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キャラウェイの思い出 [手記さまざま3]

自分と他人は別の人生を送ってきたから、自分以外の人との思い入れの共有はわずかな領域に限られる。それなのに、不思議とそこから触発されて出てくる自分だけの思いというのがあって、イメージが広がってゆく。

今回は、「ツバメ号とアマゾン号」という児童文学が発端だ。
もう一度読んでみる ツバメ号とアマゾン号 その3

私は文学をあまり読まない子供だったので、他の多くの児童文学と同じくこの話も知らない。ところが長く生きていると不思議なことに、どこかに自分の人生と重なり合う部分があるのは興味深い。

上記の本を読んだことのない私が私との接点だけ書く記事だから、どうせものすごく偏った記事になる。私が書きたいのはプディングと種入り菓子とオートミールのことだ。とくに種入り菓子。seed cakeというのが原文の表記だそうで、それを知ってしまったらどんなseedかも知りたくなる。私は "seed cake" でググった。そうしたらキャラウェイシードと出てきたじゃないか。私の頭の中ではもう一人の私が「キャーラウェイ! キャーラウェイ!」と叫んで踊りまくり、私の脳内はキャラウェイ祭り状態となった。

そんなにキャラウェイが好きなのかって? いや、今までの人生で一度しか食べたことのない憧れの香辛料なんだ。子供の頃は全然知らなかった。大人になって、外国語に苦しめられて、というよりも外国語関係で周囲の日本人に苦しめられて、最後の手段として私は外国へ行った。もちろん、ただ外国へ行ったら何かが解決すると思っていたのではない。どうしても外国語が聞き話せない私はからめ手から攻めようとした。自分が興味をもっている分野を研究し、それを極める手段として人との会話があるならば、話を苦手とする私でも話そうとするだろう。私はそういう状況に自分を追い込んだ。

私が選んだ研究分野、それは食文化だった。何ヶ月もかけてネットでその国の食を調べ上げた。その中に、名前はわかっても味を想像できないものがいくつかあった。いちばん謎だったのが、キャラウェイだ。現地へ行ってレストランで食事をしても、出会えなかった。でも私は幸運だった。列車で移動中に、ある駅の売店で「キャラウェイ パン」を見つけた。もちろん買って食べた。今まで食べたことのない味だった。それが、たった一回の私の体験だ。

上記の本「ツバメ号とアマゾン号」に出てくるキャラウェイシードはパンでなくケーキだから、パンよりも美味しいに違いない。甘いに違いない。どんな食感だろう。ネットでレシピを調べたら想像できるかもしれない。私は大学生の時に少しだけケーキを焼いたことがあり、それがこんな所で役に立ちそうだ。

最初は、キャラウェイシードケーキそのものを買ってくればよいと考えた。でも日本ではあまり知られていないらしく、レシピはあるが商品として売られているものがほとんどない。おそらくイギリスでも、買ってくるというよりも家庭で焼くのだろうな。

ではケーキは諦めてキャラウェイシードを使った料理でいいやと考え調べ直したが、私が食べに行けるようなものを見つけられなかった。ヨーロッパやイギリスでは一般的なキャラウェイシードが、日本ではいまだに一般的でないらしい。

キャラウェイの話はこれでおしまい。プディングとオートミールの話はこんなに長くない。

プディングがプリンと違うのは知っているが、キャラウェイと同じく私にとってはたった一度食べたよく知らないものだ。知識もとんでもなく偏っていて、昔NHKで放送していたアガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープルの第23、24話、「クリスマスプディングの冒険」しか知らない。そのクリスマスプディングを新宿の成城石井で見つけて食べたことがある。その後私はリストラに遭ってプディングなんか買えない年が続き、さらに慢性腰痛になって成城石井まで足を伸ばすこともできなくなった。去年、まだ腰が痛いのに頑張って昔の成城石井を訪ねたが、10年以上前の店舗はすでに消滅して別の店になっていた。

オートミールを、私は食べたことがあるだろうか。たぶんない。私が食べたのはシリアルだ。つまり、ただ牛乳をかけるだけの。ネット検索すると、オートミールはおかゆのようにして食べると書いてある。上記の本「ツバメ号とアマゾン号」でもおかゆとして出てくるそうだ。私はこれを一生食べないで終わるのだろうなあ。私にとってはキャラウェイやプディングと比べて縁が薄かったから。モノは違うが、甘いおかゆならば外国で食べた。これはオート麦ではなくライスで、シナモンパウダーがかかっていた。


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