅の天井に星を映すほうがよく見えるに違いないが、それは本物でないというか、ワクワク感が違うとは思わないか。

もちろん家庭用水族館プロジェクターだって「本物」じゃない。私はそれを承知で、それでも自分の周りで魚が泳ぐ所を見たいということだ。