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個人的な思い出 [高校と女子高生]

そういえば、こんな女子高生がいた。その年、最初の授業時間にサービスでビデオを見せ、次の時間は教科書を進めるからビデオは見せなかった。生徒たちは毎回ビデオが見られると思い込んだらしく、ビデオをせがんだ。いちばん手前に座ったその子は「ビデオ~」と元気に幼く声を上げて主張した。その元気な声に、その子が授業中のムードメーカーになってくれそうで私は期待した。そんなに見たいなら時々ビデオコーナーを作ってやろうと思った。でもその子は学校に来なくなった。聞いた話では、必修の授業について行けなくなり悩んでいるらしかった。私は心配したが、非常勤で自分の担当授業の時だけ出勤する私に出来ることは何もなかった。ある日仕事を終えて帰る途中、偶然にもその子に出会った。私は何か元気づけるつもりで声をかけた。相手は私のことを覚えてはいたが、無関心に挨拶して通り過ぎた。また元気に学校に来てほしい、またビデオを見せてやりたいという私の思いは、とっくの昔に空回りしていたようだ。その子はそのまま退学した。

そういえば、こんな女子高生がいた。よく勉強する子だった。教えたことをよく理解する子だった。こういう子には大学でも頑張ってほしいと思った。こういう子は大学でも教えたいものだと思った。三年三学期の授業がすべて終わった後、校門の守衛さんに元気に挨拶して走り出て行くのを見た。それが最後だった。同じ学校法人の大学へは来なかった。出来のいい子は他の良い大学へ行ってしまう。その現実が残念でならなかった。

そういえば、こんな女子高生がいた。いつも何かのアイテムを持ってきた。当時キリンビバレッジのエコパンダがテレビのCMで面白かったが、その子はエコパンダを持っていた。お母さんがもらってきたが自分は興味ない、と言っていたが、その割には気に入っているようだった。授業中にはよく私の言葉に反応してくれた。授業では私の目を見てハキハキ喋ったが、授業が終わってから私がエコパンダを見せてもらいに行くと俯いてしまう子だった。いわゆる典型的な授業のムードメーカーになってくれた。高校を卒業したら大学でも会えるだろうが、さすがに大学生になったらエコパンダは持ってこないだろうと思っていた。翌年、大学では見かけなかった。今どうしているのか、まったく知らない。


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