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日記 [手記さまざま2]

必要があって、履歴書まがいの事を書かねばならなくなった。何年に仕事を始めたかを調べようと、古いファイルを引っ張り出した。その中には毎年の雇用契約書が入っている。非常勤講師の一年契約だから契約書はたくさんあり、最初の契約を見れば仕事を始めた年がわかる。そのファイルを取り退けると、その下に茶封筒があった。ついでに茶封筒の中身を確認すると、ある先輩の結婚式の写真だった。ある学校に就職した時に、その人が私の上司だった。出身校が同じなのはつまり、非常勤講師の空きが出来て学校が人を探す時に、出身校の繋がりがひとつのつてになる。先輩の結婚式で私は写真係をしていた。だからネガは一時的に私の手元にあり、私は自分用に焼き増しすることができた。なぜ焼き増ししたかというと、結婚式には先輩の近しい人々が出席する。その人々の顔を覚える良いチャンスだったから。一々の写真には付箋が貼ってあり、人の名前と必要な事がメモしてある。ミニアルバムの表紙裏には私がいくつかのメモをしている。「芳名帳は受付係の人数より多く出すな。パニックになるぞ」「花嫁の後ろ姿は意外と写真に撮られない。一枚撮ってあげるといい」「撮った写真はすぐ現像に回して二次会で見られるとgood」いずれも、先輩つまり新郎の仲間が私にアドバイスしてくれた事に違いない。年齢的に、先輩より数年先に結婚した人が複数いたのだろう。その人たちは、先輩の式をより良いものにしようとアドバイスをくれたのだ。私は付箋にせよ表紙裏のメモにせよ、これから先輩やその仲間とうまくやって行くために、必死になって情報を集めた。それから25年くらい経った。今では、ミニアルバムに写っているすべての人と縁がない。表紙裏のメモも、私のこの歳ではもはや実用的な価値はない。ただ、そのアドバイスをくれた時の先輩の仲間の感じや、当時の必死になっている自分の感じが、25年の時の彼方から何となく伝わってくる。当時も今も私は不器用だ。とくに人付き合いは駄目だ。それでも若い頃の私は人生に翻弄され続けながらも、人生の先が見えないながらも必死で歩いていた。今は、不安に潰れてうずくまっている。どうせ結果が同じで翻弄されるなら歩けばいいのに、今の私はうずくまるばかり。せっかく何かの縁で今日、先輩の仲間のアドバイスと昔の自分の必死さを思い出したのだから、今の自分はせめて、背筋を伸ばそうと思う。

Cb

(音楽の道しるべふたたび(Cb))
(最後のカセットテープ補完計画 (017))

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