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ゴキブリが魔術のように消えた話 [手記さまざま2]

ここ数日ブログ記事を出さないうちに認識したことがある。記事が出ないというのは、書くことがないという意味ではない。書くことは毎日現れる。現れても、記事にしなくていいやと考えたり、憔悴して記事を書く気力がなかったり、忙しくて暇がなかったりする。それが、記事が出ないという言葉の意味だ。事件そのものは、人の周りで毎日起きている。

ゴキブリが魔術のように消えた事件だって、人々が読んでくれるかどうかは知らないが、書いてる当人にとっては結構大きな事件だ。

うちは何年もゴキブリを見なかった。これは、毎年買っては置いているゴキブリ退散アイテムのおかげだと思う。今年の退散アイテムは去年までと形が違うが、中身は同じだろうと思いつつ例年のように置いた。でもどうやら中身が同じではなかったようだ。今年は家でゴキブリを、親が3回、私が2回見た。最後に見たのは小さな種類ではなく巨大なやつ、クロゴキブリだった。よりによって、私が開けようとした冷蔵庫の取っ手にへばり付いていた。殺虫剤がなく一撃必殺の手段を思い付かなかった私は親の知恵を借りようと呼んだ。親が手に持ってきたのは、湿布薬7枚が入った紙袋だった。自分の親ながら、このいい加減な発想にはついて行けない。ゴキブリを叩き潰した後の紙袋から毎回湿布薬を取り出すのは平気だと言う。とはいえ、この親は過去にこのいい加減な発想で、家の中を飛び回るコウモリを叩き落とした実績をもつ(その時は湿布薬ではなく布団叩きだったが)。いつもスマートな対処法ばかりを探している私よりも立派だ。今回もお手並み拝見と行こう。親は狙いを定めてゴキブリを叩いた。私は、親が持つ湿布薬の袋がゴキブリの真上にぶつかるのを見た。ところが、叩かれたゴキブリが落ちてくるかと思ったが落ちてこなかった。袋の下へ落ちるのを見なかったし、横へ飛ぶのも見なかった。そして袋が去った後にはゴキブリの姿がなかった。親も私と同じことを思った。二人で辺りを探したが、ゴキブリはどこにも転がっていなかった。逃げたのだろうが、逃げるにしても袋の下へ落ちるか、横へ飛ばされるかするのが見えるはずだ。それが二人のどちらの目にも見えなかった。まるで魔術のように消えた。


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