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国を待っていられない [震災後の放射能漏れ問題]

28日 NHKニュースウォッチ9と私の感想

**** 出来事 ****

枝野官房長官は、福島県に続き宮城県にも肉牛の出荷停止を指示した。放射能牛事件は収束に向かうどころかますます拡大しているように見える。

自治体や生産団体などは国に肉牛の全頭検査を求めているが、現実には機器と人手が足りない。ゲルマニウム半導体検出器は1台2千万円もする。こうした中、小売業者や自治体は「消費者の不安を一刻でも早く払拭しなければ消費者の牛肉離れがさらに強まる」という危機感から、「国を待っていられない」と考えるようになり、独自に牛肉の検査態勢を強化しはじめた。検査態勢強化の動きは、これまでに全国12県に及んでいる。

イオンは牛肉売り場に「全頭検査済み」の文字を掲げている。対象はイオンが自ら指定した農場から仕入れている国産牛肉すべて。

JA栃木中央会は、栃木県のJAが出荷するすべての牛について、食肉処理場で肉の一部を切り取り、民間の機関で検査し、国の暫定基準値を下回った肉だけを出荷するという。

**** 私の感想 ****

今回の私の感想は、自治体や生産団体には気の毒だが、これは根本的な解決ではないというものだ。理由は明白。ゲルマニウム半導体検出器が調達できないのは確実だ。なぜなら、国がそれをできないでいるからこそ自治体や生産団体が自ら動かざるを得なくなったのだから。それで、ゲルマニウム半導体検出器が調達できない以上は、全頭検査の内容はせいぜい牛肉に検査機器を近づけて計測するしかないはずだ。気休めとまでは言わない。それでも信頼度はかなり落ちる。

国は行政だが、小売業者は営利企業だ。ものすごく当然のことだが営利企業が動くことの根底には自らの利害がある。たとえ小売業者自身がそれに気づいていないとしても、経済はそういう基盤で動き、小売業者はその上に乗っかって生きている。それで結果的に、次のような思考になった。牛肉を売らなければ→そのためには消費者を安心させなければ→そのためには「全頭検査済み」と明示しなければ→そのためには全頭検査を(どんな方法であろうともとにかく)しなければ。この思考の流れは、(経済的利害でなく)庶民の安全を思っての思考とは似ているけれども違いが出る。つまりこうだ。牛肉に放射能が混じっているかもしれない→健康が心配だ→健康を維持しなければ→そのためには全頭検査をしなければ。こっちには、「どんな方法であろうともとにかく」がない。別の言い方をすれば、最初のほうの思考の最終目的は牛肉を売ることであり、後のほうの思考の最終目的は健康を守ることだ。

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