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またも牛 [震災後の放射能漏れ問題]

昨日はなでしこジャパンが世界一になったというのに、私だって好き好んでこんな記事を書きたくはない。何の因果かなでしこジャパン優勝と同じ日にまた牛問題が報道されてしまった。記録は残さなければならない。


**** 出来事 ****

放射性セシウムを含む稲藁を与えられた肉牛は17日までに出荷が確認されただけで143頭、流通先は北海道から福岡までの37都道府県に上っていたが、18日に、福島県の5市1町、7戸の農家からすでに411頭の肉牛が出荷され流通していたことが判明。これらの農家はいずれも第1原発からは離れている。

肉牛は3月28日から7月6日までに、福島県内、東京、埼玉、栃木、群馬、兵庫の食肉処理場に出荷。これらの農家では原発事故後に屋外の稲藁を集め、肉牛に餌や敷き藁として与えていた。残っていた稲藁から最大で国の目安のおよそ520倍の放射性セシウムが検出された。

福島県は、県内すべての牛の飼育農家にたいし、今日までの予定だった出荷や移動の自粛を当分の間延長するよう要請した。

さらに新潟県では、長岡市の2戸の農家が与えていた宮城県産の稲藁から、最大で国の目安のおよそ15倍にあたる放射性セシウムを検出。放射性物質を与えられて出荷された肉牛は福島県と新潟県をあわせて578頭。鹿野農林水産大臣は、福島県にたいして牛の出荷制限を指示することを決める見通しを示した。


**** ここに注目 ****

上の記事の最後の部分に妙な引っかかりを感じる。福島県の牛の出荷制限。それはなぜだ。なぜなら問題の牛の多くが福島県から出荷されているからだ。ではなぜ福島県なのか。福島第1原発に近いから?いや、それはどうだろうか。牛が内部被ばくした最大の原因は放射能を含む餌を食べたことなのだが、その餌はどこから来たのだろうか。

ここで、牛を出荷した牧場経営者の言葉に注目しよう。
「宮城から仕入れたから、安心だなと思ってた。今年の収穫した藁を、持ってきてるとはひとつも思ってない。稲藁を与えるなというのは古いのはだっていいわけだから。」

この牧場経営者は稲藁を宮城から仕入れたという。それならば、この宮城の稲藁を食べた福島の牛と、同じ稲藁を食べた他県の牛の間にどんな違いがある?違いはない。そもそもの原因が牛でなく稲藁にあるならば、稲藁の出荷元を中心に調査するべきだろうが、ニュースを聞くとなぜかたいてい福島が話題の中心になる。

ここで最初の引っかかりに戻ろう。福島県の牛の出荷制限は、「今のところ」問題の牛の多くが福島県から出荷されているからだ。でも、そもそもの原因は牛でなく稲藁にあり、その稲藁は宮城県を含む福島以外の県からも出荷されている。そして稲藁の出荷先は福島県だけではない。それなのにこれまでは、福島県ばかりが注目されてきた。上の記事で、新潟県からも問題の牛が見つかっている。これは、おそらく稲藁の調査が進んでその流通ルートがわかってきたのだろう。以上のことから、(考えたくはないがしかし、理論的に)次の推論が導き出されてしまう。今後しばらくの間、福島県だけでなく他県でも、問題の稲藁の出荷先では放射能牛が発見される可能性が高い。

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