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歳には勝てずアニメを受けつけない人間になってしまって年久しい [手記さまざま]

若い頃の私は、アホでないアニメもアホなアニメも見ていた。鉄腕アトムもデビルマンも見た。大人になってからもずいぶん長い間、見たいアニメはないかと探したものだった。でも歳には勝てず、だんだんと見たいアニメが見つからなくなっていった。

私が変わっただけでなく、世の中も変わったと思う。なぜなら、いま試しに鉄腕アトムを見てもデビルマンを見てもそれなりに楽しめるから。世の中で作られるアニメの流行が変わってゆき、古い人間である私がそれに追いつかなくなったのだろう。

いまひとつ元気の出ない私が元気の出る方法を模索するために、今回自分が見てきたアニメについて考えた。昔はどんなだったのか。私はそれをどう思ったのか。今は何が昔と違うのか。

古いほうから時系列にしたがって見て行ったら何かわかるかと考えた。でも鉄腕アトムやデビルマンまでは遡らない。

私のVHSビデオテープ録画の内容を記した文書があるので、試しに見てみた。時期としては
「強殖装甲ガイバー」(1989-1990)
「超人ロック 新世界戦隊」(1991)
「BASTARD!!」(1992-1993)
の頃。そして私が昔残したコメントはこんなものだった。

「第一期以降、5年あまりの間のコレクション。次から次へとレンタルビデオをダビングし、このままテープ巻数が増えてはどうなることかと心配した。これは巷でオリジナル・ビデオ・アニメーションが愚かなほど矢継ぎ早に大量に発売された時期だということも影響している。しかし駄作も多く、とりあえずダビングしたもののすぐに消してしまったものが沢山ある。今回の編集(1994)で更に駄作を省いたので、テープ巻数を少なくすることができた。」

私のコメントの中にある「オリジナル・ビデオ・アニメーションが愚かなほど矢継ぎ早に大量に発売された時期」「しかし駄作も多く」というのは、バブル景気の影響だろう。

上記の3作は、駄作が多かった当時のOVAの中で質が良かったものだ。

ガイバーは、私はまずアニメを知り、それがとても気に入って原作コミックスを買い始めた。原作は月刊誌連載だったそうで、きっとそのせいだろうが、単行本になってから通して読むとストーリー進行がアニメと同じくらいに早く感じた。それで、もっと話を膨らませないともったいないと思ったのを覚えている。

超人ロックのいくつかあるOVAの中では、私は新世界戦隊がとくに好きだ。あの、静かな雰囲気の中に疼く深い悲しみのようなものが。

原作がコミックスでそれがアニメ化された場合、ふつう原作のファンはアニメに落胆する。アニメが原作を超えるのは珍しい。そしてBASTARD!!は、その珍しいケースだった。原作の漫画家はすごい才能をもった人だったが、時々漫画の中で同人誌の気分が抜けない内輪ネタを出すことがあった。それがアニメ化のさいにフィルターにかけられてなくなったから、鑑賞しやすくなった。

思えばこの時期は、私にとってOVA全盛期だった。そう、私はVHSビデオ時代の人間なんだ。今のアニメについてゆけなくても仕方がないのか。

上に書いた私の昔のコメントに「第一期以降、5年あまりの間のコレクション」とある。つまりあれは「第二期」だ。ということは次に「第三期」があったはずだ。その第三期のコメントはこんなものだった。

「1993年頃には『猫も杓子も』のアニメーション大量発売がなくなり、人気漫画のアニメ化のような確実に売れるものだけが生き残った。しかし個人的には最近人気のある漫画にいまひとつ引きつけられず、『ビデオアニメは見たいが良いものがないから見ない』という状態になる。そのかわりに昔のアニメーションや特撮ものへの憧憬が強くなり、レンタルビデオで集められる限りのものを集め始める。なお、新作ビデオアニメの中で『ジャイアント・ロボ』だけは会心の出来。」

そうか、私が新作アニメを受けつけなくなってきたのはこんなに昔からだったのか。会心の出来という「ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日」は1992年に第1話が出た。このOVAはゆっくり発売され、最終話が出たのは1998年だったが、とくに良かったのは最初のほうの話だった。OVA発売当時の何かの記事で衝撃のアルベルトの大回転なんとかというのが大げさなアクションだがあえて取り入れたとか書いてあったが、そんな風に考えることはない。あれ位やってくれたほうが視聴者はスカッとする。

「新世紀エヴァンゲリオン」が世に出たのが1995年。いうまでもなくあれは衝撃的な作品だった。当時の私も相当に入れ込んだらしく、その情熱とその後の落胆がものすごい長文コメントとして残っている。

