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第四の生き甲斐を探します141 [手記さまざま5]

吸血魔のいけにえが早々とアカンことになったという話。私は退職のことで頭がぐるぐる回るから、何か趣味をして落ち着こうとした。子供の頃にテレビで見たB級ホラーの字幕を作ってみたらそれに没頭できて、頭がぐるぐる回らなくなると思った。

とても時間がかかる作業だ。どうせ数行しかできないから、クライマックスのシーンをやってみることにした。「ぼくも振子をもっている。お前の破滅の振子だ」という所。ドラキュラ役の第一人者なのにショボい吸血魔役を割り当てられた気の毒なクリストファー・リーが「それを捨てろ! 捨てるんだ!」と叫んだ後、男が何か言う。字幕には
Mit Vergnügen!(喜んでそうしよう)
と書いてあった。ところが実際に映画を聞いてみると
Wie Sie wünschen!(お望みのままに)
と聞こえる。全然字面が違うじゃねえか。字面が違えば、それの日本語訳が違うんだよ!

ああ・・・これと同様のものを私は昔ひとつ見た。くまのプーさんとはちみつの木(ヨーロッパ言語版)だ。DVDの字幕が、プーさんの喋る言葉と全然合わなかった。もしかしたらと思い英語音声に切り替えて、わかった。喋る言葉をそのまま字幕にするのでなく、英語版で喋っている言葉を英語字幕にしたものをさらに翻訳しているんだ。私が苦労しても苦労しても、甲斐がない。英語環境とのこの違いは何なんだ!

この映画もそれと同じだ。字幕をいっしょうけんめい訳したら、それは映画のセリフとは違っただたと? やってられるか! 仕事で翻訳をしている人ならば、与えられたテキストを日本語にすることが全てだ。だから何の問題もないだろう。しかし私は違う。何年かかろうと映画の音声をうまい具合に日本語で楽しむために努力しようっていう人間だ。それを自分の新しい生き甲斐、新しいライフワークにしようってんだ。字幕が最初っからセリフと違うとわかれば、何んにも始められねえだろうが!