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日記 [手記さまざま2]

以前にブログ記事に書いた、声優になりたいとう女性は、次に会った時には「忙しくて声優養成所に行けない」と言った。私はそういう養成所が毎週行く所なのか行ける時だけ行く所なのかも知らないので、「ふうん、そういうものなのか」と思うしかなかった。根掘り葉掘り聞くのは悪いので、私はそれっきり養成所の話を切り出さない。本当は「ういろう売り」の後半を聞かせてほしいのだが、そういうわけにも行かない。そして何週間も過ぎ、今日になった。今日彼女は、今まで持ってこなかったものを背負ってきた。黒いカバーを被っているが、一目見てエレキギター以外の何物でもないと思った。私は若い頃、アコースティックギターならば練習した。でも挫折した。挫折の原因は、私が深爪をものすごく嫌っていることだ。幼稚園児の頃、親が私の爪を短く切って、その感覚にぞっとして、それ以来爪を短く切れない。そうなると、ギターの指板をしっかり押さえられない。指板に指の腹が当たるより前に爪が当たってしまうのだ。それで、人々が上達しても私だけが上達できない。ついに諦めた。もしもギターでなく鍵盤楽器なら、「ネコ踏んじゃった」くらいは弾けるようになっていただろうか。「ネコ踏んじゃった」が無理でも、古畑任三郎が一本指でやっていた「函館の女」は絶対弾けただろう。「ペンちゃんの不思議なけんばん」とDAWで、もしも私に簡単な曲が作れるなら、いつの日か作りたいものがあるのだが。私に才能と呼べるものはないと思う。ステージ演奏と違ってDAWは「できるまで何度でもチャレンジする」ことができるが、果たして私にできるのはどこまでだろう。
閑話休題。彼女にいつからギターを弾いているのか聞いたら、去年からだという。私は彼女の左指を見せてもらった。そこに2つのものを見て納得した。まず、爪が短く切ってある。そして、指の腹にギターだこ。これら2つが、私に欠けていたものだ。
早くも彼女との話題は尽きた。本当はもうちょっとギターのことを聞きたいが、人間、節度も大事だ。こうして彼女は去っていったが、去り際の後ろ姿、背中のギターにおそ松さんのマスコットがぶら下がっているのを私は見落とさなかった。若い人は楽しそうでいいなあ。