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第四の生き甲斐を探します62 (個人的記録)梵鐘 [手記さまざま5]

私はいくつかのことをし、いくつかのことを思った。昔最初にDTMに挑戦した時、「シンセサイザーここがポイント」という本に載っているMS-20の設定をソフトウェアMS-20で試した。その時に作ったと思われるfxpが残っていたのでMS-20に読み込んで聞いてみたが、たいした音ではなかった。やはりMS-20ではアコースティックな音を真似るのは難しいと落胆した。

「冨田勲の世界」というレコード(をデジタル化した音声)を聞き、音作りの解説を読んだ。冨田勲は、シンセサイザーだけで音を作っていない。マイクに強風を当てたり、あえて壊れかけたエコーマシンを通したり、さまざまな工夫をしている。その無限の可能性を探求する精神に圧倒されるとともに、自分はもう強風を当てるマイクも古いエコーマシンも処分してしまい、パソコンの中に入っている限られたソフトシンセとエコーマシンだけで、無限の可能性もなく探求もなく音を作るのだと落胆した。

それから私は、自分が昔最初にDTMに挑戦した時の資料でハードディスクに残っているものを整理した。そうしたら昔の私は、音を作るためにさまざまな試行錯誤や探求をしていた。カセットテープに録音してあった自分の口笛を加工して、タンジェリンのPhaedraの末尾みたいな音を作りさえした。たくさんの努力の末に思い通りの音はできず、妥協しながら音を採用していた。今の私は年をとった。昔のように根を詰めて音作りをするための健康も気力もない。最初にDTMに挑戦した時と同じことをするために10倍の時間が必要かもしれないと思った。

最初にDTMに挑戦した時に完成したのは「Rubicon-Origin」一曲だけだった。次の「梵鐘」が完成するより前に、私は天袋整理をしなければならなくなった。シンセXILS3で合成した梵鐘の音色は11種も保存していたが、当時の私は妥協を許さず、その中の3つだけを採用した。それだけでは足りず、他にも音色を作らなければならないし、既存の3つの中にも高調波に不満が残り変更しなければならないものがあった。そこまでで終わった。

私は上記のことをしながら、少しずつXILS3やReaperをいじり、使い方を思い出していた。それらをいじればいじるほど、今の自分が昔の自分の足跡をまだ途中まで辿っただけだと知った。これでは情けない。昔の自分がやり残したことを補完するからこそ意義がある。ただ足跡を辿るだけでは意味がない。ましてや途中まで辿っただけでは情けない。私は、昔の自分が完成させられなかった「梵鐘」を完成させたいと思った。

昔私が残したメモでは、梵鐘の音色は「此岸」で低く、「涅槃」で高い。「此岸」で高調波が多く、「涅槃」で高調波が少ない。ところが昔作った「此岸」は高調波が少なく、おとなしい音色だ。これを修正しなければならない。また、XILS3のリングモジュレーターを色々いじっても、まだ「涅槃」の音色が見つかっていない。私はXILS3をいじり、昔作った設定をさらに変えて「此岸」の梵鐘を高調波の多いものにした。「涅槃」は、今までの梵鐘よりも涅槃に近い音色は見つけられた。まだいくぶん現世的な音色で、涅槃という感じがしないが、これ以上こだわっているとまた中途で終わってしまうので、ひとまずこれで曲を作ることにした。

XILS3がデモ版で音色の保存ができないので、梵鐘はwavとして保存してある。これをパソコンのキーボードを叩くことで鳴らすには、ReaperでサンプラーのVSTiを使う:

Reaperを起動
右クリック-新規トラックを挿入
FX-VSTi-ReaSamplOmatic5000を選択-追加
サンプラーVSTiのウィンドウが開く
wavをドラッグしてfile not loadedの黒い部分にドロップ
Note start: 57 (A3)
Note end: 57 (A3)
Attack: 0ms
Sustain: +0.0dBであることを確認
Decay: 0msにしても設定が保存されない。最短で10msのようだ。Sustainが+0.0dBだから問題ない。
Release: 0ms
Obey note-offs(wavの途中でキーを放したら音を止める)にチェックが付いていないことを確認
Loop(wavが終わってもキーを押し続けたらwavをループ)にチェックが付いていないことを確認
サンプラーVSTiのウィンドウを閉じる
トラックの赤丸ボタンをクリック-レベルメーターが出る
レベルメーターをクリック-入力:MIDI-In From MIDI Yoke: 1-全チャンネル

同様に3つの新規トラックを挿入し、残り3つのwavをそれぞれ設定。ただしNote startとNote endはwavごとに変える:
59 (B3)
60 (C4)
62 (D4)

ペンちゃんの不思議なけんばんを「監視ON」
キーボードのZ,X,C,Vでwavが鳴る。

暗い部屋で心を静かにし、Reaperの録音を開始し、ここで鳴らそうと思う時にキーボードのキーを叩く。

本当は20分近く続かなければならない「梵鐘」は、音がたったの4種なので引き伸ばすことができず、たった3分14秒で終わってしまった。これはまだ初回テストにすぎない。これから鐘の音を増やしたり再録したりできる。とにかく昔のように中途で終わってしまうことは防げた。