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震災後の放射能漏れ問題 まとめ2/2 [震災後の放射能漏れ問題]

私が「まとめ」を書いたからといって、この問題が終わるわけではない。

私はこの問題を追いかけて毎日ニュースを見て記事を作ったが、事件は毎日のように起き、それを記事にするのが追いつかなくなった。さらに、こう毎日放射能問題を記事にしていると、楽観的思考が生まれにくく、気づくとなんだか暗い考え方になっていた。このままでは日本の放射能問題より先に、私個人の精神の問題が深刻になってしまう。だから、ひとまずここで「まとめ」にしてしまうことにした。

今後絶対に放射能記事を書かないという意味ではない。でも今までのように一生懸命事件を追って書くのは、ひとまずやめよう。

今日は、
買うか、買わないか、ガイガーカウンター
するか、しないか、除染
信じるか、信じないか、お上の組織
の3本立てだ。


**** 買うか、買わないか、ガイガーカウンター ****

震災直後、私は「全国のリアルタイム放射線量マップ(速報版)」サイトを信用していた。そして、月日が経つうちに「黄色ばっかり」だった関東地方に少しだけ「緑」が出てきた変化に喜んだりしていた。

そんな私の気が変わったのは、「県別ガイガーカウンターまとめ」サイトが出来た時だった。そこには全国のウェブカメラで撮影された本物のガイガーカウンターが映し出され、それが実物のガイガーカウンターならばこれこそ事実と思えた。そしてその放射線量の数値は、なんと「全国のリアルタイム放射線量マップ(速報版)」よりも高かった!

どんな風に高かったかというと、「全国のリアルタイム放射線量マップ(速報版)」では原発に比較的近い茨城県のほとんどの測定地点で「超過時」を示す赤、東京・神奈川のほとんどの測定地点で「平常時の0.5倍以上」のオレンジ(黄色)。これが「県別ガイガーカウンターまとめ」のウェブカメラでは、東京も茨城と同程度の数値だった。

「全国のリアルタイム放射線量マップ(速報版)」は、本当に測定しているのかもわからないただの数値の表示。いっぽうのウェブカメラは本当に測定しているのが一目瞭然。一歩譲って「リアルタイム放射線量マップ」が本当に測定した結果を正直に公表していると信じることにしよう。その場合、百葉箱などのように地表から一定距離高くして測定しているんじゃないのか?実際の私たちの生活はそんなものじゃないぞ。とくに気になるのが子供だ。小さい子供の鼻や口は立った状態でも地表から1メートルも離れていない。それどころか小さい子は大人と違って何をするかわからない。土まみれになって遊ぶのは当たり前、地面に寝転がるくらいはやるかもしれない。ウェブカメラに映るガイガーカウンターがどんな場所に置かれているかは知る由もないが、その数値が高いということは、「リアルタイム放射線量マップ」よりもさらに現実的な場所、地表から1メートルなどという生ぬるい測定でない場所に置かれているのではないか?私は当時そう考えた。

震災直後は即座に売り切れたガイガーカウンターだが、それから数カ月が経ち、また入手可能になっていた。Amazon.co.jpで探すと豊富な品揃えだ。この時点では私は買う気になっていた。でもこの豊富な品の中のどれを選ぶ?こういう時は「カスタマーレビュー」が参考になる。私はレビューを読み漁った。そして複数の意外な記述に出くわした。

ここから先は、その意外な記述の中からの紹介だ。初めに明記しておくが、私はレビューの記述の裏を取っていない。書いた人は誠意をもって書いているに違いない。しかしそれを読んで信じるかどうか、情報の裏を取るかどうかは、すべて読者の自由であると同時に自己責任だ。

結論から書くと、我々が簡単に入手できるタイプの放射線測定機の多くは、関東地方程度の放射線量を精確に測定して常時の線量と比較する目的には向かないらしい。我々が入手できる放射線測定機を種類別に分けると、その主なものとしてガイガー=ミュラー計数管を使った本来の意味でのガイガーカウンターと、シンチレーション検出器がある。レビューの記述には専門的なことが山盛り書かれていたが門外漢の私がそれをうまくまとめて記述できるわけもなく、ここでは省略する。とにかくガイガーカウンターとシンチレーション検出器は特性が異なり、その中でも今の我々にとって重要なことが2つある。

その1。今の我々が気にするべき放射線はガンマ線だと思われる。その理由は日本語版ウィキペディアに「セシウム137は30年という半減期である」「体内に入ると血液の流れに乗って腸や肝臓にベータ線とガンマ線を放射し、カリウムと置き換わって筋肉に蓄積したのち、腎臓を経て体外に排出される。セシウム137は、体内に取り込まれてから体外に排出されるまでの100日から200日にわたってベータ線とガンマ線を放射し、体内被曝の原因となるため非常に危険である。」「セシウム137はバリウム137mへとベータ崩壊するため、ガンマ線の強い発生源である」と書かれているから。そして、ガイガー=ミュラー計数管はベータ線に非常に敏感な反面ガンマ線の検出効率が悪く、放射性セシウムの存在を知ろうとする今の我々にとってはこれが計測値の誤差という形で災いする。空間の線量を計ると実際より高めに出てしまう。

その2。シンチレーション検出器は、上記の「その1」の理由もあり、ガイガーカウンターよりもガンマ線にたいする感度が高い。ただしシンチレーション検出器にもさらに種類があり、またシンチレータ結晶の大きさなどによる性能の相違があり、さらにはエネルギー補償などの調整がされているかどうかで誤差の度合いが変わる。精度の高い機器は高価。

