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不安になったら正しい情報を求める [手記さまざま3]

東日本大震災の時だったか、多くの人がパニックになった中で、人々が密集しているにもかかわらずパニックを防いだ場所があった。それは東京ディズニーリゾートだった。交通機関が麻痺して身動きの取れない状態だったが、場内アナウンスで外の状況を逐一報告して、人々の不安をできるだけ抑えたそうだ。

不安なことが起きればもちろん不安だが、「どうなっているのかわからない」という気持ちが不安をとても大きくする。自分に不利な状況でも、事情を正確に把握しているというだけで不安は小さくなる。

非常勤講師の私にリストラの話が持ち上がった時も、情報さえ入ればと思ったものだ。経営難でリストラするという説明が担当者からあったが、非常勤講師控室で毎週会う人が論文執筆に専念したいからと依願退職した後には代わりの非常勤講師が雇われた。経営難ならなぜまた雇う? そして、雇えるのならなぜ私を解雇する? 辞めたくないと頑張って一年延ばしてもらった私を解雇する位なら、新しい人を雇うな。事情がわからず、不安ばかりが増した。専任の先生は曜日が違い、ネットやメールは出来ない人で、何度置き手紙をしても音沙汰がなかった。私は不安から心と体を壊した。リストラが実行された後、専任の先生は年賀状に「今度お会いする機会を作ります」と書いてよこした。私は「いまさら何を言っているんだこの人は」と思った。不安に潰されそうで助けを求めた時は放っておいて、心と体が壊れて収入元を失い出歩けなくなった私がもう電車賃を使うことも居酒屋で飲むことも出来ないのをわからないなんて。

そうなってからでは、どんな情報も手遅れだ。いま、コロナウイルスで家の外に出られず、誰もが不安だ。私の場合も、教え子と顔を合わせて授業ができない中でWeb教材作りを頑張っていると、専任の先生(もちろんリストラされた学校でなく、後に残った職場の)から連絡が来て、今度はweb会議システムを学ぼうと言う。ところが私のパソコンにはカメラもマイクも付いていない。授業でweb会議システムを使うのは不可能だ。みんながweb会議システムを使う中で自分だけ取り残されるのではないかと不安になり、午前2時半に目が覚めたらもう眠れない。私は起き上がってパソコンで大学(リストラ後に残った職場)のホームページにアクセスし、web会議システムが使えなくても取り残されないことを確認した。それでやっと、心が軽くなった。

あなたも、もしも何か大きな不安をもってしまったら、確実な情報を求めると良い。もちろんガセネタや煽り情報は駄目だが、正しい情報さえ掴めれば、たとえ不利な状況でも、何もわからない時よりも必ず心は軽くなる。


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