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メルカリへの賛辞 [手記さまざま4]

私は今まで、物を売るということをしないで生きてきた。人々が物品の売買を行うメルカリの名前は以前から知っていたが、自分には縁がないと思っていた。それが、わけあって自分が持っている物を売りたい状況になり、不安だらけでメルカリにアカウントを作り、出品を始めた。

いざ取引を始めてみると、メルカリという企業にひたすら感心した。個人が物品の売買を安心安全に行なえるための仕組みを、よく整えていることに、すぐに気づいた。取引する人が相互に相手を評価する仕組みの本当の目的は、評価そのものではなく、一人一人が良い出品者、良い購入者におのずとなれるようにするのが目的だろう。だから、評価といっても3段階や5段階でなく、良かったか残念だったかの二択なのだ。誰でも自分の評価を下げたくはないという気持ちをうまく利用して、メッセージを通して相手に誠意を伝えたり相手から誠意を受け取ったりして、基本的にお互いに「良かった」が選択される仕組みになっている。つまりそれが、売買を安心安全に行なえる仕組みの一端だ。

「らくらくメルカリ便」は、私のような初心者には使いやすい仕組みだ。発送する箱のサイズを測って送料を求め、商品代金の10パーセントが手数料として売り上げから引かれることさえ考慮して商品代金を決めれば、後は全部メルカリとヤマト運輸任せで、匿名配送ができる。

以上の2つはメルカリが定めたシステムにたいして私が感心したことだが、実は私が一番感心したことは他にある。それをメルカリが意図しているのか、それともシステムの結果たまたまそうなったのかを私は知らないけれども。それは、取引をひとつする度に、出会いがひとつあるということだ。私のように、職場と家を往復する人生を送っていると、人との出会いは仕事関係だけだ。メルカリで取引しなかったら、私はそうやって今後も生きていた。ところが、私がメルカリで出品した物を誰かが購入してくれると、私が今までに体験したことのない出会いが生まれる。日本のどこにいるのか、何歳なのかわからない、本来出会うはずでなかった人と出会う。それは取引の間、ほんの数日の出会いだが、とても新鮮だ。私にとってメルカリの一番のメリットは、この出会いだ。

私は今までに3回出品して、売りたかったものを全部売ることができた。当初の目的はこれで達成したのだが、メルカリに感心し、貴重な出会いを体験したので、できれば今後も続けたい。