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不思議な懐かしい夢を見た [手記さまざま]

要らないのに出てくる食事
帰ってきた死んだ父
見つからない名物老人

私は自室にいる。そこへ普段は私の部屋に来ない母が入ってきて、部屋に干すことのない洗濯物を干す。洗濯物はろくに絞っておらず、水の滴る音がする。この水音は、寝ている間実際に外で雨が降っていたのを反映している。つまり夢の始まりはまだ耳から入った現実の雨音がオーバーラップしている。この後、現実世界の影響は感じられなくなる。

見ると、洗濯物は真新しいテレビの上に干され、雫はテレビのキャビネットの中に入っているようではないか。私は急いで洗濯物を取り除け、キャビネットを拭き、母に文句を言いに行ったが、その母がどこへ消えたかいない。

場面が変わる。別の夢かもしれない。私は台所にいる。また私の近くに母がいる。そこへ玄関に人の気配。従妹が来た。なんで従妹がまるで自宅のような顔をして上がってくるのかは、知らない。その後からなんと、死んだ父が帰ってきた。昔の仕事帰りと同じ背広を着て、顔もリアルに見える。私は夢の中でも父が死んでいるのを知っており、死んだのにじつに久しぶりに帰ってきてくれたことを喜んでいる。父は言葉を発しない。ただ、私と肩が触れ合った。父の背広の肩だ。父がまた行ってしまわないようにしなければ。居間には、現実世界の自宅にもある和室用テーブルがあり、その四辺に従妹、父、私、母が座るのだが、その前に母がラーメンを作りだす。なぜか私と母の分だけだ。従妹と父の前には別の皿料理がある。私はラーメンが要らなかったのだが、それを母に言いそびれたので母はラーメンを完成させてしまった。せっかく母が作ってくれたので食べることにする。真四角のテーブルを囲んで4人で食べ始める(私と母はラーメン、父と従妹は皿料理を)。父が部屋正面の仏壇(自分の位牌があるはずの仏壇だ)に背を向けて座り、その向かい側に母、父の右が従妹(いまだになぜか居座って食べている)、父の左が私。そのうちに私は妙なことに気づく。もう夜だというのに、なぜか辺りが昼の雰囲気だ。人々が静かにしているのでなく、街で人々が歩き回っているような気がしてくる。不意に私は外出したくなる。せっかく帰ってきてくれた死んだ父を置いて、どうして私は外出しようとするのか。それはわからない。とにかく私は秋葉原へ行く。

夢だから、家を出ると次の場面ではもう秋葉原だ。しかもこの秋葉原は現実のものと違う。メイド喫茶も電気街もなく、どうやらそこから少し歩いた所という設定らしい。少し歩いた所にしても、現実の秋葉原よりもおしゃれな街だ。私は、何年も前に会ったことのある老人を探している。若者と一緒に何か小物を作ることで有名なこの辺りの知る人ぞ知る名物老人で、私の時は、好きな女の子と一緒に2回ほどお世話になった。ほら、いま歩いている道の右脇をふと見ると、建物の地面に接している低い所がちょっとだけガラス張りになっており、そこからガラスの向こうを覗き込むとおしゃれな地階が見える。地階の床ははるか下にあってまるで吹き抜けのように高さのある(今は見下ろしているのだから低さのあるというべきか)空間だ。ガラス張り部分はこの地階の天井近くにある明かり取り窓になっており、地階全体はいくぶん黄色っぽい照明で照らされているものの、この明かり取り部分からはそれとは別に外の光が見えるデザインになっていた。地階の床にはテーブルが置かれて、昔はここで老人と私と好きな女の子が何か作っていたんじゃないかな。そんな気がしてきた。好きだった女の子にはいまさら会う気がない。でも老人には会いたかった。私は老人を探した。

ただ通りをきょろきょろしていても見つかるはずがない。人に聞かなければ。私は近くのビルに入った。ビルの中にカフェレストランがあるらしい。そこへ向かって女性が3人ほど入って行く。私もその後に続いた。女性たちは階段を上ってゆく。なんでさっきの地階へ下りて行って聞かないのかは、夢だからわからない。とにかく3人の女性の後に続いて階段を上る。そのうちになぜか私は女性たちを見失った。見失った場所はカフェレストランというより居酒屋という感じだったので、ひょっとしてもう1階上かなと私は先を行く。するとなんと、階段は今までの普通の階段ではなくなる。今までも急な階段ではあったが、そこから先は大きな古民家の壁に沿って幅の狭い階段が天井へと伸び、部屋の隅で行き止まりとなっていた。私はその細い階段を、途中に子供がいるのを乗り越えて先まで行って辺りを見回した。そこからは部屋が見えたが、大昔のそれこそ8時だヨ全員集合に出てくるような修学旅行先の旅館という感じの古びた木造で、でも部屋は4畳半もないほど狭く、その狭い部屋の床に複数の布団が無造作に散らばり、居酒屋で酒を飲んで泥酔した人が次々にここで雑魚寝すると思えた。不潔感はあるが妙に居心地のよさそうな隠れ家的雑魚寝部屋である。でも私の目的地はここではない。私は1階分下りた。

1階分下りるとそこはつまり建物の2階、さっき居酒屋だと思った階だ。それはやはり居酒屋だったが、同じフロアの端のほうにちっちゃなスペースがあり、そこだけカフェレストランになっていた。雰囲気的にはカフェレストランと形容するには少々殺風景だ。でもとにかくテーブルがいくつかあり、そこに人が座っていた。私は案内してもらって席を確保した。でも何か食べるのが目的ではない。名物老人の行方を聞くために来たのだから、コーヒーだけ注文してその場の人々、とくにウエーターに老人のことを聞こうと思っていた。テーブル客に聞いても老人を知る人はいなかった。私が老人を見たのはもう何年も前、ひょっとすると何十年も前かもしれない。もしも現実世界の話と一緒にしていいなら、その好きな女の子がいたのは何十年も前だ。それなら、老人はとっくに死去し、それを知る人もいないことになる。そうなのだろうか。ウエーターが来た。私はすかさずウエーターにも聞いたが、この人も知らなかった。なんとなく古畑任三郎に途中から出て来た、犯人を言い当てる男に似た顔のそのウエーターは、ニコニコしながら食事の注文をとる。私はコーヒーだけと言う。ウエーターはどんなコーヒーかと聞く。私はおすすめは何かと逆に聞く。ウエーターはおすすめを言うかわりにクイズのようなことを言いつつコーヒーの種類を列挙するので、それじゃおすすめがわからないと私が言う。仕方がないので私は、苦味が強くて酸味が少ないのとウエーターに言うが、ウエーターはもはや私の言葉を聞いちゃいない。さっきのクイズのようなのの続きを勝手に喋る。それでもウエーターは去ってゆき、やがて料理を運んでくる。私はびっくりして、コーヒーだけと言ったのを再度確認する。しかしウエーターは料理を置こうとするので私が頑なに拒む。すると腹を立てたのか、ウエーターはニコニコしながら料理を私の顔に向かって投げる。ここで支配人らしき人が仲裁に入り、ウエーターは去って行く。結局、誰もあの名物老人を知らなかった。

その後、同じビルの中にひとり立つ私。すると誰かが少し遠くから私に声をかけ、もうじき父が迎えに来てくれると告げる。死んだ父が、そして久しぶりに家に帰ってきた父が、私を迎えに来てくれる。悪いことをしたなあ。

この後もほんの少し夢は続いたが、たいした進展はなかった。それに、これだけの長文をパソコンで打っている間に夢を忘れてしまった。とにかく私は目が覚めた。雨はもう止んでいた。

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