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無題 [震災後の放射能漏れ問題]

明日が9月11日、震災からちょうど半年になる。地震と津波の被害までなら復興はもっと進みが速かったはずだが、現実には福島の第1原発が津波で冷却機能を失いメルトダウン、水素爆発を起こしてきわめて高濃度の放射性物質をまき散らした。これのせいで問題はとても複雑になってしまった。これ以上概論を書く必要はないだろう。本題に入ろう。

原発事故以来、私は頻繁に記事を書いてきたが、このところ原発関係の記事を書いていなかった。これは決して何も起きなかったという事ではない。私が記事を書かなかった間にも、薪や稲から国の暫定基準値を超える放射線が検出されてニュースで報道された。ただ、それらはみな同じ類のもので、どうやら放射能事件は第2段階に入ったようだと私は考えた。

第2段階とはどういうことか。第1段階は、どこにどれほどの放射能があるかわからずに不安が先に立ち、除染などの行動はままならない段階だ。これが暫く続き、その間政府の対応が後手後手に回ったが、その後第2段階に入った。第2段階は、とりわけ何に注意しなければいけないか(原発事故以来屋外に放置されてきた水分を吸収・発散しやすい物に注意、校庭や公園などの土壌に注意)が経験からわかってきた。だから除染などの行動も自発的に行なわれるようになった。もっともここでも政府の遅々として進まない政策を待ってはいられず、自治体等が自発的に行動するしかなかった。

私としては、すでに少し前に生じていた第2段階への移行を震災から半年の時点で確認することで、この一連の記事にひとまずの区切りをつけたい。

もう少し、気づいたことを書こう。まず、大きな皮肉について。今まで、日本は世界中のどの国よりも食の安全に神経質だった。これは行政がではなく、国民一人一人の意識が神経質で、その結果として日本という国全体がその方向で動いた。過去には中国産の食品に問題が起きた時、あるいはBSEについても、日本は問題のある食品を神経質に拒否し続け、相手国は最初のうちは「それはウチのせいじゃない、そっちが悪いんだ」あるいは「たまたま偶然に脊柱がちょっと混じっただけだ」などと言っていたが、そのうちには「これはこの国のメンタリティーであり、どうにもならん」と観念したに違いない。その日本が、今、世界中のどの国よりも食が危ない国になっている。農薬が残留した中国の野菜?そんなもんなまぬるい。薬で太らせた鶏?そんなもんなまぬるい。ベトナムに旅行して帰ってきたら虫下しを飲んでおけ?そんなもんなまぬるい。日本なんか放射性セシウムだぞ。食べたら発がんリスクが上がる素晴らしい食だ。なんという皮肉だろう。今までスーパーで「国産は外国産に比べて安心だけど高いから買えない」などと思っていた人も、今ではこぞって「安全な外国産」に手を伸ばす。なんという皮肉だろう。

もうひとつ。先日のラジオで誰かが喋っていた。その人に言わせると、国の暫定基準値はいつまで暫定のままなのか。諸外国での基準値がどうのとか言ってないで、世界中のどの国よりも厳しい基準値を設けたらどうか。そうすれば外国は日本の食が安全だと信じて、また輸入するようになる。なぜ国がそうしないかといえば、そんなことをすれば日本中の多くの生産物が基準にひっかかり、国がそれを補償しなければならなくなるからだ。それが嫌だから基準値を厳しく出来ないというのは、つまり国民の健康をないがしろにしているという事だ。この健康にかかわる大問題を与党は口にせず、野党さえも批判しない。その人はこういう趣旨のことをラジオで言った。その人の発言は理想論かもしれないが、いずれにせよ私は思った、世の中にはこの心配性の私よりもさらに厳しい目で放射能問題を見ている人がいた、と。私自身、先ほど第2段階に入ったとは書いたが、それで満足という意味ではない。ただ、これ以上は望めないと諦めているだけだ。

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