推論。我々が簡単に入手できるタイプの放射線測定機の多くは、関東地方程度の放射線量を精確に測定して常時の線量と比較する目的には向かない。ウェブカメラに映っているガイガーカウンターはすべて本物に違いないが、そもそも測定に誤差があると思われる。いっぽう公式発表の数値は、地上1メートルというなまぬるい測定条件ではあり、実際に我々が地表から飛ぶ埃を吸いこんだ場合の被ばくの程度を推測しうるものではないが、高価な機器を使用し測定誤差が少ないことは間違いない。

買うか、買わないか、ガイガーカウンター。私は結局、買うのを見合わせた。


**** するか、しないか、除染 ****

震災直後、除染という言葉を初めて知った時、まず私は次のように勝手に考えた。「除染というのはきっと、高度なテクニックで放射性物質を取り除く特殊な作業なのだろう。白衣に身を包んだ科学者がハイテク機器を使って行うのだろうか?一般人には想像もできないぞ」と。ところがその実体は、人手による「大掃除」だったようだ。洗い流す、削り取る、などの誰でもできる肉体労働らしい。

除染の一例として、7月21日に日本テレビのNEWS ZEROで報道されていた「江東こども守る会」の活動がある。7月2日に20人を超える親たちが公園に集まり、放射線量の測定と除染を行った。親たちは、東京都が貸し出しているものと同じ測定機を使い、地上5センチと1メートルの高さで放射線量を測定した。数値が安定するまで5分待ってから30秒ごとに5回計り、その平均をとった。場所は公園内の、遊具や側溝の近くなど。

「東京都が貸し出しているものと同じ測定機を使い」という所で大写しになった機械はDoseRAE2というもの。ガイガー=ミュラー計数管ではなくシンチレーション検出器だ。テレビには他の種類の測定機も映った。

「値が高かった所では0.29マイクロシーベルト」とテレビが喋った直後、この特集の制作者の基本姿勢を垣間見る喋りが続いた。「もしこの場所に24時間365日居続ければ、国が定める一般人の年間被ばく限度量1ミリシーベルトを超える値だ。」この場所に24時間365日居続ける子供はいない。もしいるとすればその可能性はホームレスだけだ。これは視聴者の不安を煽るだけで意味のない喋りだ。こういう部分さえなければ、さらに真面目な番組になったのに。他にも「公園でコンマ26(0.26)なんて見たことないな」とか「あ、すごい、3(0.3)超えた」とか、ちゃんとした計測結果でない中途の、視聴者の目を引くのが目的と思われるシーンをわざわざ映す。これにたいして「江東こども守る会」の代表さんからは、自分たちの子供を守りたい守らねばならない、それゆえに正しい知識、きちっとした計測、きちっとした活動、きちっとした結果を出すという思いが伝わってきた。

さて当日の除染はどのような作業だったのか。コンクリートの道路は高圧水流で泥と共に放射性物質を洗い流し、その後は泥水を柄のついたブラシで掃いて排水する。これにより除染前には0.21マイクロシーベルトだった値が0.11にまで下がった。木の根元にはとくに値の高い場所があり、ここは表土を数センチ削り取って下の土と入れ替えた。これにより0.55だった値が0.12に、0.34だった値が0.11にまで下がった。

表土の削り取りについては、偶然にも同じ日のニュースで別の報道もあった。福島県でとくに放射線量が高かった52の学校や幼稚園などで、校庭の表土を削り取る土壌対策をとったところ、放射線量が平均で75パーセント下がったという。この場合、表土を削り取るというのはパワーショベルでざっくり削ってトラックで運び去るという大量のものだった。

ニュースからの情報は以上だ。私としては、上のガイガーカウンターを買うかどうかの所に書いたとおり、放射線量については今までほど気にしないことにするつもりだ。だから家のまわりの除染は、大掃除だと思ってやるつもりだ。埃を立ててその中に顔を突っ込まなければならないから、マスクくらいはする。


**** 信じるか、信じないか、お上の組織 ****

7月29日のNHKニュースウォッチ9による。4年前の平成19年、静岡県御前崎市で国が開いた原子力関連のシンポジウムをめぐって、原子力安全・保安院が「やらせ」の依頼をした疑いが浮上した。シンポジウムの事前に中部電力は原子力安全・保安院から、地元の人に賛成側の質問をしてもらうよう頼まれたと言う。中部電力としてはやらせを断ったものの、浜岡原発幹部が社員や関連会社に働きかけ、結局500人あまりの出席者のうち150人ほどは社員だったとみられる。もしこの疑いが事実ならば、国が特定の意見表明を誘導したことになる。しかも原子力の安全規制を担当するはずの原子力安全・保安院が原発推進のやらせを依頼したことになる。ようするに無茶苦茶だ。

そもそも原子力安全・保安院とは、茨城県東海村のいたましい臨界事故(平成11)の後、「原子力の安全規制」を強化する目的で発足したもの。ところが実はこの保安院は、「原発の利用推進」を考える資源エネルギー庁と同じ経済産業省に属する。原子力利用のアクセルとブレーキが同じ組織内に存在している。これは構造上の大問題だが、ちっぽけな個人である私はむしろそれ以前に叫びたいことがある。

東海村の事故のことを覚えていない人は少ないだろう。私は当時のニュースの一部がいまだに忘れられない。放射性物質を運ぶ作業をあろうことか「バケツ」でやらせるという異常にずさんな管理体制の中、ついに臨界となって生じた大量の中性子線を浴びた作業員がいた。彼の治療を担当する医師が「大量の輸血をしているが血が止まらない」と報告していた。彼はその後亡くなったと記憶している。こんなとんでもないことを2度と起こさないようにと作られた原子力安全・保安院が、原発推進のやらせを?もしこれが事実なら・・・人間はどこまで馬鹿になれるのか?

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