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煙草のハザードマップを作る [手記さまざま2]

ある時、仕事の会合のために同僚と移動していた時、何の話のついでかは忘れたが同僚が「煙草を吸う人と吸わない人は共存できないんですねえ」と言った。私は吸わない人間で煙草の煙から逃げるのだが、それまで「共存できない」というすごいイメージでは捉えていなかったので、ちょっと驚き、その言葉が記憶に残った。

それから10年くらいの年月が経った。最近はあの同僚の言葉が思い出される。なぜなら、繰り返し同じ人から煙草の煙を嗅がされるようになったから。

今年から朝のごみ出しの場所が変わり、私は家を出たら大通りをしばらく歩いてごみ出し場所へ行く。近所付き合いは細かい所に気を回さねばならず、ごみ出しが早すぎるとカラスが食い散らかして文句や噂の種になり、遅すぎるとすでにごみが山積みでネットを被せるのに苦労し、ネットが被っていないとカラスが散らかしてまた苦情の種になる。だからごみ出しの時間はおのずと決まる。ところが、ちょうど同じ時間にごみ出し場所のひとつ先の区画から出勤する人がいて、必ず煙草を吸いながら歩いてくる。私は高い確率でごみ出しの度に煙草の煙を嗅いで不快な思いをしなければならない。それが嫌で、近頃は大通りを避け、わざわざ時間をかけて遠回りをしてごみ出し場所まで行く。

腰痛改善の散歩も同様だ。腰痛で歩くのに苦労するから、家の近くから坂がなく平坦なままずっと先まで続く道だと腰痛散歩には有り難い。ところが、もっとも適した道をしばらく歩いた左側の家で、晩に家の外に出て煙草を吸っている人がいる。朝のごみ出しのように必ず出くわすのではない。だから私は煙草のことを忘れて何日も過ぎる。そしてある晩、煙草の煙に遭遇する。この道には煙草を吸う人がいるとわかっていたはずなのに最近出くわさないから忘れていた自分に腹が立つ。次の日は別の道を通る。今までの道から一区画奥へ入って平行に走る道で、私はこの道でもいいと思った。ところが一区画奥へ入り角を曲がった時、そこの家の人も外に出て煙草を吸っていた。

私はとうとう、煙草のハザードマップを作ることにした。通ってはいけない道と時間帯をちゃんと書き込んでおけば、出くわす頻度が今までよりもずっと減る。これは吸う人吸わない人、お互いのためだ。


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