「エヴァンゲリオンは、マンネリ化したアニメ界の中で久々に度胆を抜く展開で始まったので、当初おおいに期待した。ジャイアントロボ以来の会心の作だった。神経組織という解剖学的で不気味なものをロボットに組み込むという発想。人が造り出したロボットにもかかわらず、その内部に未知の敵の組織をコピーしてあるという構想。そして最近のアニメには滅多に見られない、傷つきやすい人の心の葛藤を、昔風のシリアスさではなく、現代の視聴者に受け入れられやすい形のシリアスさで描いていること。どれを取ってもなかなかの出来だった。アスカが登場してから暫くは停滞気味で軽いギャグと新奇さが目立ったが、それも息抜きには良いと思った。だが最後の三話はいまひとつ好まない。といっても、それ自体が悪いわけではない。全ストーリー中での方向性がつまらないのだ。」(後略)

こうして、私のVHSビデオテープ時代が終わった。DVD時代が始まると、私はとたんに録画のリストを作らなくなった。アニメ以外も含めて、私の中の何かが世の中の新作に明らかに合わなくなっていた。思えば私は真面目なストーリー展開のSFものが好きなようだ。これ以後のアニメにそういうものが少ないということは、あるだろうか。「らき☆すた」(2007)とか「みなみけ」(2007)のような類も良いとは思うが、結局録画を残さなかった。私は萌えよりもシリアスのほうを重視するらしい。もっとも、シリアスといってもSFでないと駄目らしい。「ガンスリンガー・ガール」(2003-2004)などの、少女が銃を持って当たり前に戦闘するのはどうも心が拒否してしまう。その意味では「悪魔のリドル」(2014)も、ついにまともに見ずに終わった。たぶんひとつには、私は少女という概念に銃を持たせたくないんだろう。最近のアニメ、というか大昔ではなくある程度新しいアニメの中に、私は「大昔にはなかった2つの傾向」を見る。ひとつは萌えキャラ全開のアニメ。もうひとつは残酷なアニメ。萌えキャラは結構なことだが私が歳をとってしまったのでなかなか気分的に追いつけず、残酷は昔から苦手だ。

思わず「苦手なアニメ」のほうに話が行ってしまったが、ここでは「好きだったアニメ」を時代順に挙げているのだった。だから話を時代的に少し戻そう。

VHSビデオテープ録画をやめてDVDに切り替えてから、珍しく好みだったアニメが少しだけある。(でもそれはきっと、巷の多くの人々の趣味とは違うだろう。)

「住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー」(2003年)。少しのシリアスと多くのギャグで出来ている。基本的に真面目なものを好む私がこれを大層気に入ったのは、終わり方が良かったからだろう。もしも最後までギャグ一辺倒だったら、楽しんだだろうがそれで終わっていただろう。

「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」(2007年)。巷の評判は良くなかった。その理由は明らかで、共鳴感応覗き見システムが話全体を台無しにしているからだ。このアニメにはたくさんの登場人物が出てくるが、視聴者は日本共和国と中央国以外の各国のギガンティック搭乗者に感情移入できない。上記の覗き見システムによってほんの1話か2話に出てきては消えてゆくだけの登場人物を視聴者は愛せないだろう。そしてそんな話が延々と続く。これでは人気が落ちるのは当たり前だ。私は対玄武神戦と対ユーノワ戦(決着回)に限って強い思い入れがある。どちらも覗き見システムが関係していないことがわかるだろう。

上記のギガンティック・フォーミュラを最後に、「私がとても好きになれるアニメ」は現れなくなった。

「Dororonえん魔くん メーラめら」(2011)の制作が発表された時には期待した。私の頭の中には大昔のアニメ版えん魔くんがあったし、最近のアニメが自分には無理だと思っていた私にとっては原作が古いアニメはわずかに残った望みだった。アニメに先行して発表されたOPはかっこよかった。で、肝心のアニメはというと、原作は大昔のえん魔くんには違いないが、アニメのではなかった。漫画を原作にしたという意味では良くできていた。ただし漫画と同じようにスケベな出来という意味で。このDororonはギャグとスケベで成り立っていて、かっこいいえん魔くんはほんの1シーンだけだった。

それからまた空しく時が過ぎた。今年の夏、始まったばかりのアニメの中で、「まだ辛うじて見ているが、いつやめるかわからない」ものが現在2つだけある。

「機動戦士ガンダムさん」(2014)。ちょっと期待して第1話を見て、ちょっと困っている。私は「DD北斗之拳」(2011)と「ガラスの仮面ですが」(2013)を大体知っていて、どちらも面白かった。そこでガンダムさんもきっと似ていて面白いだろうと思った。いや面白いんだが、私はシャアのケツを間近で見たくはなかった。三角木馬にまたがったアムロも見たくなかった。それで困っている。ララァのツッコミは良い。

「人生相談テレビアニメーション『人生』」(2014)。第1話を見て、このアニメの立ち位置を思案中。萌えキャラが3人出てきてまったりと話が進むのでそういう感じかと思っていたら、その後透けブラが出てきて「ああ、男子用アニメか」と気づいた。人生相談にはそれなりにまともに答えているのが珍しいし、特徴でもある。次回予告の中で「ギエロン星を爆破」と言うから、そんな古い人もターゲットにしているのか?と少し困惑。

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