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嫌な床の正体がわかった [手記さまざま5]

私は、去年買ったマンションに大きな不満はない。ただ、内覧に来た時から好みでなかったのが、リフォーム済みの床に段差があったことだ。若い人は床の段差も階段も、何でもないだろう。ところが年をとったり足腰が悪くなったりすると、床の段差が生活の妨げになる。このマンションの場合、リビングダイニングと四畳半の床が他よりも一段低い。私は、どうしてこんな非実用的なことをするんだろう、とずっと思っていた。

そうしたら、いつかの何だコレミステリーで田中隊長が、最近はリビングの床を一段下げるのが流行っていると言った。そんな流行りがあるのかと思った私は、ネットで調べた。ローリビングとか言うらしい。デザイン的な美観、他の空間との区切り、天井を高く見せ空間を大きく見せるという意図があるそうだ。生活のしやすさよりも見た目を優先する愚行だ。さっき書いたが、年をとって足が悪くなった時、その愚かさに気づくだろう。

私の場合はリフォーム済みの家を買ったので、気に入らなくても受け入れるしかなかった。他の選択肢(物件)は、もっと大きな問題点があって買えなかった。では、ここをリフォームした売主(マンションを買ってリフォームして売る会社)は何を意図してローリビングにしたのか。いやそもそも、ローリビングとは少し違う。ローリビングはダイニングをリビングと区切る目的で床を下げるそうだが、うちの場合はダイニングを含めた全体の床が低い。それだけではない。四畳半まで床が低い。やがて私は業者の意図が見えた。業者は住みやすさや機能性を考えない。考えるのは、内覧に来た買い主をどうやってその気にさせるかだ。しかもできるだけ安上がりに。だから床を低くして空間を大きく見せる。四畳半は元から小ぢんまりしているから、床を下げて少しでも広く見せたのだ。